感動しそうで出来ない感動する話

九戸政景@

俺、今日だけはお前を愛するよ

「俺、今日だけはお前を愛するよ」

 突然のその言葉に彼女はキョトンとしてからクスクス笑い出した。

「もう、それじゃあ今日以外は愛してくれないの?」

「お前さあ、そういうこと言うなって……」

「ふふ、ちょっと意地悪したくなって」

 そんなやり取りをした少し後に俺は病室を後にする。あの事故以来からずっと彼女は今日の記憶がリセットされてしまう。だから。

「また今日だけはお前を愛するよ」

 そして明日も俺はまた今日を生きる。

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