【本日1章完結】ボクっ娘ケモ耳神様と最強陰陽師の子孫〜禁じられた恋に立ち向かう小さな恋の物語〜
ユウキ・アカツキ
第1章禁じられた神と人との出会い
第1話人に憧れる神様と神様を探す人間
chapter000
あなたは、神様って信じる?
ものには、必ず神様ってものが生まれるらしいけど……それは土地にも産まれるってことを私は信じてる。
だって、お母さんがそう言ってた。
『物を大切にすると、きっと……神様が来てくれるよ。だから
そう、言ってくれた。
だから、私は探し続けてる。
お母さんが言っていた神様を。
私が大切だと思える……存在を。
chapter001
「今日も、平和だな」
ボクは、この人が作った街……と呼ばれる中を歩きながらそう思った。
いや、平和なのはいい事だと思うけれど。
昔のこの日の国のことを考えれば……ここまで発展するなんて信じられなかった。
今は、こんなにも明るくなっていてとても信じられないけれど昔はほんと辺り一帯が暗くなって提灯の灯りがないと山の闇に飲まれてしまうことが多かったんだ。
そう、懐かしく思えるほど……ほんとに変わった……
いや、人というのはどれだけボクたち神様を驚かせれば気が済むのか……
ほんとに面白いと言ってしまいたくなる。
「あの最強の
ボクも、人を信じたい……だから、神様をやめて……人に仕えてみたいな……
なんなら、人間になるってのも……ありか。
夜のこの暗い闇の中、神様としてはあってはいけないことを考えてしまう……
それほど、この人間たちが作った輝きは……大きくて……眩しくて……
そしてとても……
とても、美しいと……思った。
今からおよそ、二十三年前。
最終神人事変と呼ばれる、西園寺蒼月と織田信長が引き起こした最悪の厄災から……全てが救われたこの日本。
ボク達、一度消失した土地神は創造神によって産み出され、再びこの日の国を守る為に存在し続けている。
だが……
ボクを含めた一部の神達は……澪という伝説の神の存在を棚に上げ、自分たちも人間にして欲しいというやつらが現れた。
だが……それを良しとしない創造神はボク達神を……人と接触出来ない……罰を、与えられた。
そう、その罰が発行されて……早十年……
そんな、そんなことが起きてから……あたし達はこの世界を彷徨い続ける。
ほんとに、誰にも見られず、聞かれず……
ずっと、ずっと……ボクは、生き続けた、ずっと……彷徨い続けたんだ。
だから……
ボクは、この憧れを隠して……過ごすしかない。
ただ、この人間たちが作り上げた……この世界を彷徨い続けて生きるのもいいかもなと思ったが。
まあ、結ばれないことがあってもしょうがないだろうな……
みんな、結局神なんて忘れていくものなのだから。
忘れられた神達の行く末は忘れられるのが運命。
だから、まあ、こうなるのはしょうがないのかなとか思った。
「まあ、ボクの嘆きなんて……誰にも届くことは無い、実際……他の子達にしか……あたしの声なんて届かないってことは知っている。だから、人に話しかけられることなんて……ありえないのは分かってるからな……」
だからたとえ……ボクを見つけることが出来たとしても……それは幻……まやかしさ。
でも、人に見つかるのなら……
澪様と同じように……神の見える人間に拾われたいな……
「ほんとに……」
「「早く見つかりたいな(見つかって欲しいな)」」
不意に、声が重なった気がした。
人間……か。
茶髪で、髪を一纏めにしていて……よく街で見るスーツ姿……というものなのだろうか……
それを着た女の人間か……
まあ、こういう綺麗な人間に拾われてみたいなとは思うが……
まさか……まあ、まさかな。
ボクには関係ない……どうせ、男か何かを探してるんだろうな……なんて、思いながら……
そう、立ち去ろうとした。
「待って!!」
「?!」
腕を、掴んできた……
ボクの、礼装の裾を……いや、そんなはずは無い……
この人間が……あたしを見ている……?
