第27話 嫌がらせをやめさせろ!
- ガラス庭園
「ここが?」
「うん。2人はもういるらしいから。中は監視カメラないから好きに話して大丈夫!」
「了解!」
やはり今回も照明は消されていて、月の光だけでうっすらと植物たちが照らされている。
「わぁー!なんか神秘的だね!」
「だよなー!俺も初めて来たとき感動した。」
「あっ!2人ともこっちこっちー!」
「「香(くん)!」」
植物の影から香が出てきて俺たちに声をかけてきた。そして秘密基地へ俺たちは向かった。
ピピ……ガチャ
「すごい!本格的!」
「でしょー?僕たちの秘密基地だよー!ではようこそ!」
中では東雲がこちらに背を向けて、何かの作業をしているようだった。
「東雲?」
「おー、藤岡と雪城か。」
「やっほー」
「こんばんは。」
「何してるんだ?」
「なぜかいくつか作動させていた監視カメラのハッキング装置が壊されててな。修理してたんだ。」
「え、壊されてた?」
「あぁ。誰にやられたかはわからないがな。」
「人のものを勝手に壊すなんてよくないよね!」
「そうだな。だがハッキングは犯罪だからしょうがない笑」
「それもそっかー。あっ!そういえばしーちゃん!話はこーくんから聞いたよ!犯人を懲らしめないと!」
「そっか。でも僕は大丈夫だよ?きっと誤解を解けば……」
「ダメだよー!今後もっとエスカレートしたらどうするさ!」
「俺もそう思うぞ。とりあえず寮の部屋を出た時間と水かけられた場所教えてくれるか?」
「えっと……わかった。まず朝7時くらいに部屋から出たら、扉にイタズラ書きが。それで水をかけられたのは用務員室に向かう外の通路のところだよ。」
「了解。じゃあその時間の寮と外の通路の監視カメラをハッキングしに行くか。」
「「「了解!」」」
・
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4人で監視カメラの映像を確認しに向かう。
ハッキング道具を取り付け、みんなでモニターを覗き込むと犯人と思われる人物が映っていた。1人ではなく5人ほどで行動しているようだった。
雫は気づいていなかったようだったが、雫の持ち物などにも色々とされていた。そしてカメラに映っているメンバーはそのときどきにより異なるが、1人だけずっといる人物がいた。
「これ親衛隊の子達だね。会長以外の親衛隊のメンバーがいるね!」
「香、親衛隊全員の顔おぼえてるのか!?」
「うん。人の顔おぼえるの得意なんだよねー!」
「「すごっ!」」
「ありがとうー!どうする?全員に話をしにいくにしても、時間かかりそうだね。」
「とりあえずこのずっといるやつに話をしに行けばいいんじゃないか?」
「そうだね!この子は副会長の親衛隊隊長だよ。こーくんはたぶん顔合わせのときに見たんじゃない?」
「え!?あー、うん!」
(顔おぼえてない……あのとき居たっけ?)
「こーくんはおぼえてないみたいだね笑」
「あはは……」
(バレてる……)
「たぶんC組の子だと思う!明日、話してみよ!」
「じゃあ俺たちも一緒に聞くよ。」
「最初は隠れててね!いきなり囲っちゃうと萎縮して話せなくなっちゃうかもしれないから。」
「おっけー!」
「じゃあそういうことで解散!」
「また明日。僕のためにありがとう。」
「全然!」
「あっ!帰る前に……藤岡、鍵持ってきたか?」
「忘れてた。はい、鍵。」
「ありがとう。俺は明日の事情聴取は行かないから。ちゃんと録音しとけよ証拠になるから。」
「あれ?そーくん来ないの?」
「俺は歴史館に仕掛けたカメラを回収してくる。」
(なるほど事前に鍵を持ってきてほしいって言ってたのはそのためだったのか。でも事務室の鍵はどうするんだろうか。)
「東雲ってピッキングできるのか?」
「ん?あぁ事務室の鍵なら型を取ったからスペアキーがある。」
「えっ!?そーくんいつの間に!?」
「簡易的なやり方だけどな。」
3人で歴史館について話していると雫が不思議そうに問いかけてきた。
「みんな何の話してるの?」
「実は響の手がかりを見つけてさ。」
「えっ!そうなの!?」
「うん。くわしいことはあとでメッセージでまとめて送るよ。」
「わかった!お願い!」
「よし話が一段落したし、今度こそ解散!」
それぞれが寮の自室へと戻った。
俺は部屋についてすぐに雫へとメッセージを送った。夏祭りの日に響を見かけたこと、見失って後日現場に向かうと足跡があったこと、そしてその先に歴史館があったこと。現状わかっている情報を雫へと送った。すると雫から驚くべきメッセージがきた。
『今幸輝に送ってもらった卒業アルバム、印がついている人は行方不明になっている人みたい。全員かはわからないけど。』
『どうしてわかったんだ!?』
『私、転校してくる前に前副会長と連絡とってたでしょ?だからこの画像を転送してみてもらったの。』
(前会長に連絡を絶たれてる人か。)
『そしたら今連絡のとれない人に印がついてるって。』
『なるほどな。ありがとう!』
『ううん。響くんに近づいてる感じがするね。』
『そうだな!響を見つけだそう。まず雫の問題を解決してからだけどな笑』
