ただの平穏な高校生の日常(笑)
成瀬碧
桜の似合わない君
桜舞う4月、俺は高校生活の幕が上がる。
俺の名前は佐伯悠真(さえき ゆうま)今日から高校1年生になる。
出会いの春、というけれど、俺と仲良かった友人たちはみんな頭が良くて隣の市の1番頭の良い高校を選んだ。もちろん、俺がそんなに勉強ができるわけもなくひとりさみしく地元高校へ来た。もちろん、地元の高校ということもあり、中学校時代に見かけた人、すこし話した人るけどそんなのほぼ他人だ。
まあつまり、俺にとって春は別れのイメージのほうが強い。
そんな事を考えているといつの間にか正門までやってきていた。高校の近くに父さんの友人の家があり、そこに車をおいてきた。緊張で歩くペースが早まり、15分前についてしまった。ちょうどいいくらいだけど、俺は5分前くらいに付く予定だったから早すぎたと思った。同じ新品の制服を着た生徒たちが体育館へ案内される。案内に並ぼうと思った。その時、体育館シューズを車においてきたことを思い出した。母さんに伝え、車の鍵をもらってダッシュで取りに行く。目当ての体育館シューズを手に取り、走って向かう最中、視界の端にピンクを見つけた。
桜だ。久しぶりに見た。最近見てなかった。いや、見てもそんな気にも留めなかった。
桜の木の下に行く。そこでやっと気づいた。同じ制服を着た男子生徒が立ってる。
やばい、気まずい。だから気づかれる前に撤退しようと思った矢先、その人物が振り向き、こちらを見た。
小麦色の肌に真っ黒な髪、大きい目。俺の身長が周りより高いこともあるだろうが、この子は小さい。俺の胸辺りに頭がくる。全体的に幼い印象を与える少年だった。でも、雰囲気はなんだか大人っぽい気がする。
彼は俺が居たことに驚いたのか、元々大きい目をもっと見開いたかと思えば、春には似合わない強い風が吹いてきて、目を細めた。
桜が舞う。髪がなびく。儚くて幻想的なその空間に目を細め風に耐えている彼がいる。
俺は、彼に、桜は似合わないと思った。
「っふふ」
風が収まり、俺達はまた視線があった。すると、彼は眉を下げ、急に笑いだした。
「な、なんですか。人の顔見て」
「いや、花びらめっちゃ髪についてるから。…ふふ、あはは」
「嘘、まじすか」
髪を払うと、彼はおかしそうに笑いながら
「ここにもついてる」
ととってくれた。幸せそうに笑う人だ。俺もつられて笑ってしまう。
「ほんとだ。どんだけついてるんだよ。ふは、あはは」
二人して笑った。そして、
「まって!やばい!入学式!」
ということで入学早々二人で走ってギリギリ間に合う、という馬鹿なことをしてしまった。
案内された席につき、ざっと周りの人に目を通すと、同じクラスだった女子の1人や同じ中学出身の知り合いがいるらしかった。
色んな人の話を聞きながら、頭の中はさっきの人のことばかり考えていた。
あのあとどうなったんだろう。案内は、されただろうな。どこのクラスなんだろうか。
あんなに桜の似合わない人。また会えたら、いいな。
自分らしくもないセリフが脳裏に浮かんで恥ずかしくなった。
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お読みいただきありがとうございます。
初書きで全然自信ないですが、自分の書きたいシーンが秋〜冬あたりなのでそこまでついてきてくださると嬉しいです。
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