第4B話 : 第三段階 ― 砂漠の戦い
(翌朝、ノルが目を覚ますと、ジンジョウがリンゴを積み上げて遊んでいるのが見える)
ノル・タケダ
ジンジョウ? おはよう。ずいぶん早く起きたんだな。僕が一番かと思ってたよ。(微笑む)
ジンジョウ・ワン
お、おはようノル……あ、ひとつどう?(リンゴを差し出す)
ノル・タケダ
ああ、ありがとう。(かじりながら)それで、いつ起きたんだ? ずっと待ってたのか?
ジンジョウ・ワン
わ、私は……夜中に起きて……見張りをしてたの。
ノル・タケダ
えっ? じゃあ寝てないのか? それはよくないよ。他の誰かを起こして交代すべきだった。
ジンジョウ・ワン
だ、大丈夫……。前のレベルでは……わ、私はあんまり役に立てなかったから……これくらい……。
ノル・タケダ
なるほど、少し気にしてたんだな。でもありがとう、助かったよ。
ジンジョウ・ワン
べ、別に……。で、でも……みんなには言わないで……。
ノル・タケダ
安心しろ。口外しないよ。(立ち上がって伸びをする)さて、そろそろ行くか。
みんなー! 起きろー! 続きだぞー!
ツバキ・イカリ
(目をこすりながら)何よその声……もう少し寝かせてくれてもいいじゃない。
ノル・タケダ
もう十分寝ただろ。食べてから次のレベルに進むぞ。
ヒソカ・アハネ
ノルの言うとおりだ。早く始めれば、早くここを出られる。
(皆で果物やヒソカとツバキが中央の町で買った缶詰を食べる。食事後、次のレベルの金属扉へ向かう)
マサル(科学者)
レベル3、開放。――「追跡」。
(扉が開き、砂漠と遠くにいくつかの遺跡が見える)
ノル・タケダ
すげぇ……! 地下にこんなのを作ったのか? 青空のホログラムまである。
ヒソカ・アハネ
「追跡」……(考え込む)
ツバキ・イカリ
誰を追跡すればいいの?
テンセイ・ブシダ
いや、追跡されるのかもしれん。
ノル・タケダ
そっちの方がありそうだ。
テンセイ・ブシダ
それじゃあ進もう。ここはツバキが先頭だ。(にっこりして通路を譲る)
ヒソカ・アハネ
なんで彼女?
テンセイ・ブシダ
順番だ。前のレベルはお前、最初は俺みたいなもんだ。次はノルの番だな。
ヒソカ・アハネ
(心の声)……こいつ、ほんとゲーム感覚だな(不安げ)
(5人は砂漠を進む。ヒソカはジンジョウを背負ったまま。砂丘の影にしゃがんで進む。前方に小さな廃墟の町が見える。さらに奥に3つの町)
(町に到着し、慎重に廃墟へ入る)
ツバキ・イカリ
音を立てないで。
(ツバキが崩れた壁の隙間から覗く。中央にはキャタピラで動く奇妙なロボット。上半身は人型だが金属装甲で強化されている)
ツバキ・イカリ
左側から行くわ。あっちは地面が固いから足跡が残りにくい。
(1人ずつ瓦礫の陰へ移動。ロボットは時折こちらを向くが、異常なしと判断して移動)
(同じことを繰り返し2つ目の町も突破)
(4つ目の町に入った時、ロボットが物音を聞きつけ、ノルたちの隠れている瓦礫へ近づいてくる。ツバキはまだ渡りきれておらず、反対側に石を投げて注意をそらす。成功後、手で「行け」と合図する)
(4人は迷いつつも町の外へ進む。ツバキは瓦礫で音を立てながらロボットを誘導し続ける。しかしロボットはパターンを読み始め、動きの異常に反応して射撃も始める)
(数分後、ノルが戻ってツバキの近くへ)
ツバキ・イカリ
(小声)なんで来たの? 進めって言ったでしょ。
ノル・タケダ
進んだよ。でも置いていくわけないだろ。ヒソカが案を出したんだ。
ロボットを時計台に誘導してくれ。
(ツバキは瓦礫の間を走り、ロボットを誘導する。ロボットは時計台に残された靴跡を発見し、それをスキャンすると砂漠の方へ追跡を開始。ノルとツバキはロボットが去るのを確認する)
ツバキ・イカリ
その足跡……どこへ続いてるの?
