*路地裏でカツアゲされたので『金』を出したら、強盗が引いて警察に捕まった件**
志乃原七海
第1話「金ねーんだよ! 金だせよ! かね!」
タイトル:**『勘違いの代償』**
深夜の路地裏。街灯の明かりも届かぬ暗闇で、鈍く光るナイフが突きつけられた。
「金ねーんだよ! 金だせよ! かね!」
チンピラの怒号が響く。脅されているのは、見るからに気弱そうなサラリーマンだった。彼は顔面を蒼白にして、両手を挙げて震えている。
「ひぃ~! わかりました、出しますからいのちだけは……!」
「物分かり、いいじゃねーか! さっさと出しな!」
サラリーマンは震える手で、おもむろにズボンのベルトに手をかけた。
カチャ、カチャ。バックルを外す金属音が静寂に響く。
「ん? 何してんだよ?」
チンピラが怪訝な顔をする。隠しポケットか何かが下着に縫い付けてあるのか? と思った次の瞬間だった。
サラリーマンはズボンをストンと足元に落とし、あろうことか履いていた白いブリーフをも勢いよく脱ぎ捨てた。
一糸まとわぬ下半身が、夜風に晒される。
男は背筋を伸ばし、自身の股間を指差して叫んだ。
「はい、脱ぎました! 金(きん)出しました!!」
数秒の沈黙の後、路地裏に悲痛なツッコミが響き渡った。
「そっちの『カネ』じゃねえよ!!!」
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