プロローグ
ある日突然、地球上に、人類を襲う生き物が現れた。人々は、その生き物を、人類の存続の危機を与える存在として「魔獣」と呼んだ。
魔獣は、現代社会の文明である銃や戦車でもあまり有効打を与えることができず、人類は、苦戦を強いられていた。
ただ、そんな世界に唯一の希望がもたらされた。
世界の各地で、科学では証明されないような力で魔獣が討伐されたのだ。
討伐した事例は全て、それぞれの地域に住んでいた、ごく普通の家庭の生まれの少女達が行ったものだった。
その少女たちは妖精と契約したと言い、魔法という力を使った。
その少女達が出現して、魔獣の討伐に参加するようになってから人類は魔獣への勝率が増え、ついに人類は、元の生活を取り戻すことに成功した。
人々は、それらの少女を敬意を込めてこう呼んだ。
「魔法少女」と
だが、魔法少女は、元々普通の人間である。魔獣に負ければ、死んでしまうのだ。魔法少女が初めて出現されてから、現在でもそれは問題になっている。
そして、また1人魔獣に勝てず、負けてしまいそうな少女がいた。
本来であれば、その少女はそのまま死んでしまう運命であっただろう。
だが、その運命は、一人の青年によって変わった。
魔法少女は叫んだ。
「どうして君がここにいるの!?」
必死な顔をして叫ぶ魔法少女の方を、青年は当たり前なような顔をして向き、言った。
「このままじゃ霧崎さん、死んじゃうでしょ?」
青年の目の前には、3メートルぐらいの狼型の魔獣が佇んでおり、大きな威圧感を放っている。反対に、後ろ側には、体のところどころを切り裂かれ、衣装に血がつき、ボロボロになった状態で、座り込んでいる魔法少女がいた。
「早く逃げて!!私が時間を作るから!!」
「どう見たってそれができる状態じゃないでしょ。大丈夫、大丈夫。俺この狼より強いから。」
「今そんな冗談いいから!早く!!」
魔獣は、いきなり現れた青年を警戒して、話していた様子をみていたが、魔法少女ほど警戒するべき存在ではないと判断したのかすぐさまに動き出した。
その魔獣は、青年の元まで凄いスピードで走り、自慢の爪で切り裂こうと腕を振り上げる。
「逃げてぇぇぇぇぇ!!」
青年はその向かってきた爪が届く前に、
すばやく魔獣の懐に入り込み、拳で殴った。
「………え?」
青年を切り裂こうとした魔獣は、拳によりふっとばされ、魔法少女は、予想外のことが起きたことで、開いた口がふさがらないようだった。
そんな表情をしていた魔法少女の方を向き、その青年は………
「ね?言ったでしょ?俺は強いんだよ!」
と、優しそうに笑みを浮かべながら言った。
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