元暗殺者の令嬢は暗躍の限りを尽くす

ステスタ

プロローグ

 ナイフを差し出された。

 

 「さあ、どうする?今すぐここから立ち去り、どこかの教会にでも行けば、人並みの幸せな人生を送って終えることもできるだろう。だが、今ここでこのナイフを受け取れば、お前の人生はここで終わったも同然だ。道具として使い潰される。それくらいの覚悟はしてもらうことになる」


 「・・・やさしいのね。それは私が子供だから?」


 私の問いに、男は少しだけ楽しそうに答える。


 「普通の子供なら、こんな提案すらしない。周りは血まみれだ。それも、自分の両親の血でな。泣き叫んだっていい。気を失うことだってあるだろう。だが、どうだ? 今、目の前にいる少女ガキは――その顔は何事もなかったかのように自然で、凛々しい。それでいて、その瞳は復讐という憎悪で燃えている。・・・本当にいい目をしている。俺が復讐を手伝ってやろう。その代わり、ここから一生、道具だ。さあ、どうする?」


 ここが人生の大きな分岐点なのだろう。だが、迷いなどなかった。

 私は、私の家族を奪った奴を許さない。

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