第光環「電気の人」
二台が四台に復旧するまでに10mをプラスで稼いだ私達だったがその後膠着状態が続く。恐らくこの先向こう側の衝突は期待できまい。かと言って闘牛のマントでは無いが手と手を繋いだ位置への突撃癖はそう簡単には抜けない様で私達は未だに隙あらば繋いでいる。
「なかなか進めないね。向こうはどんな地獄を歩んでいるのか知れないけど完成度かなり高めだよねこれ」
「そうだな、自分でも嫌になるよ。この状況は想定して居なかったからな。構成頑張れば頑張るだけ墓穴を掘って居た様なものだ」
「まあ生身でシローと触れ合える時間がどんどん伸びるって事だからね。私としては悪い気はしなかったり?」
「あまりからかわんでくれ独身オヤジを。俺だってなりたくてなった訳じゃないんだぜ? こうして試練の徒として選ばれる為の崇高な使命を背負っての枷だった訳だよ多分、今にして思えば」
「おーナルシズムナルシズム。卵が先か鶏が先かだけど私は良かったと思ってるよ。例えばシローがハクみたいな自暴自棄的発想の人だったらこうは事は運んでいないと思うし。しかしジィゴクさん? あの人多分ハクの思考を知っているし恐らくそれに影響されて順当に汚染されている部分があるにせよなかなかこの場がフラニシュがダウンした時みたいに閉じないって事は程々に、いや相当度強い決意の下に協力的なんだよねきっと。そこに愛を感じずには居られない、と言うのは私の気ィのせい?」
「映画でもラブロマンスパートでアクションシーン以上に興奮気味だったもんなお前、好きなんだなそう言うの」
「乙女の必須科目ですからラブロマは。あッ来るよ、三台が来るね。これを躱せば或いはッ」
手の結び目、私、そしてスゥとフルコース突撃だ。これは起死回生の一撃のつもりだろう。しくじれば私達の歩を進める上での大幅なチャンスが生じる事になる。そしてチャンスの時は来た。手をまず振り解き二人の間に距離を取る。そして更に後方ステップ、三台は躱した。となると次は…。
「スゥ、そっちだ!」
後方ステップしたスゥ目掛けて最後の待機中の四台目が動く! しかしそれでスゥがやられてしまうと言うのは杞憂だったらしい。スゥは手から電撃ビームを放ち一台の動きを封殺した。
「あぁ、目からじゃ無かったのか…」
「あ、なーる。あの時のビールがどうこうってのが今繋がったよ。私もこの肉体になるまで発射可能だって実感は無かったんだけどね、どうもこう言う事らしいよ。目に限らず口とかそう言う方向に持ってかれるとどんどん次世代人類から化け物サイドに堕ちちゃう感じ有るんでこれ以上のスペックアップへの期待はご勘弁頂きたいけど。ともかく今だッ、走ろうッ」
「応ッ」
走りながら気付く。微妙にスゥの走りに違和感が有る。多分ビーム発射の消費は私が想像する以上に重いのだ。
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