第3話 新たなダンジョン
「はい、おはようございます皆さん。今日から新しいクラスなのですが、まぁ皆さん知っている人同士だと思うので、自己紹介は省きます。
今日の予定は始業式と一年の入学式のみとなります。それが終わったら速やかに下校するようにしてください。時間になったら並んで体育館に移動するようにしてください。 以上です」
先生が教室を出てすぐ、七瀬が俺に話しかけてきた。
「今日終わるの結構早いんだね」
「らしいな。まぁ初日だしそんなもんだろ」
「もう10時くらいには終わりそうな勢いだよねぇ」
「そうだなぁ」
「かざっちー、ホテルのチェックイン何時だっけ」
「特にないけど、5時くらいに来てくれればって言ってたよ」
「結構暇だな」
「よしっ、ダンジョン行こうよ!最近杉並のほうにもダンジョンできたって話題になってるんだよ!」
「今日はダンジョン行かないんじゃなかったのか?それに時間があるんだったら、直行じゃなくていったん家帰って私服で行ったほうがよくないか?」
「大丈夫でしょ、荷物なら僕が全部予備持ってるし」
「空間魔法に全部しまってあるのか。ん-、どうしよっかな……」
「ね、行こ?お願い!」
「ん~……しょうがない、行くか。ランクは?」
「若干Ⅽ寄りのBだってさ。攻略時間目安は6時間。東雲ダンジョンはAだったけど1時間半で回れたから、まぁそれよりは早く終われるといいね。
先に内部構造のマッピングだけ済ませて、できる限り早くボス部屋まで行こう。ボス倒した後で、宝物ありそうな場所探索て、2時くらいにホテル行って、レストランでご飯食べてって感じでどう?」
「秘書みたいだな。さすが有能、それで行こう」
「了解しました、黒宮社長」
「社長俺なのかよ。とりあえずそれで行くか。たかちゃん、キバ、かざっち。今日時間あるからダンジョン行くけど、行けるか?」
「暇だし行こうかな」
「俺は合わせるぜ。どうせ暇だしよ」
「俺も行く。あれだろ、杉並に新しくできた荻窪ダンジョン。あれのせいで駅一時封鎖状態らしいぞ」
「マジ?中央線止まったら結構やばいじゃん」
駅構内まで入っているってことか。となると、ダンジョンの核をはかいしたほうが良いかもしれないな。
ダンジョンには核という、いわば人間の心臓のようなものがある。その核があることでダンジョンはアイテムを生成したり、モンスターを生み出したりしている。だが、このダンジョンのように駅や道路上など、交通の便を遮るような場所に生成されたときのみ、プレイヤーはダンジョンの核破壊を許可されている。
核はボス部屋の最奥、ボスを倒した後にのみ入れる部屋にあるため、壊すのが困難になっている。だから、これを壊すとかなり報酬がもらえるのだ。ウハウハである。
「じゃあ、核壊すか」
「そうだな。Bランクダンジョンの核破壊って結構報酬もらえたよね?」
「あぁ。ボスのレベルによっても変わるが、最低でも50万は入ったはずだ。前にダンジョン庁ガイドみたいなやつを読んだんだが、確かそのくらいだったな」
50万も入るのか。国もここには資金を惜しまないんだな。やはりプレイヤーの仕事は夢がある。
問題は、このダンジョンのボスだ。Bランクダンジョンのボスは、大型の肉食獣のような見ためのものが多い。素早く力も強い、強大な力を持っている。とはいえ、プレイヤーとして覚醒を果たしているものなら、難しくても倒せないことはない。
「なぁ、七瀬。そのダンジョンってできてからどのくらいたってるんだ?」
「昨日の昼、3時くらいにいきなりだってさ。基本、ダンジョンってそこにできる予兆が三日前くらいに発生するんだよ。魔力の集中とか、建物に異変が見えるとかね。そうやって徐々にダンジョン化してくんだ。
