「冒険者ギルド」
俺は迷っている。
正に今、学園の入学試験受付をしようとしているのだが。
(家名どうしよう。)
当たり前だが、俺もトースも家名が無いのだ。
絶対に聞かれるに決まっている。
「すみません。入学試験の手続きをしたいのですが。」
まずい、こうしている間にもレーナが着実に手続きを進めていく。いや、ワンチャン平民は家名無いとかあるしな!レーナにも聞かれなかったし!大丈夫、大丈夫!
「はい。手続きですね。では、こちらの用紙にそれぞれ記入をお願いします。」
成程、聞かれるタイプではなかったか。てか、普通に考えればそうだよな。なんだよ、口頭確認って。意味わかんねぇだろ、俺の馬鹿。
「お二人は自身で書きますか?」
レーナが首を傾げてくる。
「ん?あーー。」
そうか。
そう言えば平民って文字書けない事多いよな。教育が行き届いてなくて、そういうことになるとか。
でも俺こっちの世界に来たばっか(現実時間)だから文字知らねぇ!
そんな事を考えていると
「あぁ、そのくらい自分たちで書くぞ。」
ギルがそう言った。
「あのギルさん?千年経ってますけど大丈夫ですか?」
俺が小声で確認する。
「ここに来るまでで大丈夫だと分かっている。店の看板など読めていたろ?まぁ、大体は分かるさ。」
へー。優秀やな。(他人事)
「えーっと?ふむふむ。」
名前に、出身地に、保護者に、その他諸々か。
うーん。読めはするが書けねぇな。
「…………!そうだ!『叡智の書庫』」
俺はこの世界の文字を知りたいとイメージをする。
「ヨシ。いけた。」
ふむ。やっぱり便利だな。固有魔術は。
「なんだ、大丈夫じゃないか。」
ギルがそう言う。
「まぁ、こう言う時のための固有だからね。」
つくづくこの固有に助けられているが………本当にこれだけだろうか?代償とかありそう………。
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「これで全部かな?」
俺はようやく書き終わる。結構多かったな。
因みに家名は書いていない。まぁ、多分書かなくても大丈夫だろう。
「ふむ。見せてみろ。」
「あっ!ちょっと!」
ギルが取り上げてきた。
「ここをこうして、あれをそうして。」
「何してんの?」
何やら俺の用紙に書き込んでいるらしい。
何かの不備があったのか?
「これで完成だな。」
ギルは俺に用紙を返す。
「ふむふむ。え?」
名前 トース・イージス
家族構成 ギル・イージス 兄
………は?
「ギル?なんで勝手に家名つけてんの?しかもなんで兄弟設定?」
「その方が都合がいいと思ってな。」
イージスってなんだよ。えっと確かギリシャ神話の盾だっけ?てかなんでコイツ知ってんの?
こっちの世界にもイージスってあるのかな?
「因みに双子な。」
ギルがニヤッと笑いながら言う。
「後付け設定ひどすぎるよ。」
俺はため息をつく。待って、俺って弟ってこと?ぐぬぬ。納得いかん。
「書き終わりましたか?」
「あぁ、二人共終わったぞ。」
ギルがレーナに用紙を渡してしまった。
「ちょっと!」
俺は取り返そうとしたが、遅かった。
「お二人は兄弟だったのですね。歳の方はそこまで離れていないように見えますが?」
「俺らは双子だ。」
「成程そう言う事でしたか。納得です。」
いや、ちょっと………納得しないで。
俺はキッとギルを睨みつけた。
「まだまだだな。」
「うわっ!もう………。」
ギルが急に頭を撫でてきて思わずビックリしてしまった。………本当に弟みたいじゃん。
レーナはニコニコしてるしさ。
「………では、こちらでお願いします。」
そんな事をしてる合間にレーナが受付の人に用紙を渡していた。
「確かに頂戴しました。こちらが受験をする際に必要な物となりますので当日忘れぬようお気をつけください。」
俺たちは番号が書いてある名札を3つ受け取った。なんか、レーナのやつだけが豪華だな。
平民と貴族の判別をつけるためかな?
