ソウルカード デス&ホーリー −魂を賭けた究極の戦い−

佐藤ゆう

第1話 黒の少女


 コツン コツン コツン。


 険しき山脈に建てられた、黒牢の城――。


 城主【ソラ・クラウド】は、城の地下への螺旋階段を、ゆっくりと降りていった。


 コツン コツン コツン ピタリ。


 脚を止めた牢獄の前で城主ソラは、『囚われた少女』を憐れむ瞳で見つめた。


 少女は【黒の眼帯】により両目は塞がれ、拘束具により全身の動きを封じられていた。


 赤い唇をうっすらと開く。


「……殺してください……」


 感情もなく無機質な言葉に、城主ソラは心を痛めて まぶたを閉じた。


 ――殺すべきか 殺さずべきか――


 答えは決まっているのに、わずかな迷いがソラの心を揺さぶった。


「……キミを救おう」


 少女はにっこり微笑み。


「……ありがとうございます、ソラ様。わたしは、この世界に存在してはいけないのです。この世界のために、わたしを救ってください。【死】こそ、わたしに許された『救い』なのです……」


 牢獄の扉を開けてソラは、少女の両目を塞ぐ【黒い眼帯】を外した。


 そこには――美しい少女がいた。


 魂も精神もその覚悟も、人を魅了するすべてがつめ込まれているかのようだった。

 

 死を望み、感情もなく無機質な言葉とは違い、少女の瞳には強い意志が込められていた。


 殺してください――と。


 この世界のためにわたしを――と、強く。


「キミは生きたいかい?」


「いいえ」


「キミは、この世界に未練はないかい?」


「はい」


「じゃあ、この世界のために『生きる』つもりはないかい?」


「……なにを……? 言って……?」


 困惑する少女の瞳を見つめ。


「……キミは、この世界のために生きなくてはならない。それは死ぬより ずっと辛くて悲しい出来事が待っているかもしれない……けど、キミなら乗り越えられると、オレは信じているよ……」


 優しく微笑み、少女の瞳の奥をのぞく―――


 ―――そして少女のすべてを奪った―――

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