第3話 ハンターとしての仕事

 翌日からハンターとしての仕事を始めることにした。サリアさんは明後日アパートに引っ越してくると言っていた。ラミィーは昨日のうちに宿を引き払って暮らし始めている。なのでギルド迄一緒に来た。

 儂は今(仮)Sランクなので目に付く仕事は無かった。

仕方なくラミィーの仕事の薬草採取を手伝うことにした。これはアパートの賃料をきちんと払ってもらうために手伝うってのが真の目的でもある。

 ガイドーラの知識を借りて薬草の生育環境を把握している。薬草の特徴、正しい採取の仕方をラミィーに教えているといつもなら2日掛かるのに今日は半日で済んだと喜ばれた。採取途中に遭遇したモンスターを討伐させているとラミィーはメキメキ腕を上げていった。今なら最低FランクからDランクの実力に上がっていることだろう。

 夕方遅くならないうちにギルドに戻った。

ラミィーが精算している間に依頼書を貼っているボードを見ていたら良さそうな依頼が有ったので数枚はぎとって受付へ向かう。


 「これらの依頼を受けたいのだが」

今日の受付嬢は、サリアさんに代わってスピアさんというエルフ美女だった。サリアさんは早退して引越ししているらしい。

「ご苦労様です。あら貴方が噂のSSランクのモーリンさんでしたのね」

「噂のって……儂は(仮)Sランクなんだけどな」

「あらサリアさんにまだ会っていなかったのでしょうか。実は昨日の会議で正式にSSランクで登録されることになりましたのよ。宜しければ私が登録変更しても良いでしょうか?」

「構いませんよお願いします。はい、カードです」

「お預かりします」。

 そこへ、勢いよく扉が開いて、血だらけのハンターグループが入って来た。

「上級ポーションをくれ!レッドオーガの群れに襲われたんだ!」

叫んで気を失う男。

「Aランクパーティーの【ドラゴンの翼】のパーティーじゃないか!」

「そんな強いパーティーがあんなにやられるなんて!やばいモンスターが出たのか⁉」


 それよりも上級ポーションって?儂のヒールじゃダメなのか?聞いてみたらこの街でヒールを掛けて貰うと上級ポーションの5倍の金銭を要求されるのだそうだ。

 しかも今現在ここには上級ポーションが品切れ中だという。

「スピアさん、儂のヒールを試してみてもいいかのう。なに、治癒出来ても上級ポーションの値段で良いぞ」

「ぜひお願いします」

 患者を診ると深い傷を負っている。急いだ方が良いだろう。

広範囲エリアヒール!」1度に全員の怪我が治った。

「流石に魔力を持っていかれたのう」としゃがみ込む。

実はなんともないんだが小芝居を打ったのだ。味を占めて何度も安い金銭で広範囲治癒魔法をかけさせられてはたまったものではない。海千山千の年寄りは小ずるいんじゃよ。ふぉふぉふぉ。


 そのことがギルマスの耳に入って、

「午後の数時間で良いのでギルド内で治療してはくれまいか」と懇願された。この街に上級ポーションを作れる人員が居ないので王都から買っても配達に時間がかかるのだそうだ。


 上級ポーションなら儂も作れるので、ある程度の数量を作成出来るまで、毎日3時から3時間限定で治療作業をしても良いと返事した。だがその前に【ドラゴンの翼】を壊滅状態に追い込んだ【レッドオーガ】を討伐してしまわなければならない。放っておくと大変なことになりそうだ。


 翌日、儂はレッドオーガの出現した場所を確認して、そこへ向かった。時速50kmの速さで土埃を上げてそこへ向かった。


 9頭のレッドオーガが商人の馬車を襲っていた。護衛のハンターは5人しかいない。たった今襲われたばかりのようだ。


「助太刀するが良いかの?」

「なんだあ。糞爺が邪魔するんじゃねえすっこんでろ!」

などと粋がっていた若い男は1頭のレッドオーガに蹴り飛ばされた。

「まあまあ儂の実力を見てから判断してくれ」

俺はレッドオーガ9頭に頭上に小さな魔方陣を発生させ人間や馬に影響を及ぼさない程度の雷を発生させた。人間と馬には防御シールドを張っておいた。

9頭のレッドオーガは雷を浴びて全身に光を点滅して命を失った。


商人とハンター達は呆然としている。


一方でレッドオーガに蹴飛ばされた男は骨が折れているのだろう苦痛で呻いている。俺はそいつの前に行って鑑定をかけた後にヒールを掛けた。


「爺さん済まなかったこんなに凄い人だとは思わなかった。おまけに俺の大怪我を治してくれてありがとう」

素直な青年で良かった。


商人はハンターギルドの有る街(ファスタウン)に行く途中だったので儂も一緒に帰ることにした。レッドオーガの死骸は儂の

亜空間倉庫に収納しておいた。



続く

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