ゴミを変換するだけの地味スキル『リサイクル』で勇者パーティを追放されたが、その『無駄な努力』こそが世界最強の裏技だと、誰も気づいてない。
DONOMASA
序章:そして、俺はゴミになった
「四谷 努。お前をこの勇者パーティから追放する」
容赦のない声が、努の鼓膜を打ちつけた。
勇者パーティのリーダーである剣士、ガリアスは、冷たい目で努を見下ろしていた。その隣には、彼に心酔する美しき魔法使いリリアと、凄腕の治癒士セフィーナが立っている。彼らは、努の「報われない努力」を知っているはずの仲間だった。
努は顔を上げた。 「待ってくれ、ガリアス。どうしてだ?俺は毎日、パーティのためにゴミ処理と素材集めを……」
「それが問題なんだ、努!」ガリアスは苛立ちを露わにした。「お前のスキルは【リサイクル】。効果は、『使えないゴミアイテムを、時間と労力をかけて汎用素材Aに変換する』。それだけだ!」
リリアが軽蔑の視線を送ってきた。 「私たちは、世界を救うために時間を使っているのよ。あなたはその時間を、その辺のガラクタを地味な素材Aに変えるために使っている。その素材、ぶっちゃけ、村の雑貨屋で1ゴールドで買えるわ!」
努は、思わず手に持った汎用素材Aの塊を見つめた。これを作るために、昨夜も徹夜でボロボロの魔物の皮や、使い古しの錆びた剣を何時間もかけて分解・再構築したのだ。
「でも、これはタダで手に入れたゴミから作ったんだ!タダだぞ!」
「タダ?あなたの無駄な労働時間を考えたら、世界で一番高価なゴミよ。私たちは、もうお前の無意味な努力に付き合っていられない。お前は、このパーティには必要ない、ただの足手まといだ」
セフィーナが小さな袋を投げつけた。追放金だ。 「私たちは先に進む。もう、その地味で効率の悪い『ゴミの再利用』なんて、やめてちょうだい」
努は、報われない努力を嘲笑され、パーティから追放された。
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