波の前の選択

フーッ……

ゴロゴロ

フウウウウッ……フーッ……フーンッ……

「皆さん、落ち着いて! 列になって移動してください!」

「押さない! 我慢しない!」

「全員順番来ます! 指示に従って!」

黒い雲と冷たい風がグングン強まる中、長い列が避難待ち。

「いつまで待たせる気だよ!」

「もっと早くできねえのか!」

「遅すぎんだよ!!!」

…………………

「マジ天気急変すんな!」

「さっきまで晴れだったのに、真っ暗じゃん!」 石川さん、黒雲の方ジーッ。

「こんな天気変わり、女の子の気分みたいだな、ハル? 気まぐれでコロッと変わる、予告なし!」

「うわっ!」

「何すんだよ、ネネ!?」

「おしゃべりの罰だよ。だから今まで独身!」

「何!? 見た目だけじゃねえよ、モテてるんだからな!」

「ふーん……そう? じゃ、誰か教えてよ、ネネに!」 石川さん、目を細め、ニヤニヤ。

「え、えっと……その……知ってるだろ……」 蓮、手バタバタ、目グルグル。

「ふーむ……分かんない! もっと詳しく、蓮ぅぅ!」

二人の言い合いの最中、俺、シノミの方にスッと目がいく。

「また変なこと、始まったね……」 シノミ、コソッ呟く。

「シノミ?」

「シノミ。」

「シノミ!」 俺、手伸ばして軽く触れる。

「ハル?」

「どうした、シノミ? ボーッとしてるよ?」

「大丈夫。ちょっと考え事。」 シノミ、海の嵐見て、深く思索。

キキーッ……

新しく来た車団の音、俺たちの会話ブチ切れ。

「今から皆さん、別区域へ移動します!」

「指示に従って!」

……

「やっと来た!」

「もうすぐ安全だ!」

車団見えて、みんなホッ。嵐前に間に合った。

「ついにここ出られるな!」

「待てよ蓮! さっきの話、車で続きだぞ!」 石川さん、蓮の肩ガシッ**。

「ひっ……」 蓮、俺に助け求める目。

ドン……

突然、遠くからデカい音! 真っ黒な煙柱、ガラガラ石飛び散る! でも、音止まらねえ!

ドン……

ドンッ……

ドドドッ……

海岸近くで次々爆発! 煙柱****ウジャウジャ!

「あれ……何!?」 女の人、煙指差す。

……………………..

みんなシーン、指差す方向ジーッ。瓦礫の中、二つの影がボヤッ現れる。そしたら、一つの影が俺たちの方へ飛んでくる!

ガシャッ!

土石飛び散る! 煙が晴れると……目の前!

デカい穴! 周りのガラガラ全部弾き飛ばされて! そしたら、

「アイツらだ!!!」

「戻ってきた!!!」

「逃げろぉぉ!!!」

「早く連れ出せ!!!」

「ここで死にたくねえ!!!」

ザワザワ……ガヤガヤ……

みんなパニック! 映画の悪夢が現実に!

でも、俺の目、壁に叩きつけられた影に釘付け!

「蓮! あの穴に近づけ!」

「お前狂ったか、ハル!? あそこに何があんだよ!?」

「いいから行け!」 俺、蓮の肩ギュッ**!

「ちょっと、どこ行くの二人とも!?」 石川さん、蓮の手ガシッ。

「こんな時こそ固まって! 離れるな!」 石川さん、シノミの手も引っ張り、心配顔。

「俺にそんな目すんなよ、ハルに聞け! あそこ行きたいって……」 蓮、ハッ! 俺の手、肩ギュウギュウ!

石川さんの反対無視して、蓮、俺おんぶで穴へダッシュ!

「ハル、帰ってからお前変だぞ。」

「何か隠してねえ?」

「俺……」 俺、モゴモゴ、答えられねえ。

「ま、誰にでもあるよ。でも、この後絶対話せよ!」

「うん!」 俺、コクコク頷くだけ。

着いた! 目の前、男! 土石に挟まれて、血まみれの変な服! 金ラインが腕にビシッ!

両手に剣! クロガネさんのガントレットみたいに光らねえけど、柄のシンボル同じ! 星、翼、円!

「蓮、もっと近づけ!」 俺、剣に手伸ばす。

「お前何すんだ、ハル!?」 疑いつつ、蓮、グッと近づく。

俺の手、剣に触れそう……そしたら、血まみれの手が俺の手ガシッ!

