ⅤⅡ.明日使えないかもしれないアンチ対策。
22.荒らしに反応するのも荒らしって教わらなかったのかい?
「うーむ…………」
夜。
私はひとり、PCとにらめっこする。
ディスプレイには、自分のチャンネル。その管理画面──より正確に言うと、そこに書き込まれたコメントが映し出されているのだが、その内容がまあ、荒れている。
いや、荒れているというのはやや語弊があるかもしれない。実際、配信や歌みたに対する好意的なコメントも付いているし、なんだったらそっちの方が母数は多いのではないかという気がしている。が、本来は少数のはずの「アンチコメ」みたいなコメントが目立ってしまうのは、
「なーんで反応しちゃうかねぇ……」
そう。
返信が沢山ついてしまっているのだ。それだけではない。他のコメント同様に「いいね」がかなりついてしまっているのだ。裏を返せば、その「目立つアンチコメ」に対して「いいね」はするものの、自分はコメントしない「潜在的アンチ」もそれなりにいることになる。
正直なところ、悩んでいた。
アンチに対して、ではない。
それに対する対応に関して、だ。
ぶっちゃけて言えば、アンチに関してはあまり困っていない。
流石に配信のコメントをびっしりと埋め尽くすみたいな事態になったら話は別だが、そうでなければ、所詮は人力のコメントだ。こっちが無視すれば自然と消えて行く。
アンチコメントなんてのはただの目立ちたがり屋か、反応してほしい「好きな女の子に嫌がらせをする小学生男子」の亜種みたいなものなのだから、気に掛けなければそれで終わりなのだ。彼ら彼女らにとって最大の栄養は「反応」だ。
なんだけど、流石に配信後のコメント欄、しかも人気順で並び替えた際の上の方に残り続けているのはあまりよくはない気がする。
好意的なコメントも「アンチコメ消した方がいいですよ」みたいなものがちらほら出てきた。これは「消した方がいいですよ」ではなく「見ててきもいから消してくれ(懇願)」という意味なので、対応しないと、無事にアンチの一派になりかねない。さて、どうしたものか。
と、考え込んでいたところに、
「……お、
和から連絡が来た。内容は。
『話したいことがあるから、一緒にご飯食べない?』
ふむ。
焼肉を奢るとかではなく、一緒にご飯を食べるだけ。ということはそんなに深刻な内容でもないのだろう。ならば、ついでに、相談を持ち掛けてみるのも悪くは無いのかもしれない。もっとも、私とは違って配信のコメントをチャンネル登録者限定にし、早々とメンバーシップを解説し、メンバーシップライブも行っている和にアドバイスを求めるのはちょっと違う気もするけど。
私は和に「いいよ?どこ行く?」と返信する。すると和から、
『
「行きたいところねぇ……」
考える。幸いにして平日ではあるものの、時間帯が夜だから、ランチ限定のバイキングをやってるあそこは使えない……なら、あっちかな。
と、いうわけで、行きたい店を決定し、集合場所を決め、私はそれなりに身支度をして、家を出た。
◇
「取り合えず晒し上げて良い?」
店について、着席し、各々食べたいものを取ってきた(結局中華のバイキングにした)ところで、開口一番、和がとんでもないことを言い出した。
「…………はい?」
「はい?じゃなくて。七海のことでしょー」
「いや、ことでしょーと言われてもな……」
取り合えず晒し上げる前に、取り合えず主語を付けて欲しいな?
和が取って来た餃子をひとつ食べてから、烏龍茶で喉を潤し、
「コメント欄。酷いことになってるじゃん。気にしてないの?」
「ああ」
なんだ。
和の「話したい事」の内容も同じだったらしい。なら、話が早い。
「それについてなんだけど、ぶっちゃけどうしたらいいと思う?」
「晒し上げる」
「もうちょっと穏便な方法で」
「ぶち殺す」
「やだ女の子がはしたないですよそんな言葉をお使いになって。それと、穏便にと言ってるでしょう耳クソ詰まりすぎじゃありませんこと?」
和はぶすっとして、
「別に詰まってないし、七海の方が下品」
「なるほど確かにクソは良くなかったな。けど、問題はそこじゃない。対処法がどっちも穏便じゃ無さすぎるんだよ」
「だってさぁー……あのクソどもムカつくんだもん……」
そう言って今度は春巻きにそれはそれは豪快に食らいつく。和さま。下品な言葉が出ていらしてよ?
「つってもしょうがなくないか?」
「何が?」
怖い。にらみつけないでほしい。あなたの敵はアンチコメントであって、私じゃないんだよね?そうだよね?
「や……だって、私なんてアンチが付きやすい属性しか持ってないだろ」
「そう?」
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