『そうだね。じゃあそろそろ寝るね!おやすみ』
『おやすみ』
メッセージを送り終わって考える。
(やはりあの歴史館が行方不明事件に関係があるんだな。それにしてもなぜ親衛隊隊長に受け継がれる鍵があそこの鍵なんだろうか。)
解決すべき問題をピックアップしながら、就寝した。
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翌日
香が放課後に副会長親衛隊隊長とのアポをとったらしい。話すのは中庭らしい。そのため俺と雫は、香とそいつが来る前に待機する手筈になった。
今日も雫は嫌がらせをたくさんされているようだ。だが俺や野口、流星といった同じクラスでガードをしたり、香や亜樹も俺たちがいない間にガードをしてくれたようだ。
嫌がらせをしてくるメンツは、やはり親衛隊メンバーのようだった。(俺は顔を覚えてなかったが香や野口が覚えていた。)会長親衛隊は俺が注意していたこともあり、含まれていなかった。だがほぼ毎回、副会長親衛隊隊長は参加していた。熱心だなと思う。
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放課後になり、事情聴取の時間となった。これで解決するはずだ。
雫は用事が出来たらしく遅れてくるらしい。メッセージで謝罪の連絡が来ていた。さっそく2人が来たらしい。スマホの録音をオンにする。
- 中庭
「こんにちは。副会長親衛隊隊長さん。」
「こんにちは。会長親衛隊副隊長さん。こんなところに呼び出して何の用?」
「自分の胸に手を当てて考えてみたら?」
(香は1回も笑ってないし、相当怒ってるな。俺もすごく腹が立ってるがな。)
「あー……なに?君あのモジャモジャと友達なの?ずっと邪魔してきてたよね。」
「友達だけど?何か悪い?」
「ムカつかないの?あんなブスが生徒会様に近づいてるのに!」
「僕らの方が可愛いし、ずっと支えてきたんだよ!なのになのに!」
副会長親衛隊隊長は早口でまくし立てた。
「それは夏祭りの話?」
「そうだよ!皆様が迷惑してるのにベタベタしまくってるの見たんだ!」
「あれはね別人だよ。」
「えっ!……そんな嘘は通用しないよ。」
「ほんとだよ。実際、この学園内でベタベタしてるところ見た?」
「……見てない。」
「でしょー?まさかあんな格好が被ることあるだーって感じだけどね笑」
「じゃあ僕は無実の人に……嫌がらせを……」
「そういうこと。」
「ご、ごめんなさい……。」
「それ僕に言う言葉じゃないよね?」
チラッと香が俺の方を見てくる。たぶんこのタイミングで出てこいってことなんだろうと思う。けど雫が来ていないのだ。
(遅れるって言ってたけどさすがに遅くないか?メッセージにも返事ないし。用事が長引いたのか……?とりあえず俺だけでも出るか。)
ガサッ
「えっと……本人に改めて謝罪できるか?」
「えっ!藤岡くんいたの!?」
彼は俺を見ると急激に顔を青ざめさせた。香はなんで俺だけ出てくるんだ?という顔で見てくる。
「うん。聞かせてもらった。それで返事は?」
「あ、あ、すみません。ちゃんと謝ります。……嫌いにならないでください。」
「……俺はちゃんと反省できるやつが好きだぞ。」
「ちゃんと転校生くんに謝ります!」
「……こーくん甘すぎ。」
「まぁたぶんこういうとき、瑞希なら許すと思うから。」
「なるほどね!瑞希くんがいないならもう帰っていいよ。嫌がらせはもうしないでね!」
「はい!じゃあ……。」
副会長親衛隊隊長は中庭から走り去った。
「それで瑞希くんはどこ?」
「わからないんだ。」
「えっ!やばいんじゃない!?」
「一応用事が出来たって連絡はあったんだけど……」
「そっかそれならまぁまだ用事が終わってない可能性あるか。」
「そうなんだよな。何の用事かは聞いてないけど。」
「とりあえず嫌がらせ問題は解決しそうでよかったね!今本人に謝らせたかった感はあるけど。」
「香だいぶ怒ってるな。」
「当たり前だよ!友達が嫌な思いしてるんだよ!?こーくんは逆になんでそんなに平常心なの?」
「俺は……たぶん雫なら自分でも解決しそうって思うんだよな……。」
(昔、俺が公園で年上のやつらにいじめられてるときに、雫1人で返り討ちにしていたからな。守りたいとは思うけど、たぶん俺よりもカッコよくて強いんだよな。守らせてもらえない。)
「えっ?どういうこと?詳しく教えて!」
「内緒ー」
「えー!おしえてよー!」
結局しばらく待っても雫は中庭に現れなかった。
夜遅くになってもメッセージの返信がないので、明日教室にいなかったら本格的に探すことにした。
・
・
・
- 2年A組
ガラガラ
特徴的な見た目のやつが入ってきた。モジャモジャの髪の毛に分厚いメガネ。
(雫は昨日は忙しかったのかもしれないな。)
「あっ!瑞希おはよー!」
「流星くーん!おはよー!」
「「「え?」」」
(あの話し方は偽転校生の奏多だ……。えっ!雫のかわりにあいつが登校してきた!?)
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