「ガキ……これ……おもちゃじゃねえ……下がれ……!」

「早く……ここから逃げろ……急げ!」

「時間……ねえんだ……」 男、弱々しい息で必死。

俺、迷う。その言葉の瞬間、車団から音!

「おい!! 何やってんだ二人とも!?」 石川さん、走って手振り! シノミ後ろ!

「まだ何!? 車出るぞ、早く!」

「そっか、ハル、行こうぜ。俺らの範疇超えだ。」 蓮、俺見上げる。

「そうよ、ハル! 長居危険、一緒に!」 シノミ、俺の腕ギュッ、優しい目。

ドン…ドン…ドンッ…ドドドッ!

周り爆発連鎖! 黒煙、嵐の雲と混ざって竜巻みたい!

「ガキ……早く行け……お前の場所じゃねえ!」 男、俺たち促す。

でも、その瞬間、俺、ハッキリ感じる。男の体温、弱まる。

……………………………………

もしこの男が俺の友達だったら……?

……………………………………

蓮が瓦礫に挟まれたら……?

……………………………………

石川さんが戦場に倒れたら……?

……………………………………

ケイが魚人に見つかったら……?

……………………………………

そして、あの黒鎧がまた来たら……シノミ、俺の隣にいられるか!?

……………………………………

ギュッ!

その思考の渦で、俺、痛む体引きずって、剣に這う! でも、手がグイッ!

「ハル……ダメ……触っちゃダメ……それ触ったら……戻れねえ……!」 シノミ、顔伏せて、震える声、必死に引っ張る!

でも俺、皆の制止無視! 剣ガシッ!

「ガキ……ダメ……」

剣触れた瞬間、鉄紺の光がバチィッ! 体、フワッ軽い! 痛み消える! 力がドクドク流れる!

「そうか……お前も……俺たちの一員か……」 男、手スッ、俺見て満足げ。

「何!? 今の!?」 石川さん、ポカン目。

「ハル! おいハル、何!?」 蓮、呆然、バンコン!

「今説明できねえ! でも、お前ら車行け!」 俺、蓮から跳び降り! 怪我ゼロ!

「全部後で話す! 約束!」 俺、黒煙の方へダッシュ!

………………………………………

「ハル! おい! どういうことだよ!!」

「クソッ! 勝手に置いてくな!!」 蓮、ハル追いかける!

「お前もかよ!? マジ男って信じらんねえ!」 ネネ、シノミ見る。

「シノミちゃん?」

「ごめん、ネネちゃん! ……でも、車戻って!」 シノミ、心配顔で二人追い!

「お前も!? おい、待てよ!」 ネネ、後追い!

………………………………………………………………………………………………………………

煙柱の向こう、爆発音まだドカドカ!

ガチャン!……ガシャン!……カンッ!……ガチャッ!……カチッ!……ガキッ!

バババッ……バババッ……

「全軍、前進!」

「全人類のために!」

「未来のために!」

銃声と金属音の中、人間の咆哮! 理想の闘争!

「陸の奴ら全滅!」

「同胞の苦しみのために!」

「二度と攻撃されない未来のために!」

対する戦線反対側、真珠白の鎧! 青ラインビシッ! 貝殻紋章! 魚人戦士、陸へ猛進!

ガキッ!

「俺のこと覚えてるか、鉄クズ?」 黒鎧、ドス声!

「失礼ですが、会った人全部覚えてられません。」

「特に貴方みたいな地味な人は。」

「バカにするか? 小姐どこにやった!?」

「申し訳ありません、“小姐”が誰か分かりません。」

「貴方が誰かも覚えてませんし。」

「そうか、俺そんな地味か? じゃあぶっ壊すまで覚えさせっか!!?」

コツ…コツ…

「悪い、今彼女用事あるんだ」 クロガネさん、コウカの後ろからスッ**!

「行け、星間! 状況掌握しろ!」

「少なくともアイツ来る前に!」

「了解。」 コウカ、サッと去る。

「まだ終わってねえ! 誰が行かせた!?」 黒鎧、槍振りコウカへ!

「今忙しい、分かんねえか?」 クロガネさん、ガキン! 完璧ブロック!

「代わりに俺と遊ぼうぜ。」

「面白えな、虫けら。何ができるか見せてみろ!」

…………………………………………………………………………………………………….

遠く沖、波ドバドバ! 風ゴオオ! 雷ゴロゴロ!

チャポン…ドボォン!

ヒュウウ…ゴオオオ…

ゴロゴロ…ピシャッ!

その音の中、全て切り裂く音!

ドォン…ドォン…

ヴォオオオオオ!!

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