第10話 春

2025年 4月

桜が満開だった。地元で春を迎えるのは、7年ぶりだった。

とにかく桜が綺麗だった。


ふと思い出す。

もう5年前の話だけど、"ヒロくん"が泣きながらあたしに電話してきた。

「俺、もう無理かもしんない。」

詳しく聞くと、元々直契約してた会社から、理不尽に契約を打ち切られたという。

当時まだ23歳だったあたしに取ってはどう声をかけたらいいか分からなかった。


ヒロくんは、あたしによく

「永遠なんてないからね」

と言っていた。


その言葉の意味がわかるようになったのは、今旦那と別居して離婚するかしないかで揉めてる最中に、ふわっとあたしの頭の中をよぎった。


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