第8話 不死鳥騎士団、不死身のはずが…過労で“全滅”!?

【衝撃】不死身のはずが…過労で“全滅”!? 不死鳥騎士団、前代未聞の「一斉休眠」で国防に大穴か


 「王国の盾」としてその名を馳せる不死鳥騎士団が、今月5日、所属する団員12名全員が同時に活動を停止し、再生のための“灰”になるという前代未聞の事態に陥っていることが本誌の取材で明らかになった。死しても蘇るという伝説の鳥「不死鳥フェニックス」の魔力をその身に宿し、これまで数多の激戦で王国を救ってきた精鋭たちの身に、一体何が起こったのだろうか。


<img="訓練に励む不死鳥騎士団の騎士(資料写真)">

▲かつては「王国の栄光」とまで呼ばれた不死鳥騎士団。その勇姿はもう見られないのか


■「どうせ死なないから」が招いた悲劇

 関係者の話を総合すると、原因は王国軍上層部による度を越した過重労働にあるようだ。匿名を条件に本誌の取材に応じた騎士団の一人は、力なくこう語る。


 「ここ半年、まともな休みはありませんでした。北のオーク族討伐が終われば、すぐさま西のリザードマン掃討作戦へ。夜間は王都の警備、昼は若手の訓練…。『君たちは死なないのだから、多少の無茶は利くだろう』が上官の口癖でした。蘇生のたびに記憶と苦痛は蓄積します。灰になっている間だけが、唯一安らげる時間だったのです…」


 彼らの「不死」という特殊能力は、いつしか「無限に使えるリソース」として扱われるようになっていた。ポーション(回復薬)の支給は後回しにされ、「致命傷を負っても自己再生しろ」との命令が常態化。事実上、彼らは自らの命を削ることで、軍の経費削減に利用されていたのだ。


■専門家「典型的なマジカル・ハラスメント」

 この異常事態に、王立魔法アカデミーで異種族労働問題を専門とするドリアン准教授は警鐘を鳴らす。


「これは特殊能力を持つ者への典型的な『マジカル・ハラスメント』です。不死鳥の騎士といえど、再生には大量の精神力マナを消費します。肉体は蘇っても、魂の摩耗は計り知れない。今回の一斉休眠は、彼らの心が限界を迎え、本能的な防衛反応として再生を拒否した、いわば『魂のストライキ』と見るべきでしょう」


 王国軍は「オークの呪いによる一時的な体調不良であり、国防上の問題はない」と発表しているが、騎士団が守護していた国境の砦は現在、一般兵のみで運用されており、その守りは明らかに手薄になっている。


 酒場では「不死身も楽じゃないな」「俺の職場も同じだ。死なないだけで」「税金泥棒がサボってるだけだろ」など、同情と批判の声が入り乱れている。


 「死なない」という栄光の裏で、心身をすり減らしていた不死鳥の騎士たち。彼らが再びその翼を広げる日は来るのか。王国は今、国防の危機だけでなく、「命の価値」という根源的な問いを突きつけられている。

                     ―レミィ・スクープ

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