第48話 攻撃部隊の激突

サイド:イーサン


 エンポリオの槍攻撃は凄まじい。

 Eクラスにもダニエルという優秀な槍使いがいるが、実力はエンポリオの方が上だ。

 

 さらにエンポリオは火属性魔法も使ってくる。

 私はエンポリオの攻撃を全て盾で防いだ。


「面白い盾を使っているな。大きなの割に動きやすそうだし、魔法伝導率も良さそうだ」

「これか。デュストス様がダンジョンから手に入れた宝にあったものだ」


「へぇ~、折角手に入れた宝を人に譲るなんて、やっぱ王族って感覚がおかしいのか?」


 そう言いながらも、エンポリオは激しい突きをしてくる。


「私に譲られたのではない。冒険者部で貸し出しているだけだ」

「そんないい防具を貸し出しているなんて、どんな部活だよ!!」


 エンポリオの突きに鋭さが増した。

 盾が間に合わない。


「石盾!」

 

 盾が届かない部分に私は石を形成し、エンポリオの槍を受け止めた。


「面白いな。情報ではお前は、魔法を使わないと聞いたが、心境の変化でもあったのか?」


 私は歯に力を入れて、相手を睨んだ。


「強くなるためにはあらゆる拘りが邪魔だと気付いただけだ。特にあの二人に追いつくには」


 今度は私が剣で攻めた。

 エンポリオが下がって、槍で裁いていく。

 まるで隙が無い。


「イーサン君!!」


 声はルミナだ。


「来るな、ルミナは魔法組を守るんだ」

「う、うん」


 ルミナは魔法組を守るべく離れていった。


「助けてもらわなく良かったのか?二対一ならチャンスがあったかもしれないぞ」


 私は首を振った。


「いいや、あなたは私が引き付けておいた方がいい。その方が、こちらが有利だ」

「有利はどちらかね」


 私はエンポリオに向かって行った。




サイド:セコンズ


 イーサンがAクラスの三席エンポリオと対峙することになり、その後の隊の指揮は俺に移った。


「皆、引き続き、俺とルミナが接近するから援護を頼む」


 俺はAクラスに接近し魔力を突いた。


 Aクラスは魔法が発動されず困惑。

 そこにシャリー、ソアラ、ジョゼットが魔法を打った。


 Aクラスは後退を余儀なくされる。


「舐めてんじゃないわよ!」


 三発のウィンドウカッターが飛んできた。


 俺は冷静にスモールソードで攻撃を逸らした。


「風属性か」

「そう、あんたと同じ風属性よ。最も魔法の扱いは私の方が上だと思うけど」


 言い終わると同時に、相手が魔法を打ってきた。


「ウィンドウボール」


 五発のウィンドウボールが俺に向かって来た。


 一つ一つの大きさは直径十センチ程。

 速さはそれ程無い。


 俺はスモールソードで一つ目を切った。


 想像とは異なる抵抗。

 スモールソードが早く触れない。


 何とか一つ目を切ったが、残り四つのウィンドウボールが当たる。


「クリスタルバレット乱れ打ち!」


 放たれた幾つもの弾丸によって、ウィンドウボールが全て割れた。


「邪魔しないでよ、脳筋ジョゼット」

「あなたこそ、Aクラスだからっていい気にならないで」


 ジョゼットは相手の女子生徒は睨んだ。


「二人はどんな関係?」


 俺は好奇心から聞いた。


「昔からの腐れ縁よ」


 ジョゼットは相手をキッと睨んだ。


「私は、コア・ファイブ五席、ローゼラ・アトウッド。セコンズ・コリーマン、脳筋ジョゼット、ここで脱落してもらうわ」


 目の前のコア・ファイブ五席と名乗った彼女は、ショートカットの緑髪で、目つきが少し恐い。

 戦いになると、こういう目をする子っているよね。


 “コア・ファイブとの戦い、望むところだ”、と気合を入れてみたものの、何故か、ジョゼットとローゼラは睨み合ったままだ。


「ローゼラ、あなた風属性だけど、まだ空は飛べないんでしょ」


 ローゼラは「はぁ?」と怒りを露わにしてきた。


「ジョゼット、あんたに分からないと思うけど、風属性の浮遊魔法は難易度激高なのよ。だから、今は取得中よ」

「ふうん、そうなんだ。てっきり諦めたかと思ったけど」


 俺には分からない二人の世界がありそうだ。

 だけど、今は演習中、競技に戻ってもらわないと。


「ジョゼット、浮遊魔法のことはいいから、俺たちは、「ちょっと、セコンズ・コリーマン、この脳筋に風の浮遊が難しいこと教えてやってよ」」


 え?俺?


