首無し皇女は笑えない

@haku728

序章

—ここは「礼和国立忠国皇女記念館」


国を救う為に 首を切断して命を捧げた和子(カズコ)第二皇女が祀られている。


彼女は3階の大観覧室で、ガラスケースの中で巨大な金屏風を背に玉座に鎮座し 、自らが展示物として鎮座していた。


彼女は格式のある儀礼用軍服姿で、右脇に自らの生首を抱えていた。

艶のある長い黒髪に涼やかで凛とした瞳。


彼女は心のない生きた人形と思われていた。


しかし彼女はある理由があって生前同様の意識がある事を隠していたのである。


しかし、その日も彼女はピンチに陥っていた。


(う、うふっ!も、もう駄目!腹筋が持たない!うふふふ!)


びくっとして ガラスケースの前に正座していたワコールの真っ赤なブラジャーとパンティー姿の侍が振り向き皇女を見た!

「ば、馬鹿な!今皇女様が笑ったような…」


和子は慌てて無表情を装った。

侍は血走った眼で下着姿で皇女を睨んでいる。


(しまった!ばれちゃう!)

彼女は火の様に焦った。


今回で何度目の危機であろうか。


何故こんな目に会うのか!?


(わたくしの笑いの沸点が低いのが恨めしい…)


これから語るのは、決して笑ってはいけない皇女の苦難の物語である。












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