ただ今回は違う。駅周辺にいきなり魔力結界が張られて、そのままダンジョン化したらしい。見た感じだと、空間にひびが入ったみたいな結界で、そこに禍々しい扉が現れたんだって。まぁダンジョンの扉はいつも禍々しいけどね」
電車の路線にダンジョンがかぶってしまったら、すぐにダンジョン庁が雇っているプレイヤーたちが対処にあたるはずだ。それも、昨日の昼すぎなら昨日のうちに終わらせられるだろう。人手が足りなければ民間に手を借りるだろうし。
まさか、突入したプレイヤーたちが全滅でもしたか?それはないか。もしそれが起きたら、もっと大ごとになっているはずだ。
となるとただボスが強くて攻略が難航してるだけか。Cランク寄りのBってなると、ボスの攻略というよりかは核破壊に手間取っているのか。
核を探している間にボスがまた湧いてしまったのだろう。それのせいで時間がかかってしまい、一般のプレイヤーを集めて迅速に攻略させようとしているんだろう
「かざっち、探索系のスキルって核までわかるよな?」
「わかるよ。間違って破壊しそうになったことが何回かあるけど」
「だよな。じゃあなんで壊さないんだろうな」
「探索系のプレイヤーが集まっていないとか?」
「ダンジョン探索だぞ、さすがにそんなことはないだろ」
ダンジョン探索において、探索系スキルを持った人間は必須だ。どれだけ火力が高いアタッカーがいようが、ダンジョン内で遭難したらそこで終わり。マッピング能力と罠感知スキルを持っている人物は、必ず一人はいなきゃならないというのが常識だ。
「じゃあ、何が原因なんだろう」
「とりあえず、行ってみりゃわかるだろう。かざっち、もしかしたらユニーク発動してもらうかも。回るペースは昨日より格段に下げて、殲滅をメインにダンジョンを完全制覇しよう。まぁ、俺らが行くまでにダンジョンが残っていればだけど」
「了解」
「まかせて、魔法全部用意しとくね」
「久々にストレス発散できそうだぜ」
「七瀬、盾を四つくらい用意しといてくれ」
「りょうかーい……。ねぇ、みんな。ダンジョンなんだけどさ」
「なんだ?攻略でもされたか?」
「いや、ちがくて。たった今なんだけど、読み上げるね。 昨日発生した荻窪駅構内のダンジョン、本日9時よりA級ダンジョンに昇格だって」
「……まじか」
「A級昇格ってことは、結構まずいよね」
「そうだな」
ダンジョンランクの昇格。それはつまり、そのダンジョンでどこかのパーティーが壊滅したもしくは、相当な被害を受けたということを表している。
元のランクがC寄りのBだったから、挑戦できるのは最低でもBランクのプレイヤーがいるパーティーのみ。ダンジョン内で死者が出るのは稀ではないが、高ランクに行けば行くほどプレイヤーの熟練度も上がり、死亡事故も減る。だから、なかなかないことなのだ。
「……壊滅したパーティーのランクは?」
「総合はA。全体で見ればAが二人、Bが3人とCが2人」
「まじかよ……」
「ほかにはいないのか?」
「ほかに被害者はでてないらしい。Aの二人は、そこまで名は通ってない、まだAになったばっかりペアだってさ。死亡が確認できたのはCの二人とBの一人。他は落ちてる私物によってだれか分かったらしいけど他は特に情報がないらしい」
「なるほどな……」
「結構レベルが高いダンジョンなのかもな。今日はやめておくか?昨日の疲れもとれていないんじゃないか?」
「僕は大丈夫だけど、みんなは?」
「僕も調子は余裕だし、キバは能筋だから大丈夫でしょ」
「ノウキンってなんだ」
「体力がすごい多いってこと」
「皆余裕そうだし、行ってみるのもいいかもね。それにまぁ、うちには
ハイレベルなダンジョン。核破壊による報酬、失踪したプレイヤー。このすべてに、俺は興奮を隠せなかった。
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