リアル戦国時代

第24話 派遣会社 vs 食品会社、都市戦争勃発

　2040年、日本の都市間を結ぶリニアモーターカーは、時速800kmを超える速度で光の帯のように走る。

　しかし、未来技術が進化した社会でも、秩序はもはや幻想だった。

　犯罪自由化政策の下、国家の規制は形骸化し、武装勢力同士の衝突は日常となっていた。

　この車両の中でも、金属と火薬、悲鳴と光が交錯する。

---

　狭間の戦場

　堂馬組の傭兵たちが列車の通路に立ちはだかる。

　対するは扇ガ谷組の強襲部隊。

　2040年仕様の高速列車内は、全長数百メートル、車両ごとに防御フィールドや電磁バリアが装備されているが、完全ではない。

　堂馬組リーダーの低い声。

「奴ら、ここにいる……撃て！」

　瞬間、光学銃とプラズマピストルの火花が散り、車内の金属が響く。

　速度800km/hの揺れが加わり、射撃は予測不能のカオスに陥る。

---

　乗客の絶望

　逃げ場のない車内で、一般乗客は恐怖で凍りつく。

　未来型の防護スーツを着ている者もいるが、敵対勢力の武装には敵わない。

　神崎ユウダイは車内を這い、負傷者をかばいながら進む。

（……2040年の未来社会でも、人間の恐怖は変わらない……

　銃撃戦、殺意、復讐心……どんな技術も、人間の狂気には勝てない……！）

---

　未来兵器の混戦

　扇ガ谷組はドローンや自動追尾ライフルを使い、堂馬組を包囲する。

　堂馬組は電磁バリアで一時防御するが、列車の揺れで防御は不安定になる。

　車内は火花と煙に包まれ、光と影が走る。

　堂馬組リーダーは怒鳴る。

「押せ！　列車ごと奪うんだ！」

　扇ガ谷組の隊長も反撃。

「負けるわけにはいかねぇ！　この列車は俺たちのものだ！」

　未来兵器が飛び交う中、列車はまさに生き物のように揺れ、銃撃戦は死の舞踏と化す。

---

　2040年夏。犯罪自由化政策下の日本。

　都市部では、企業同士の暴力衝突が日常化していた。

　ある日、派遣会社「オメガリクルート」と食品会社「フードレヴォリューション」の間で、利権・契約・社員の取り合いを巡る全面戦争が勃発した。

　きっかけは、両社の従業員派遣契約を巡るトラブル。だがこの世界では、些細な口論も即座に銃撃戦に発展する。

---

　市街戦の始まり

　東京23区の一角、ビル街の高層オフィスで、派遣会社のエリート社員たちが銃火器と戦術ドローンを装備して待機する。

　対する食品会社の精鋭部隊は、冷凍食品配送トラックに改造した装甲車両を先頭に突撃を開始する。

　街路に響くのは、銃声、ドローンの爆音、そして破壊されたビルの崩落音。

　車道にはスライム状の食品廃棄物が撒かれ、滑る兵士たちが転倒する。まさにカオスの都市戦である。

---

　派遣会社の指揮官・高城は無線で指示を飛ばす。

「前線を維持しろ！　フードレヴォリューションの装甲車を止めるんだ！」

　一方、食品会社のリーダー・梶原は笑いながら応答。

「笑わせるな！　この街も、社員も、全て俺たちの冷凍食品で覆す！」

　その瞬間、冷凍食品入りのコンテナが空中を飛び、派遣会社の前線に衝突。

　氷と缶詰の雨が街路を覆う。

　戦闘員たちは銃を撃ちつつ、転倒し、建物の陰に身を隠す。

　都市全体が、まるで巨大な戦場ゲームのように変貌していた。

---

　神崎ユウダイの介入

　戦場を上空から眺める神崎ユウダイ。

　彼は無線で叫ぶ。

「やめろ！　このままでは、民間人が全滅するぞ！」

　だが、両社は一歩も退かない。

　利益とプライド、復讐心が、文明社会の理性を完全に押し潰していた。

　神崎は決意する。

（……こんな狂気の戦争、誰も止められない……

　なら、俺が動くしかない……！）

　次の瞬間、神崎は高層ビルの屋上から、派遣会社・食品会社双方の戦場に飛び降り、戦場の中心に飛び込む。

---

　戦争の未来

　都市戦はまだ始まったばかり。

　銃撃戦、冷凍食品弾、ドローン爆撃――

　2040年の都市は、人間の狂気と企業の利権争いで荒廃していく。

　神崎の運命、企業戦争の行方、そして生き残る者は誰なのか。

　犯罪自由化社会の闇は、まだ深く広がっていた。