第28話 理不尽仲間でした

「ど、どういうこだ!松田じゃないのか転生者は!?」


予想とはずれていたのがよほどショックだったのか困惑してる太一。


「残念だが俺が転生者だ」


「ならお前がすべて仕込んでいたんだな!」


「それはあり得ない」


「嘘をつくな!」


「嘘じゃないさ。俺はさっきのお前の話を聞くまでここがゲームの世界だとは知らなかったんだからな」


俺も聞いていて驚いた。転生者だと言う事にも驚いたがまさかこの世界がゲームの中の世界だとは思っていたかった。そのため助けに入るのが遅れたのだ。


「な!?じゃあなぜ主人公の里奈ちゃんが松田とか俺という攻略キャラじゃなくてお前みたいなモブとくっついているんだよ!?」


「そんなのは里奈本人に聞くんだな」


「なんでなんだ里奈ちゃん!?」


里奈は呆けていた。話についていけてなかったんだろう。だがすぐに正常に戻る。


「え!?それは何というか……」


「はっきり言ってやれ!」


「本人を前に言えるか!」


「ぐは!?」


俺は里奈から腹パンをもらう。


「そんな……」


「う、何でお前は勝手に落ち込んでいるんだよ?」


俺は腹を抑えながら聞く。


「そのセリフは俺と恋人になったとき好きになった理由を聞いたら起こるセリフなんだよ……」


ここでちゃんと太一は本気で里奈が翔を好きなのだと認識する。


「まあ、いいがここはゲームの世界じゃないぞ?」


「ゲームの世界だよ……」


「いや、現実だ」


「!!!」


「だってそうだろ現にゲーム通りに動いてはないんだろ?じゃあ元はゲームの世界でも現実は現実だ。自分の行動で変えられる」


「そうか…」


太一はやっとここがゲームの中ではなく詳細には現実であると確認させられたのであった。


「まあ、とにかく話したいことは山のようにあるから放課後集まろう」


「分かった……」


そうして約束をして太一と別れた。


「翔さっきの話……」


「ああ、里奈にも放課後話すからまっててくれ」


「うん。絶対だよ?」


「ああ」


そうしして残りの授業を受けて放課後になった。


俺と里奈、勝木と絵里そして太一が集まってファミレスに来ていた。


まずは太一がこの世界が乙女ゲーの世界であり里奈は主人公、勝木や自分、絵里は攻略キャラであること俺は本来物語に登場しないモブであることを話す。


「その話ほんとなの?」


「ああ、本当だぞ」


同じ転生者の言う事だ嘘はないと思うのだ。


「じゃあ、本来は方向音痴君と幼馴染になっていたの?」


「ああ、そうだよ」


里奈はぞっとする。少し違っていたら、あのとき話しかけてくれたのが翔でなければ私は翔とは出会えていなかったのだと思うと怖かった。


「だから、前に襲ってきたときは俺のことを転生者と言っていたのか」


「す、すまん。あの時はまだ現実だと認識できていなかったんだ」


「翔君が転生者なんだよね?」


「ああ」


俺は転生したときのことを話す。


「へえ、じゃあ私に初めて話しかけてくれた時に転生したんだ」


「ああ、その時は困惑したがな」


「でもなんで翔君は気付かなかったの?ゲームの世界だって」


「いや、だってこの世界ほとんど前の世界と似てるしそもぞも乙女ゲーって基本男はやらないしな」


皆がそれを聞いて太一に目線をいかす。


「い、いや、俺は姉貴に無理矢理手伝わされてやったからそれではまって……」


「お、アネキがいたのか?」


「ああ、理不尽な姉だった」


「実は俺にも妹がいてなそれはもう理不尽だった」


「おお、同志だったのか!?」


「理不尽同士だな!」


意外にも息が合う二人なのであった。






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