「それでは申し込みも終わった事ですし、今日こそ街を探検しましょうか。」
「昨日は全然探索できなかったからな。今日は色んなもん見るぞ!」
そして俺たちは学園を出た。
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「なんか昨日より慌ただしい雰囲気があるな。」
周りを見れば昨日はあまり見る事がなかった防具を着た人や剣士、魔法使いなどが居た。
するとレーナがうーんと言いながら、
「そう言えば、最近この辺りで魔獣が増えてきているみたいですね。それの影響でこの王都に冒険者が集められているとか。」
「へぇー!冒険者が居るんだ。」
どうやらこの世界にも冒険者という職業はあるらしい。
「もしかして興味がありますか?」
「うん。冒険者ってちょっと憧れがあったんだよね。」
男子なら誰もが一度はなってみたいものだろう。(俺調べ)
「そうですか。なら、冒険者ギルドに行ってみますか?」
レーナがパンと手を合わせる。
「お!いいね。行ってみたいな。」
「ほぅ。まだ残っていたか。」
ん?ギルのこの感じ。なーんかあるな。
「冒険者とは何か因縁がある感じ?」
俺がギルに小声で確認する。
「いや?特に。まぁ、俺を討伐しに来た輩がそうだっただけと言う話だ。」
「あぁ。。。そう。」
多分だけどその冒険者達は悲惨な目に遭ったのだろうな。可哀想に。
「???」
やべ。またレーナが仲間はずれだ。めっちゃ首傾げて不思議そうな顔してるな。………可愛いな。
「ヨシ、それじゃ冒険者ギルドに行こう!!!」
俺は誤魔化すように大きな声を出した。
-冒険者ギルド前-
「おぉ。いかにもって感じだな。」
冒険者ギルド。
見た目は酒場のような、役所のような。まぁ、掛け合わせたようなイメージだな。よくあるやつだ。
ん?なんかレーナが珍しくもじもじしてるな。
なんだ?
「あの…その……えっーーと。」
「レーナどうしたの?そんなに言い淀んで。」
「ぼ、冒険者というのは気難しい人が多いので、お二人が絡まれてしまうと思うのですよ。」
「あー。うん。よくある話だね。」
まぁ、冒険者なんてそんなもんだろ。俺らは容姿も性別的にもヒエラルキーが下の方だからな。確実に絡まれるだろうな。
「だから、その、なるべく目を瞑ってあげてほしいのですが……。」
「え?なんで?」
こう見えて僕はクソガキだ。売られたケンカは買う。やられたらやり返す。
しかも冒険者なら尚更だ。舐められたら後々面倒なことになるしな。
「恐らくなのですが………私の主観ですよ?多分、お二人の方が強いので冒険者の方々に実力を見せてしまうと後々面倒なことになることが避けられないと思うのですよ。」
「成程。分かった。なるべく穏便に済ませるよ。」
これ以上迷惑かけられないしな。
よし。絶対に問題を起こさないぞ。
「じゃあとりあえず中に入るか。お邪魔しまーす!」
俺はギルドの扉を開け中に入ったが、
バシャーン。
飲み物が入った樽が投げつけられた。
勿論直撃。びしゃびしゃだ。
「ト、トース……さん?大丈夫ですか?」
レーナが恐る恐る俺の顔を覗き込む。
「………。」
ごめんレーナ。
やっぱムリ^_^
………………………………………………………
はい。お察しの通り。コイツ意外と沸点低いです。(時と場合によるが)
まぁと言うより、性格的にされた事をそのまま返すというのがトースの一種の信条みたいなものなので、敬語を使われたら敬語で、タメ口ならタメ口で、という感じですね。
一応、物語が進むにつれこの性格は抑えめになっていきます。多分
ギルは全然煽られても平気です。トースとの言い合いはただのノリです。彼にはトースのストッパーとして働いてもらいます。(作者の都合)
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