深淵を覗いた時、我々は深淵を覗いている

次の日



「ひもじい、、、」


ひもじい、そう!ひもじいのだ!!どっかの誰かが臨時収入とか言ってぼったくられたから今、僕はこんなにもひもじい思いをしている!!


あの金にガメツイ女!許せない!ただでさえお客さんが少ないってのに!


「ほんと、誰のせいでしょうね?」


お前なんだよな、、、、言わないけど。言ったかまた笑顔で圧をかけてくるんだよなぁ



カランコロン



さぁ、今日も切り替えてお客の対応をしていこう!


「いらっしゃい」「いらっしゃいませ」


「うわ、ここが噂のか?」


見た目は濃い紫の顎まで襟が出ているタイプのコートのような後衛職の装備に本を三冊ほど腰につけている。なので魔法本が主軸のサポーターというところかな。


黒髪のセンター分け、目はこだわっているのか青と紫のグラデーションのようにも見える。


あまり筋肉質ではないが、目元や黒子の位置を見るとプリセットを使わず、手動で頑張ってアバターを作ったんだろうなぁと思う。ん?僕?もちろん僕の中身はイケメンだよ?


『SARUEBOU』、さるえぼうね。君のことは1時間は忘れないよ。


「へ〜、色々あるんだなぁ。店長さん、おすすめのものってある?なんでもいいし。」


おすすめ、おすすめねぇ。これが難しいんだよな。何も求められていない時がとっても困る。まぁ、なんとかなるでしょう。


「危険なものがいいかい?それとも危険のじゃないのにするかい?」


「どうせならスリルがあったほうがいいよね。」


「それならこっちの棚がいいだろう。ほら、気になった見た目のものを選んでみなよ。」


案内したのは『uncertainty』のエリア。別にもう一個上の『peril』でもいいけれどスリルを求めているのならばこっちの方がいいだろうね。


そしてSARUEBOUは棚をざっくりと見渡し何個かに指を刺す。


「ここら辺かな、どんなものがあるの?」


おっと?そういえば、紙を置いたとか言っていたけれど端にまとめて置いてあるから気づいていない!!機能していませんよ、これー。ちょっとー何してんのよぉ。


そんなことは置いておき、SARUEBOUが指差したのは一冊の本と絵画とペンキだった。


「まずはこの本だね。これは『エネルギー貯蔵記』。過去に記したエネルギーを貯蔵してくれる。貯蔵の仕方は空白のページに記したいエネルギーをぶつけるだけ。放出はできるけど、何ページにどんなエネルギーをどのくらい貯蔵しているのかを知っていないと、もう貯蔵済みのページを開いた瞬間に放出されて場合によっては死ぬ。」


「へ〜。しおりってつけれるの?」


「もちろん。鋭いね、お客さん」


そう!この本はしおりを挟むことにより、暗記をしなくてよくな超便利商品なのである!!運がいい!!大体ハズレなのに、、、、『uncertainty』。


てか、今までのanomalous達に対して、こっちはちゃんと説明しないといけないくらい情報があったりするから大変だ。


「そして、この絵。これは『死の絵画』。6666666秒、つまり約二ヶ月半見続けたら死ぬ絵画だ。」


「長くない?」


「まぁ待ちな。これは定期的に見続ける場所においたら完全犯罪ができてしまう代物なのだよ。うん。」


「は、はぁ。」


「そしてこの黒ペンキ。『深淵色のペンキ』、深淵色のペンキでこのペンキで絵を描いてみると、小さく「これを見ている時、お前は深淵を覗いている」って知らぬ間に書いてあるペンキ。」


「危険とは、、、、?」


「ペンキに触れると深淵に飲まれて高速のスリップダメージを受ける。」


「危険だ!ちなみに、高速のスリップダメージって、、、、」


「0.1秒に5ダメージだよ」


「一瞬で溶けてしまいますやん」


ちなみにこの世界のトップ層の平均のHPの量は130〜150だよ。みんな三秒以内には死ぬ!!とっても怖い!!しかもこのペンキはぶっかけられたりする!即死バケットスロッシャー遊びができるよ!やったね!!



——————


『エネルギー貯蔵記』:過去に記したエネルギーを貯蔵してくれる本。貯蔵の方法は空白のページに記したいエネルギーをぶつける、もしくは放つ。放出の方法は記したページを開くだけで放出される。なので空白だと思って開けたら高威力のブレスが顔に放たれたりする。上限はあり、上限を超えるとページが破れ周囲に上限値のエネルギーを衝撃波として、周りに放つ。

上限はエクスプロージョンの十分の一。


『死の絵画』:6666666秒見ると死んでしまう絵画。時間に直すと約1850時間。日に直すと約二ヶ月半である。破壊耐性を有しており、燃えたり破けたりはしない。これは店主の拾い物であり、最初は666秒だったが販売するにあたり面倒なので秒数を増やした。


『深淵色のペンキ』:深淵色をしている一キロのバケツに入った水性ペンキ。塗ってしばらくするとうっすらと小さな文字で「これを見ている時、お前は深淵を覗いている」と浮かび上がってくる。三個パックだったが店主の制作活動により残り一つ。



トップ層のHP状況:もちろん個人差はあるが平均として130〜150。タンクや耐え役は200ほど。軽戦士、避けタンクは80ほどが多い。



杖:詠唱によって発動する装備。詠唱内容を暗記しなければならない。が、好きな魔法を好きなだけ覚えられる。


魔法本:杖とは異なり、本に書いてある呪文や魔法陣によって魔法を発動させる装備。詠唱ではなく、どの魔法がどこにあるのかを暗記しとなければならない。トップ層たちは何冊も本を持っているのでそれを丸暗記していたりする。


バケットスロッシャー:スプラトゥーンの武器

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