ノル・タケダ
どこにも続かないよ。テンセイが偽の痕跡を作ったんだ。戻るまで数分はある。(歩き出し、仲間と合流)
(出口の扉に到着するが、開かない)
テンセイ・ブシダ
おかしいな……赤いボタンがない。
(扉には小さな四つの穴。テンセイがマサルに話しかける)
テンセイ・ブシダ
おーい、誘拐犯さん。こっちは着いたぞ。早く開けろー。(しばらく反応なし)
ヒソカ・アハネ
ということは、まだ試験が終わってないな。
ツバキ・イカリ
じゃあ……ロボットを倒すのが条件?
ヒソカ・アハネ
その可能性が高い。
ノル・タケダ
いいね、そろそろまともに戦いたかったところだ。
ツバキ・イカリ
ノルと私は最初の二体を倒すわ。動けるのが早いから。
テンセイは三体目を。ヒソカとジンジョウは最後の一体、お願い。
ヒソカ・アハネ
了解。
(それぞれが自分の任務に向かって進み始める。ヒソカとジンジョウが4体目のロボットに到着する)
ヒソカ・アハネ
「どうやらこのロボット、身体を動かさなくても頭をどの方向にも回せるみたいだな。あまり敏捷性はなさそうだ。十分に近づければ、一撃で仕留められるはずだ。」
ジンジョウ・ワン
「ひ、ひとりで攻撃したほうが…いいんじゃない? こ、こんな状態じゃ…わたし、足手まといに…。」
ヒソカ・アハネ
「そんなこと言うな。むしろ、お前は俺の作戦の重要な一部なんだ。」
(ヒソカが微笑むが、ジンジョウは意味がわからない)
ヒソカ・アハネ
「少しの間だけ、一人で動けるか?」
ジンジョウ・ワン
「う、うん…まだ少し痛むけど…多分大丈夫…。」
ヒソカ・アハネ
「よし。合図したら攻撃してくれ。」
(作戦開始。2人は壁の陰に隠れながらロボットに接近する)
(ヒソカが先に飛び出し、ジンジョウは身を潜めたまま待機する)
ロボット4
「ヒソカ・アハネ、19歳。待ち伏せを得意とする。」
ヒソカ・アハネ(驚き、心の中で思う)
「今の一瞬で…顔認識か。」
(ロボットが腕を向ける。小型の砲口のようだ。ヒソカは急停止し進路を変える。砲口から高圧の水が放たれ、石や木の壁が切り裂かれる。ヒソカは跳躍してギリギリで回避する)
ヒソカ・アハネ
「危なかった…こんな攻撃してくるとは思わなかった。」
(ロボットは両腕でさらに水流攻撃を続け、ヒソカは回避しながら動き続ける)
ヒソカ・アハネ(心の声)
「水だけか…? たぶん“火・風・土・水”の四大元素を基準に作られてるんだろう。そうなると、こいつを早く倒してみんなを助けに行かないと。
火属性のロボットを相手にするやつが心配だ。」
(ヒソカは攻撃範囲から離れずに回避を続ける)
ヒソカ・アハネ
「今だ、ジン!」
(ロボットがヒソカに集中している隙、ジンジョウはしゃがんだまま慎重に接近し、力いっぱい跳び上がってロボットの首へ剣で振り下ろす)
(ロボットの首に浅い傷ができるが、ほとんどダメージがない)
ジンジョウ・ワン
「そ、そんな…全力で斬ったのに…!」
(驚くジンジョウ。ロボットは動きを止める)
ヒソカ・アハネ(心の声)
「今のはかなり良い一撃だったはずだ。頭が落ちてもおかしくない…。」
ロボット4
「脅威対処プロトコルA1、失敗。非致死性ダメージを確認。プロトコルA2を開始。」
(作動音が響く)
ヒソカ・アハネ
「ジンジョウ、離れろ!」
(ロボットが水流を放つ。ジンジョウは横へ跳び、転がって回避する。水流は床を破壊しながら彼女を追う。ヒソカは正面から斬りかかるが、ロボットは腕で防ぎ、後退しながら応戦する。ヒソカの斬撃は表面をかすめるだけでほとんど傷つかない。ロボットは水で反撃する)