それは、ありえない……
「あの……えと……その、あなた……普通の人とは……違います、よね?」
「えと……」
それは、そうだけど……
でも、こういう時って……なんて言えばいいイんだろ……
それは、分からない……けど、こうやって出会えた……いや、見つけてくれた……
それが……全てなんじゃないのか……
「普通の人……か、そう、ボクは普通じゃないよ」
まあ、一見すると……普通の人間とは違う……
巫女服のような礼装を着て、白髪で……見えてないだけで耳としっぽは生えてるから……なんだか……ちょっと普通の人からしたら……まあ違うだろうな……
それで、いいのか……
それは、分からないけれど……でもボクは、何が言いたいのかな……
何がしたいのか……
それは、分からない……
分からなくて……いいのかもしれない……けど、この女の人には変に思われたく、無い。
「えと……その、ボクは……神様だよ、土地神様」
「土地神様……貴方なのかもしれない……君を!!私は探してた!!貴方なのね……きっと……きっとそう!!お母さんが言ってた神様って……きっと……あなたのことだったんだ……」
そう言って……目の前の女の子は……嬉しそうに笑っていた……いや、泣いていた……と言えばいいのだろうか。
その場で崩れ落ちて……
「え、ちょっ……ええ……」
「いいの……大丈夫……大丈夫だから……」
「でも……」
「ふふ、心配性だなぁ……でも、ありがとうね……こんな私を気持ち悪いって思わなくて……」
そんなふうに……思うはず、ない……
だって、今出会ったばかりなのに……そんなこと思うことなんて……悲しいじゃないか……
ボクは、そんなことなんて思いたくもないよ……
「優しい目……あなた、色々と背負い癖ない?」
「へ……?」
「ふふ、やっぱりね」
なんか、分かられてる感じだけど……まあ実際背負い癖が無いと言ったら嘘だけど……
それでも……この子は……見れば見るほど……異質な感じで……惹かれてしまいそうだ。
「君は……何者なの?」
「私?私は……愛奈、
「西園寺……西園寺って……あの?!」
「やっぱり有名なんだ〜、神様の世界だと」
そりゃ有名だ……あの、最強の御三家である陰陽師である西園寺家なんて……
聞いただけで、恐れおののくはずだ……
だけど、今は確か……ほんとに没落して……って聞いたことがあるんだけど……
いや、それだけじゃない。こうやって出会えたこの子にはそんな悪い感じも何もしない……
ということは……ほんとに、大丈夫な人、ということか……
「あなたは……?」
「え?」
「あなたは……どうしてこんなところを歩いてたの?」
「それは……いきなりだな……どうして、どうして歩いてたんだろ……それは、どうしてだろうね……」
「何かを探していたの……?」
「それは……そうかも、何かを探してたのかもしれない……」
探していた……というよりかは……誰かを……何かを求めている……
ボクは……
ボクはただ、見つかりたかったんだ、こういう子に……
神の縛りなんて関係ない……僕はただ……ひたすらに……
人に見つかって……人なりの幸せを欲しかった……
「ボクは……人に、憧れたんだ……」
「え……?」
「人になりたい……人と一緒に、過ごしてみたい……ただ、それだけなんだ」
「そう、なんだ」
こんなこと……話したところでこの子には関係ない……
だから、このまま居なくなった方が……いい。
なんせ、ボクは人に憧れるだけの……ただの神様だから。
ボクは、このまま歩みを進めようも思った。
その方が、この子にとって……いいだろうと思ったから。
「いなく、ならないで……」
「え……?」
「私も、あなたみたいな神様を……探してた……大切だって思える子を……!!だから!!一緒に、家に来てくれませんか……?神様」
そう、訴えかけるような目で愛奈はボクを……
この、ボクを見つめていた……
それが、どういうことを意味するのか……どうなるのか……そんなことなんて分からない……
けど恐らく……これが……出会い、というのだろう。
ボク達にとっての、大切な……
to be continued
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