第12話 シド=ルストリア
ガアアアアアア
ああ、俺は死ぬのか。せめて仲間の皆は逃がしたいな。
俺専用のA.R.A.である「
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2835年。人類は、第四次産業革命を迎えた。それは、一人の日本人科学者が発見した「霊魂」の存在だ。
「霊魂」とは、人間の人格を形作る自我だ。そして、本当の産業革命はこのあとだ。「霊魂」を発見した科学者は、量子力学の応用によって人間は超常現象を扱えると提唱した。
霊魂によって事象を意図的に観測しながらエネルギーを与えることで、超常現象を起こせると考えたのだ。しかし、霊魂による世界の観測を行うにはその与えるエネルギーが足りなかった。
その問題を解決したのが通称「魔力」。正式には「
人間の有り余る余剰生命力を純粋なエネルギーとして変換し、このエネルギーを利用して超常現象を起こせたのだ。
実は、このやり方は古くから行われており、いわゆる魔女の魔法や忍者の忍術などもこのようなやり方で魔術を使っていたのだ。しかし、このままでは万人が使えるものではない。そのため、ある装備が作られた。
それが、A.R.Aすなわち
そもそも
術者がA.R.A.に信号を送ると、A.R.A.が該当する魔術を情報化・術式化し、術者はそれを霊魂回路に入力、世界にある魔素を霊魂によって観測し、魔力の注入をすることで事象改変するのだ。
この「
また、A.R.Aには「
そして、このような超常現象、通称「魔術」の行使は「厄災」を引き起こした。世界を意図的に観測することによって行う魔術は、世界に拒絶反応を引き起こさせたのだ。世界からの拒絶によって、「ダンジョン」が生まれる。ダンジョンは魔物の巣窟であり、最奥の「
2841年、一人の子供が生まれた。その子供には、特別これといった特徴はなかった。ただ一つ、その完全記憶能力を除いて。完全記憶能力、それは一度見たものすべてを覚えるもの。それだけなら、何の問題もなかった。だが、あるとき彼に悲劇が訪れた。
そして、彼は自分の心を守るため、記憶を書き換えた。親は魔物に殺されたのではなく、何か途方もない闇に吸い込まれていったという記憶を捏造する。自分の心を守るための記憶に。
そして、その子供は最強の魔術師となる。その子供の
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「第零章 零節。術式名=《
霊魂が焼き切れるのがわかる。
霊魂が耐えきれない程の情報量をもつ特殊な魔術。それは相手を強制的に超重力場に閉じ込めるものだ。そして、この魔術はそれだけのものではない。重力が強ければ強いほど時間の流れは遅くなる。つまり、この魔術は相手が崩壊し、押しつぶされるまで終わらない、文字通り無限の枷なのだ。
ドラゴンの姿が歪み、崩壊していく。どうやら仲間は守れたようだ。
「ワアアアアア」
歓声が聞こえる。このダンジョン攻略の様子は、全世界の人間が見ているのだ。世界の拒絶によって生まれたこのドラゴンが倒れれば、人類は助かる。そして、そのドラゴンは死んだのだ。
ああ、霊魂が崩壊し始めているのがわかる。このまま
「やりましたね、蓮真さん…」
誰かが話しかけて来る。でも、もう俺の体は動かない。体にダメージはないが、霊魂の崩壊によって、体を制御できないのだ。
「蓮真さん?大丈夫ですか?」
話しかけてきた誰かが俺の異変に気づく。
「蓮真さん、もしかして、さっきの魔術は…」
「あきらめろ、坊主。蓮真が最後に使った魔術、遺式魔術だ。使えるならもっと早く使っていただろう。霊魂壊すつもりでやったんだろう。」
「それでも…蓮真さん、答えてくださいよ。あなたがいなくちゃ、僕たちは…」
俺が答えることはない。
自我である霊魂が崩壊し、体を離れ始めてしまっているから。じきに意識もなくなるだろう…
<………一定以上の霊魂強度を確認。
霊魂が破損しています。召喚術式のエネルギーにより霊魂の修復を試みます。成功。肉体転移分のエネルギーが足りていません。固有名称「
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「ここ、は…」
俺は、死んだはずだ。最後の「無限の枷」を使って…たとえ生きていたとしても、ここはどこだ?先ほどまでいたダンジョンとは明らかに異なる。それに、魔素の量も圧倒的にこの世界のほうが多いようだ。
「この身体…誰のものだ?」
ここはどこなんだ?どう考えても魔素量が地球より圧倒的に濃い。
もしかして、死ぬ前に聞こえた「霊魂を転送します。」という声は、異世界に転生させると言うことだったのか?
俺は今何か学校のような大きな建物の横に立っている。取り敢えずこの身体が誰か分からないとな。「
「
俺が乗り移った身体を調べる。
途端に、大量の情報が身体に流れ込んで来た。
どうやら俺の霊魂がいるこの身体は、シド=ルイストラという名前らしい。シドは俺の目の前にあるウラヌス
すると、後ろの一般枠の方から視線を感じた。
そして、日本語が聞こえる。
振り向くと、目が合った。
そして、離れる。はじめはこんな学院などつまらないと思っていたが、俺以外にも転生者がいるのか?それなら面白いな。
奥に進むと女性が立っていた。
「魔法の威力と精度、発動時間の試験です。そこの的に攻撃魔法を当ててください。ちなみに的を破壊できれば高めの点数が入ります。」
恐らく、状況に適した魔法を使えるかどうかも試しているのだろう。
「それでは、どうぞ。」
順番が来たので前へ出る。何の
「
奥へ行くと今度は模擬戦をするようだ。それも相手を重力場で押さえつけ、終わってしまう。
まあ仕方ないだろう。さすがにそう簡単に負けるわけもない。
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