(ジンジョウは立ち上がり、横から勢いよく斬撃を入れる。今度は深く斬り込み、大きな亀裂と露出したケーブルが見える。ロボットが押し潰そうと腕を上げるが、ヒソカが飛び込んで彼女を抱え、素早く離脱する)
(しかしロボットは追う気配を見せず、その場で静止すると自己修復を始める)
ヒソカ・アハネ(動揺して)
「敏捷性が上がってる上に、防御も対1対1では完璧だ…。」
ジンジョウ・ワン
「ヒソカ…なんとなく、ロボットの仕組みがわかってきた気がする…。」
ヒソカ・アハネ
「本当か? 言ってくれ。」
ジンジョウ・ワン
「状況に合わせて…か、身体を強化してるみたい。さ、最初に斬った時は…ほとんど通らなかったけど…2回目は…ほぼ破壊できた。同じ力で斬ったのに…。
多分…見えてない攻撃には…その部分だけ強化が…できないんだと思う…。」
ヒソカ・アハネ
なるほど……でもまだ一つ疑問がある。最初の攻撃の時、あいつは俺に集中していたのに首を強化していた。君の言う通りの仕組みなら、君が攻撃した時に首を強化できたのはおかしい。
ジンジョウ・ワン
たぶん……ヒソカさんの、そ…そのデータのせいです。ロボットはヒソカさんが待ち伏せを得意としているのを知っていて、正面から攻撃したのが……ヒソカさんらしくない、と判断したのだと思います。
ヒソカ・アハネ
なるほど、そういうことか。なら倒し方は分かった。あいつの意識を俺たち二人に向けさせればいい。(縄を取り出す)
ヒソカ・アハネ
君には脚でしっかり掴まっていてほしい。背中に括りつけて、そこから攻撃する。
ジンジョウ・ワン
で、でも……それだと動きが遅くなりませんか?
ヒソカ・アハネ
それが狙いだ。俺たちの速度が落ちれば、ロボットは自分のほうが速いと思い、脅威レベルを下げる。タイミングを見て君を解放して、君が下を、俺が上を攻撃する。急激な変化に両方を同時に防御するのは不可能だ。
ジンジョウ・ワン
わかりました!(少し嬉しそうに)
(ヒソカはジンジョウを抱え、胸のあたりで縄を結ぶ。二人は剣を構え、突撃の体勢に入る)
ヒソカ・アハネ
準備は? 3、2、1……!
(突然、ジンジョウの背後から肩に何かが撃ち込まれる。弾丸は圧縮空気で飛ばされた石のようなもの)
ジンジョウ・ワン
あああっ!!
ヒソカ・アハネ
ジンジョウ! どうし──(振り返った瞬間、ジンジョウの肩から血が流れ落ちる。ヒソカの表情は恐怖に染まり、仲間の傷の深さを想像してしまう。その視界の端に、先ほどのものと似た砲を備えるもう一体のロボットが立っているのが映る)
ロボット1
投降しなさい。武器を下ろせ。不必要な負傷者を出すな。
ヒソカ・アハネ(心の声)
ロボットがもう一体? 4体だけのはず……ってことは、俺たちのチームの誰かが……(ヒソカの顔にズーム、動揺が浮かぶ)
(場面転換:森の中の小さな木造の家が映る。外にはフォーカスが立ち、周囲を見回している)
フォーカス・クロウ
フォーカス
一体いつまで待たせるつもりだ? どこに行ったんだ……。ジンジョウが家にいないなんておかしい。テンセイのところも訪ねたが、あいつもいなかった。この時間なら、二人とも寝ているか家の片付けをしているはずなのに。
フォーカス
今日はいつもと違うみたいだな……。まあいい、これ以上時間は無駄にできない。ファクロの新人の誰かを連れていくか。アイツなら文句は言わないだろう。
終
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