パンチ☆太郎先生。いつも面白い小説を書いてくれてありがとう!

パンチ☆太郎

童女品評会

第1話 

「あんた、手紙が届いとるよ」


 部活から帰ってきた、野原伊織は、母親から一枚の封筒を受け取った。


 差出人は、「モデル種付けプレス」という会社だ。


 封筒の右下に、企業ロゴが書かれており、封筒もピンクを基調としていた。


 ビリビリと封筒を破るのが嫌な、野原は、はさみで中身を切らないように気を付けながら封筒を開けた。


 すると、一枚のカードと、4つ折りになった、A4の神が出てきた。A4の方は何かの文書だろう。


 文章を読むのは後回しにして、黒いカードを見ることにした。


 挑戦権と、3文字で大きく書かれている。


 これは文書を見ないといけないか、とあきらめ、4つ折りの紙を開き、仕方なく中身を見た。


 次のようなことを書かれている。


 JCグランプリ、書類選考を突破いたしました。おめでとうございます。つきましては、以下のURLから、必要事項を書いて、次の選考に進んでください。


 定例なあいさつと共にそれが書かれている。


 え?と思った。


 何の話か分からなかったからだ。こんな訳の分からない書類は捨てるのが定石だと知っているが、JCグランプリの書類審査に何故か選ばれたのだ。


 JCグランプリの存在は、もちろん知っているが、そんなものは自分には縁がないどころか、雲をつかむような話だったはずだ。


 読者諸君も、おそらく野原と同じ気持ちであろう。


 何かの間違いじゃないの?


 しかし、母親が、渡してきた以上は、あて名や住所はあっているということだ。


 情報リテラシーの高い読者諸君はこんなことをしないだろうが、何のリテラシーない、リテラシーなどどこ吹く風と言ったように、野原はそのスマホで、QRコードを読み取ることにしたのだ。


 すると、モデル種付けプレスのJCグランプリのページを開くことができた。


 ページの中に、提出書類一覧と言うところがあったのでそこをタップした。


 そこにあったのは自分の個人情報全てであった。


 ご丁寧に顔写真までつけている。


 住所、氏名....

 氏名は、手続き上必要なものは書いているが、全国には公開されていないようでひとまず安心をし、電話番号、アピールポイント、意気込み、好きな食べ物、得意なこと、最近はまっているもの、好きな芸能人、などが書かれていた。


 しかし、自分はこんなものを書いた覚えはないのだ。


 一体誰がこんなことをしたのだろうか。


 いたずらにしては少々やりすぎだ。


 到底許されることはないが、同時に喜びも感じていた。


 なぜなら、この書類審査は、厳しいことで有名だからだ。


 このJCグランプリは、数年前までは、競争が少なく、書類は誰でも通るものとなっているが、昨今は、芸能事務所に所属していても厳しいものになるのだ。


 そんな厳しい中で、一般人のごく普通の女である野原が、合格した。


 しかし、野原は自分の容姿が気に入らなかった。


 身長175㎝


 どちらかというと色黒で、ほっそりともしていない。


 近年は身長の高い女の子も注目されるが、スポーツをやっているので、デカい女と思っているのだ。


 中学2年で、ソフトテニス部であった。


 その中でもかなり目立っているということに、野原はほとほと嫌気が差している。


 提出写真を見て、ある疑念が浮かんだ。


 野原は、それを問い詰めようと思った。


 しかし、これはあいまいにされかねないなとも思った。


 これを聞いてよいものだろうか。


 友達を疑いたくはない。


 悪意があると思われたくない。


 しかし、許せない。


 だが、書類選考が通ったのはうれしい。


 これは、神が与えたチャンスじゃないのか


 だが、これを本気で提出すると、この件の絵を書いたやつがきっと笑うんじゃないか。


 そうも思った。


 あいつ、私がやった餌にまんまと食いついてきたよと


 その誘いに乗っていいものだろうか


 自分はその選択をしていいのだろうか


 JCグランプリに自分は選ばれたいと思っているのだろうか


 自分の容姿に自信があると思われないだろうか。


 この誘いに乗れば確実に思われるだろう。


 しかし、犯人はそれがお望みのはずだ。


 だったら、自分がピエロを演じてやるのもやさしさと言うものじゃないか


 あえて、乗ってやろうじゃないか


 まあ、勘違いするなよ


 本気にしたわけじゃねえからな


 ただ何となく興味がわいただけだからな?


 アイドルのデビューの話とかで、友達が応募したとかいうのはよく聞く話じゃないか。


 じゃあ、私がこれに応募しても何の文句もあるまい?


 お前が何の意図で、書類を送ったのかは知らないが、まあ、迷惑をかけるのも申し訳ないと思っただけだからな。


 お前のためじゃないからな


 そう思いながら、野原は必要事項を記入していった。


 すると、悪びれもしない文章がスマホに届いた。


 吹き出しとその文字の羅列に一瞬いら立ちのようなものが湧いたが、感情のままに送信することはせず、一度その文章とも言えない文章を読んだ。


 クラスメイトで友達で、よくメッセージのやり取りをしている、祐紀からだ。


「JCグランプリの封筒届いた?」


 こんな調子だ。


 あきれてものを言えないとはこのことを言うのだろう。


「何で勝手に、送ったの?」


 とりあえずこれだけを送信した。


 

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る