第7話 3.神話になる すまげんちゃんねる様
『一月、電子の雪原にて屠る』
企画にご参加ありがとうございます。
ハクの存在感、Rの影響、主人公の精神的な変化とどれも面白かったです。
♢
雪も降りましたし、ちょうどよい出だし!
部屋の描写がリアル。
▶︎三十を過ぎた中年男である私自身の、酸化した脂の臭い。
中年は四十からでもよくないですか?!
まだ、三十代なら若いことにしてあげて!w
一応調べたら、四十代くらいのイメージのようです。
三十代で本作の結末だと少し高尚さも残る印象になりますし、四十代だと狂った悲哀も出るので、主人公の年齢は大事かなと感じました。
▶︎8Kという過剰な解像度は、人間の視覚野が認識してはならない領域までを暴き立てる。
小鼻の溝に堆積たいせきした角栓かくせんの黒ずみ。頬の皮膚を覆う産毛の林。睡眠不足によって充血した白目の毛細血管。そして、厚く塗りたくられたファンデーションが、笑い皺じわに沿って地滑りを起こしている様。
これらは全て、彼女が「生きている」という証拠だ。
ひー!つらたん。。。
単なる羅列でなく、ちゃんと主人公が「生きている」ことに結びつけて認識しているのがいいですね。
る。
主人公の職業についても詳しく書かれていて、目の前で仕事ぶりを見ているようです。
▶︎ふと、暗転したモニターの黒い画面に、部屋の亡霊が映り込んだ。
無精髭を生やし、髪は脂で束になり、目の下にどす黒い隈くまを作った、醜い中年男。
私だ。
これ、スマホでよくあるw
▶︎私は、画面に映る自分と目が合い、強烈な生理的嘔吐感おうとかんを覚える。
この肉体。この、重力に従って弛たるみきった脂肪の塊。排泄と睡眠を要求し、常に空腹という卑しい欲望に突き動かされる、この汚らわしいハードウェア。
自分の肉体への嫌悪はなかなか厳しいですね。
▶︎かつて、ある作家は、鋼鉄のごとき筋肉で自身を鎧よろうことによって、観念と肉体の合一を図ったという。
だが、私に言わせればそれも徒労だ。
いかに鍛え上げようと、筋肉もまた細胞という脆もろい有機物に過ぎない。時は容赦なくその表面を酸化させ、いずれは腐臭を放つ骸むくろへと変貌させる。この物理世界において、肉体を持つということ自体が、すでに「敗北」なのだ。
三島先生と美輪明宏の映画の一シーンを見ましたが、鍛えられた腕は良かったですよ!あと憂国では、先生の背面全裸が見れます。(報告)
▶︎私の意識が、この汚い中年男の肉体という牢獄を抜け出し、電子の回路を通って、ハクという永遠の肉体へと転移していく感覚。
そうだ、これなのだ。私が欲しかったものは。
汗もかかず、老いることもなく、物理法則という鎖すら断ち切って、電子の雪原に一人佇む、完全な存在。
ハクは私であり、私はハクだ。
自分も脳内に自分の幻影がありますね。だから中立的な文字に頼っているのかもしれません。
ハクの存在感がよく書き込まれています。
第2話からRが出てきますが、まずRの立体感が良かったです。言っている内容自体はどこかで見たことはありますが、Rの様子の書き込みが緻密だからですね。身体がテーマなので、対比としてとても良かったです。
個人的には、ハクよりRの印象が強かったです。Rみたいに世の中を見る人間と、それと噛み合わない自分……という構図は、私はよくありますw
第三話になり、いよいよクライマックスですね……。Rを飛び越えて、自分とハクのつながりに思い至る。
第四話は一月十四日! 三島由紀夫の誕生日! 覚えて帰ってね!w
そして儀式へ……。
♢
どの話も読み応えがあり、さすがの筆力でした。
個人的にはRの第2話が一番印象的でした。多分、ああいう交わらない関係に嫌気がさす経験が多いからw ただ、Rの言うこともわかるので、主人公の譲らなさは半分は共感、半分が主人公らしい狂気としていいなと思いました。
ほんの少し気になったのは、ハクの魅力について。確かに文章としての書き込みはあるのですが、なぜ主人公や皆んながハクに魅力されるのかがちょっと私には伝わりづらく。ここの印象が強くなったら、作品全体も違う印象になるかなと思いました。
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