文章の美しい、大変情緒豊かな素晴らしい作品ですね。
ただ、惜しむらくはやや急ぎ足で終わってしまったことです。

一つ引っかかるところがありまして、主人公の森奏（何と読むのでしょう。もりな？）の両親は、娘に対して過剰な期待を抱いて東大合格を望んでいたようですが、未だに「女に学問は要らぬ」というような男尊女卑思想の残る日本において、ここまで期待されるという事は森奏はとても優秀で、かつ父母共に東大卒のエリート官僚とか、そういう設定を書いておいたほうが整合性があるかな、と思いました。

ともかく、比喩や状況説明の卓越した素晴らしい書き手の方だと思います。この作品も更に肉付けして長く書けば、新人賞も狙えるのではと感じました。これからも頑張ってください。