第2話 ナミは悪友
「ナミ、ショウって人知り合い?」
「うーん、詳しくは分かんない。顔見知り程度かな?俺タチもやるけど基本ネコだしアイツもネコだから遊んだりはしないなー。」
「…」
ネコ…イマイチ専門用語は分からないけど、多分役割が被るから身体の関係にはならないって事なんだろう…
「ショウと話したの?」
「まあ、少し。お前が俺を放置プレイしやがったからな。」
「あはは、ゴメンゴメン!あの時ついハントモード入っちゃって…狩に勤しんじゃった。」
「ったく、あんな怖いとこに俺を2度と誘うなよ!」
「分かった分かった。でもなあ…アイツ見た目スマートで優しそうなんだけどさ…正直ショウの良い噂聞かないし…深入りしない方が良いよ」
「分かったよ。ご忠告ありがと」
「まあ、男に興味持ったならまた案内したげるよ!」
「いらん。俺年下好きだし。あんな野獣の群れは恐ろしい。」
「あー、そうだったなー。お前カテキョで生徒に手ェ出してるだろ。程々にしとけよ。幾ら相手が高校生でも未成年は色々ヤバいぞ!」
「分かってるよ。」
実際は…小●生もいる事は流石にナミには言っていなかった。
○○○○○○○○○○
ナミと大学の課題で図書館に行っていて、帰り道にヒロミと出くわした。
「先生ー!」
「おう、ヒロミか、こんな所で偶然だなあ。」
「まっすー、この子カテキョの子?」
「そだよー。他にも何人かいるけどね。」
「…」
ナミがなんとも言えない顔をして俺を見ていた。
流石に小●生に手を出しているとは思えなかったらしく、すぐに笑顔に切り替えていた。
「ヒロミちゃん?どーしたの?」
ナミが優しく声をかけた。
「クラスのね!タケオがね!私に意地悪ばっかするの!こないだ給食の私のゼリー奪って食べちゃった!」
ヒロミは話していて興奮して来たのか涙が出て来た。
ホント子供は可愛いよなー。目の前の事に一生懸命で、素直ですぐ泣いたり怒ったり…
「そうかあ…その子は意地悪で男の子で怖かったなあヒロミ」
そう慰めているとナミが参戦して来た。
「俺も最近狙ってた男横取りされておんなじ事やられたから悔しいのは良くわかるぞ。隙を見て次のデザート奪って目の前で食ってやれ。」
なんか…色々子供に教えちゃいけない事が混じってる気もするが…
「うん!今週は冷凍みかんとプリンの日があるから両方奪ってやる!倍返しだ!」
昔の何かのドラマの決め台詞言ってる…
「ついでに揚げパンも食ってやれ!」
「よし!慰謝料追加してやる!」
更に悪事を追加させてしまった…
お前、教師になるんだよな…大丈夫か?
まあ俺も人の事言えない事やってるが…
「じゃあねー!」
元気になってヒロミは走って行った。
「所でお前は卒業したらどうするんだ?」
ナミが聞いてきた。ナミは教師になるつもりなので進路はもう決めて頑張っていた。
「まあボチボチとかなあ…生きてる内に色々経験したいからなあ。学校となると狭い世界だし、世間から隔離される気もしてるし…」
「俺は逆に広い世間に放たれるのは怖いな」
「へー!」
あれだけ奔放にしているナミのこのセリフに驚いた。
「だってさ。何か教えるって楽しいしさ、別に波瀾万丈に生きたい訳でもないしさ、何より何か世間とか社会というか、知らない方が良い事を突きつけられそうで怖いな。会社にゲイバレして理解ない人達に苦労してる知り合いもいるし…」
そうなのだ。
学校は社会から隔離されてはいるが、世間はより差別や偏見なんかに厳しい世界だ。
まだ教育の世界の方が理性的かも知れない。
「俺はな、お前と少し考えが違う。俺も別に自由気ままに生きたい訳じゃない。今もそれなりに楽しい。ただ、どうせ長い人生なら色々な世界を知りたい。」
「お前も何だかんだで冒険好きなんだな。今度一緒にまたあそこ行くか?」
「それはやだ。怖い人とかに騙されたりして死にたく無い。痛いのもやだ。死ぬなら自分で決めて進んだ世界の中だ」
「ははは。あそこで死にはしないが臆病なんだか無鉄砲なんだかわからん奴だなお前は。でも面白い。」
「まあお互い長い命を悔い無く生きような」
「その意見には同意だな。」
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