第9話 交渉成立

「こんにちは、今日の気分はどうかな?」


「こんにちは、田所さん。前にクミちゃんの事を思い出して暫く気持ちが昂って大変でしたが、今は落ち着いています。」


「それは良かった。あれから少し日にちが経ってしまったけど、今日は新しいお話聞かせて貰えるかな?増田くんのお話を聞くのが楽しみなんだ。」


「そうですか。期待されるのはやっぱり嬉しいですね。大して面白く無いかなって思ってたんで。」


「そんな事ないよ。今日は前に聞かせて貰った続きが聞きたいな。」


「えーっと…初めて…人を俺の中に入れて…新しい人と出会って…」


「そうそう。その後もその人と会ったりしたのかな?」


「はい。何だか気に入られちゃって。まあ俺もその後お世話になったんで、お返ししたりしました。」


「そうなんだ。聞きたいな。」


「あの後…」






○○○○○○○○○○






クミちゃんは家出して戻ってこない事になっていた。


直前に俺と会っていた筈なのに、全然此方に警察が来たりなどの疑いが来なかった。


本当に隠蔽が得意だったんだなあ。

まあ、ショウは大して役に立ってはくれなかったけど、良い人を紹介してくれたから良しとしよう。


その後、暫くしてショウから連絡が来た。


「この間の人が会いたいって」


何だろう…今になって仕事料とか請求されるのかな?幾らくらい用意すれば良いんだろう。まあ、今回は請求額を聞いて俺が払える額を交渉してみよう。


そんな事を思いながら待ち合わせ場所に行った。

そこは見た目は普通のマンションだけど、所謂ヤクザの事務所だった。


この間のおじさんが居た。


「この間は、自己紹介も出来なくて悪かったな。俺は高木組の宍戸って言う。コッチのヒョロイのは成田って言う」


「先日は大変お世話になりました。サンジって言います。」


「まあ、硬い事は抜きにして…サンジくんって人殺し慣れてる?」


それは抜きにして話題にする内容だろうか?と疑問に思ったけどとりあえず質問に答えよう。


「うーん、人は今回初めてですね。」


「人は?」


「はい。動物なら…鳥とか猫とか犬とか…中身見たくて開いてました。子供の頃からそこそこに」


「へー!怖いとか気持ち悪いとか無いの?」


「はあ、そう言う事は思った事はないですね。」


「例えばさ、同じ事人でも出来る?」


「出来ると思いますよ。寧ろ見てみたかったかもです。」


「そうなんだ!例えばさ、泣き叫んでる人を生きたまま徐々に腹とか頭とか開いたりとか、指一本づつ落としてくとか出来る?」


「まあ、問題ないと思いますね。ただ、それは俺が愛してる子には出来ないですが。」


「大丈夫!やって欲しい人は極悪人で、警察とかで裁けない悪い奴ばっかだから。」


「それは良いですね!子供達に勉強教えるのと同じ位有意義です。」


「良かった!じゃあサンジくんが処理に困ったりする事なったら協力するからさ!その条件で良い?金とかいる?」


「うーん、金は今は困って無いんで結構です。気兼ねなく中身見られる人を用意して貰れば。流石に無差別に手当たり次第中身開いたら捕まるだろうし。」


「ははは!そう言う所は分かってるんだ!やっぱサンジくんって面白いな!」


「一応教育者の端くれですからね。常識は弁えていますよ。」


「常識ね!ははは!なら交渉成立って事で。」





そう言ってお互いの連絡先を交換した。


あの隠蔽の手数料を請求されなくて良かったと安堵した。






「ぎゃあぁぁぁ…何でもしますぅぅ…許して下さいぃぃぃ…」


良い大人が煩いなあ…


俺は早速宍戸さんに頼まれて縛られている人を生きたまま腹を開いていた。


やっぱり人間は脂肪が多いから開きにくいなあ。血も沢山出る。

今度脂身が多い豚バラブロック買って練習しよう…

滑って切りにくい。都度熱湯で刃物を洗いながら割いたら切りやすいかなあ?今度試してみるか…


目玉とかくり抜いてみたら中身どうなってるんだろう?

今度やらせて貰えないか聞いてみよう。

目玉や鼻や耳なら切り落としても直ぐ死なないだろう。



そんな事を考えながら頼まれた様に仕事をこなしていた。




「今回お試しでやって貰ったけど、サンジくん、初めてと思えなかった!顔色1つ変えず凄いな。ウチの若いもんに見習わせたい。」


「はあ…有難うございます。」


詳しくは分からないが、多分宍戸さんの上機嫌振りを見るに、上手くいったんだろう。


「まるで肉屋の店員みたいだったな。ブッチャーって呼ぼうかな」


「何か…プロレスラーみたいで嫌です。ブとか、濁音の文字入ってるのも…」


「変な所拘るんだな。ならマスターとかで良いか。名前人前で出すのマズイだろ?」



結局ここでもそう呼ばれるのか…



「ブッチャー以外ならもう何でも良いです」






頻繁では無いが、ここからたまに宍戸さんに呼ばれて人を生きたまま開いたり切り刻んだりした。





そして俺も頻繁では無いがたまに宍戸さんに後始末を頼んでいた。

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