アドベントカレンダー２０２５　チイママさんクリスマス

金澤流都

　今年も淡々と、本多家に冬がやってきた。

　ちょうど芥川賞受賞後第一作を書き上げて、チイママさんに相談してお仕事をお願いした出版社の編集者さんに送り、読んでもらって、三校まで終わらせてあとは校了のハンコを押してもらうために送り返したところだった。まるで作家だ。いやわたしは芥川賞作家なのだが。

「アンタめちゃめちゃ頑張ってたんだから少し休みなさいよ。いくら作家が月月火水木金金の仕事とはいえ、体を労わらないと後でツケがくるわよ？」

　チイママさん（屈強そうな男性型ロボット）の優しい労りの言葉。

「それもそうですね……年末だしなにかおいしいものでも通販しようかなあ。カニとか」

「あらいいじゃない！　カニ鍋とか最高よ！？」

（つづく）

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