 事情が掴めないが、ローゼラの言い方に圧倒された俺は、ジョゼットに風属性の浮遊魔法の難しさを伝えることにした。


「ジョゼット、風属性の浮遊魔法はとても難しいんだ。学園の生徒でもできるのは限られている。最近、二年生のフラン王子が成功させたけど、それはとても珍しいことなんだ」

「へえ」とジョゼットは俺の話に興味が無いような態度だ。


「じゃあ、ローゼラ、あなたは諦めてないのね?」

「だから、そう言ってるでしょ」

「なら安心した。あなたを思いっきりぶっ飛ばせる」

「ふざけたことを脳筋が」


 ローゼラがウィンドウカッターを放ってきた。

 俺はスモールソードで弾く。

 すかさず、ジョゼットが魔法を数発放った。


「クリスタルショット!」


 ギリギリでローゼラが避けた。


「避けられた!?」


 ジョゼットが驚いた。


「ああ、確かにローゼラはジョゼットが放った魔法を避けた。無属性はほとんど見えない筈なのに」


 ジョットの狙いは完璧だった筈だ。

 それを避けたなんて。


 ローゼラが服の埃を払いながら立った。


「セコンズ・コリーマン、あなたの決闘、素晴らしかったわ。だけど、この演習前にやったのは良くなかったわね。あれで私たちは魔力視の重要性を知った。そして、習得に向けて取り組んだ。尤も、実際に実践レベルで習得できたのはコア・ファイブだけだったけどね」


 俺の額から汗が出た。

 ローゼラの放ったウィンドウカッターもウィンドウボールも同じ風属性の俺にはできない。

 つまり、ローゼラの言う通り、魔法の扱いは向こうが上。


 緊張感が高まってきた。


「やれやれ、五席と言ってもコア・ファイブ。簡単にはいかないな」


 俺は息を吐いて、槍を構えた。




サイド:ルミナ


「ハー!聖魔法パンチ!聖魔法掌底!」


 私は敵陣に跳びこんで、打撃を放った。


 Aクラスのメンバーはガードをしてダメージを減らしている。


 敵ながら、凄いと思う。

 近距離攻撃に対して想定した訓練をしてきているのだろう。

 でも、この戦いは私だけではない。


「クリスタルショット!」

「ファイアーバード!」

 

 相手は五人。

 私たち三人でどこまでできるか。


「「ウォーターボール!」」

「ファイアーボール!」

「アースバレット!」


 Aクラスも魔法を放ってきた。

 こちらの中距離魔法組は二人、対してAクラスは四人。

 これだけでもかなり不利だ。


 できれば至近距離で潰したい。


 私は再度跳びこんだ。


「気を付けろ、聖属性魔法が込められた打撃は見た目以上に重い」

 

 Aクラス魔法組の一人が言った。


「だったら、俺の出番だな」


 私の目の前に現れたのは、ガタイの良い男子生徒だった。


「ルミナ・ナイトミラーだな。俺はナルシス・サマルフォン、好きなものは筋肉だ」


 暑苦しい長髪を後ろで束ねた髪型。

 制服が筋肉で盛り上がって見える。


 ナルシスは私目掛けて拳を振って来た。

 両腕でガードするが、腕が痛い。

 

 何て重い拳なの!?


「ハー、聖魔法パンチ、聖魔法キック!」


 私は何発も打撃を放った。

 ナルシスは全てをガードしている。


 ダメージはほぼ無いように見える。


「何で?ガードしてても攻撃は何発も当たったのに」

「ふふふ」とナルシスは笑った。


「その答えは、筋肉だ。筋肉があるからダメージが無いのだ。筋肉は攻防一体。筋肉がある限り、俺は負けん」


 ナルシスは筋肉ポーズを取った。

 制服の下のワイシャツのボタンが跳んだ。


 こ、この男、気持ち悪い。






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