日々を死にゆく剣闘士、あるいは異世界転移したが即日奴隷になった件
高田園子
プロローグ
プロローグ あるいは俺が奴隷になった事
ある時、詳細は省くが気がつくと異世界にいた。
なぜ異世界だとわかったかというと、まぁあれだ。月が二つも出ていてそれが赤と青でしかもめちゃくちゃでかかったら普通そこが地球とは思わんだろう。
「ワオ」
省略した事情により酒を飲んでいた俺は妙に冷静になってこう考えた。
「こいつはフィクションで言う
その日のうちに奴隷狩りに捕まった。
***
奴隷狩りの馬車を想像してみて欲しい。荷台に木製の檻が乗っていて、そこにとっ捕まった者がぎゅうぎゅう詰め込まれているのを思い描いてくれれば、まぁだいたい合っている。
さて、俺はもちろん檻の中にいた。旅の仲間である他の犠牲者を見ると、どうも奴隷狩り達とは文化が違うように見えた。檻の中から奴隷狩り達の様子をうかがう。
馬車の御者台、馬車の周りをてくてく歩く
こいつらはそれなりに揃った装備で、金属で補強した革製の兜に、似たようなつくりの鎧姿。そこそこの長さの槍に四角い盾を持ち、肩からは布製のカバンを斜めにかけて腰に長剣をぶっさしていた。カバンから果実かなんかのかけらを出してかじったりしてジロジロ檻を眺めている。
翻って我が旅の仲間。あちこち殴られたり軽く切られた
そしてほとんどがむっつり黙り込んでいるかべそべそと泣いている。
ちなみに俺はこの通りあちこちキョロキョロしているのですでに一度外の連中にぶん殴られている。
そういえば、殴られる時に奴隷狩りに怒鳴られて気がついた事があった。
言葉がわからん。
我が旅の仲間も同じようにしょっちゅう怒鳴られているのだが、どうもこいつらも奴隷狩りの言葉がわかっている様子がない。
そしてもちろん、俺は旅の仲間達の言葉もわからない。
それらの情報から、俺は自分の置かれた状況をあれこれ想像して一つの結論に達していた。
つまりこうだ。そこそこいい感じの武器だの馬車だのを揃えられる『文明的』な連中が、言葉が通じない『野蛮な』連中を狩り集めて檻にぶち込んでいる。地球の歴史でもよくあった光景だ。
そこに運悪く
これはもしや最悪の異世界デビューなのではないか?
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