第2話 天啓を達成する意味
あらすじ
地方高校の国語教師をしている
*
次の天啓【黒板消しを整列せよ(窓ふきは継続)】。本当に日々のタスクみたいだな。まあこんなことを言っても、目の前の表示は消えないのでとりあえず整列させに行く。
俺はもう一度教室の中に入り黒板の方へと向かった
―なんだあいつ、また入ってきやがった
―早く出て行ってほしい
―気持ち悪いなぁ......
「くそっ......。こんなことを聞きに教室戻ってきたわけじゃないのに......」
俺はイラ立つ気持ちを抑え、黒板消しを手に取った。この教室には黒板消しが前後ろ両方合わせて4個ある。とりあえず、後ろと前の黒板の左右に1個ずつ黒板消しを置いた。
「よし、こんなもんだな」
なかなか見栄えは良くなったと思う。左右に一つずつだが、これは整列しているといえるだろう。だがしかし、目の前の表示はまだ消えない。
【黒板消しを整列せよ(窓ふきは継続)】
そうか、窓ふきがまだだったのか。さっきは廊下の窓を拭いたときに消えた。今回、俺がいてるのは教室だ。つまり教室の窓を拭けということか。
俺は雑巾を手に取り、教室の窓を拭き始めた。
―うわ、あいついきなり窓ふき始めたぞ
―暇かよ
―さっさと出て行ってくれ
「.......くっ!流石にこれは......!」
俺は生徒の方を向き、大声を出そうとした。
『おいミウラァ!怒るな!!』
天界からお聡を食らってしまった。
『何も考えず徳を積むためだけに天啓を達成するのじゃ』
なんなんだよ一体......。そもそもなんで俺が徳を積まなくちゃいけねえんだよ!
『おや......?お主、まだ天啓を達成する意味を知らなかったのか......?』
こ、こいつ心を読めたのか!......まあ良い。
〈おい、天界とやら!なんで俺が天啓を達成せにゃならんのだ‼〉
『それを答える前に、まずお主はなぜ天啓を達成せねばいかんかわかるか?』
〈......徳を、積むため......か?〉
『まあそうじゃな。それじゃあなんで徳を積まねばならんか、わかるか?』
徳を積まねばならない理由。俺は実家が寺だったから親から色々教え込まれたことがある。それは徳を積むことで自分自身だけじゃなく、他人の幸せにも繋がるからだ。
〈他人の幸せにも繋がるから......〉
『そうじゃ。だが、お主にはその心がない』
〈なっ......!〉
俺に人を想う心がないだって......?そんなことはない!俺は生徒の未来のため、自分が嫌われても良いと思っているほどだ。そのために、とても厳しく接している。
『お主......生徒のためだと言って、己の機嫌に左右され己の思い通りになるような指導をしておるな?』
〈い、言いがかりだ!俺は......!〉
『“黙れ”』
〈......っ!〉
なんてひどい対応だ......。だが、俺は返す言葉が見当たらなかった。
なぜならこれは俺が
〈で、でもあれはあいつが――〉
『“言い訳すんな”』
〈————!〉
これも俺がやっていたことだ。
〈......確かに、自分の機嫌に左右されている気がする〉
『“気がする”じゃなくて“されている”のじゃ。だからお主は人を想う心がない。それのせいでお主には悪運が付き纏ってしまうことになったのじゃ。ほれ、最近思うことがあるじゃろ?』
〈心臓に影、足のケガ......〉
その他にも思い当たる節がありすぎる。
『じゃから、お主は徳を積んで、その悪運を取り払う必要があるのじゃ』
なるほど......そういうことだったのか。ということは、全て俺が悪いんじゃないか?確かに機嫌に左右されるのは良くない。それに前は自分の過ちを認めなかったこともある。
『そういうことじゃ、というわけでミウラよ。己のためにも徳を積むのじゃ、よいな?それではわしはもう行くぞ』
〈あっ、おい......!〉
天界からの声は消え去った。徳を積め......か。
【天啓を受けました!確認してください!】
俺は新たな天啓を確認した。
「な、なんだこれ!?」
【天啓2:黒板消しを整列させろ(窓ふきは継続)】
【天啓3:コンビニで募金せよ】
【天啓4:なるべく笑顔で過ごせ】
【天啓5:体育倉庫の影に何かいる】
見浦「なんだよこれ……ていうかどんな天啓だよ!」
この他にもずらりと天啓が表示されていた―———
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