異世界チートDAYS
ぽにやん
第1話 ニートの俺はいきなりドラゴンと戦う。
「俺はいつからこんな生活になったんだろう」
俺、浅川斗真(26)は、生ぬるい栄養ドリンクを一気に飲み干し、深くため息をついた。
俺はしがないニートだ。
毎日、目が覚めた瞬間に栄養ドリンクを流し込み、昼夜逆転のままゲームをする。食事は三日前に買ったコンビニの弁当。スーパーへ行くのは三日に一度。当然ながら今日、弁当のストックが尽きた。
財布を掴み、重い体を動かして玄関へ向かおうとした時、床に落ちていた一枚の写真を見つけた。
「…高校時代の俺か。思えば、この頃、俺の全てが壊れたんだ。」
俺は高校二年の時、好きな幼馴染がいた。彼女の名は、鈴木唯。光を反射するような銀髪が美しく、成績優秀の絵に描いたような完璧美少女だ。学年で一番モテていて、本人曰く週に二回は告白されていたらしい。
俺は唯とは気兼ねなく話していた。
「唯、この範囲どこだったけ?」
「斗(とう)君、すぐ忘れちゃうね。でもかっこいい斗君だから教えてあげるね!」
あの時の唯は、いつも俺の事を優しく包んでくれていた。
ただ、その頃、俺はクラスの何人かの奴らにいじめられていた。
「お前!鈴木さんと馴れ馴れしく喋んな!!」
「あの高里君。私は斗君と喋りたいから喋っているの。あなたとは関係ないでしょ」
「唯!!」
唯と一緒の時は暴言だけだったが、一人になった途端、暴力はエスカレートした。殴る、蹴る、そして時にはトイレの水をかけられる。
屈辱と痛みに「うぁーーーーーーーーーーーーーー!」と声を殺して泣いていると、
「どうしたの?」
と、唯の声がした。唯は俺の頭を「よしよし」と撫でてくれた。
唯が「うんうん、大丈夫だよ」と言ってくれた時、心の底から嬉しかった。
学校からの帰宅途中、俺は唯と二人きりで歩いた。
「あのね、斗君。私、斗君が良かったら付き合って欲しいの!」
顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言う唯。
「えっ・・本当に?」
「うん。私、本当はずっと好きだったの!だから、斗君がいじめられているところを見るのが心が痛むの!」
「ありがとう。その、俺も唯が好きだ。付き合って欲しい。」
「ありがとう!これからよろしくね、斗君!」
お互い初めて付き合った俺たちは、緊張しながら手を繋いで帰路についた。
それはあまりにも突然だった。
背後からナイフを持った男が奇声を上げながら、
俺たちの方へ走って来た。
「死ねーーーー」
「しまっ、危ない!」
俺は後ろで男がナイフを持っていることに、気づくのが一瞬遅れた。
次の瞬間、唯は俺を庇い、男のナイフに腹部を深く刺された。
「え、,うっっそーーーーーーーーー」
唯は制服全体が一瞬で真っ赤に染まった。
大量の血だ。だんだん唯の顔が白くなった。
「斗君、ご、ごめんね…私、もうダメかも…」
「唯、許してくれ、本当にごめん!」
数秒後、唯の息が止まった。
………死んだ
俺は頭が真っ白になった。
たった一瞬で、自分の大切な人が奪われた。
俺は殺された唯への悲しみと、殺人者への怒りが同時に湧き出した。
俺は泣きながらその男を追いかけた。
「このヤロー!」
震える手で男の胸ぐらを掴んだ。
すると男は「こ、殺すつもりはなかったんだ…」
と慌てていたが、俺は許せなかった。
自分の大事な人がこんな形でなくなるなんて…俺は本気で殺意がわいた。
しばらくすると、周りにいた人が警察に通報して、男は捕まった。
そしてあの日から、俺は学校で「唯を殺したのは俺だ」というデマを流され、これまでの何倍も酷いいじめを受けた。
唯が死んでから、俺の事を心配する奴は一人もいなくなった。
こうして俺は高二の二学期に不登校になり、そこからは今日までずっと引きこもりニート生活だ。
「さぁ、そろそろ行くかぁ」
俺は家を出て、運動不足を解消するがてらジョギングでコンビニまで向かった。
道路を左に曲がり、横断歩道を渡ったその先にコンビニがある。
青信号になり、一分ほど走ると着き、買い物をした。
無事に買い物を済ませて、家に帰ろうとしたその時…
青信号なのに、一台のトラックが親子の方に猛スピードで突っ込んでいる。
俺はその時、決意した。
この親子を守らなきゃ、今度こそ俺が誰かのために!
思い返せば、俺はいつも人にいじられ、助けてくれた人も俺のせいで死に、臆病な根性のせいで今まで人を助けたことがない。
だが、今度こそは、俺は困っている人がいたら助けたい。
そして、高校時代、守りきれなかったあいつに、俺の最後の姿を天国から見せたい。
俺は決心をつけた。次の人生こそは、人のためになりたい。そして強くなりたい。
俺は親子の前に飛び出し、仁王立ちした。
「危ない!」
トラックのブレーキ音が鳴ったが、時すでに遅し。俺はトラックにはねられて死んだ。
ただ、俺が守ったことで、親子は無事だ。それだけが俺は嬉しかった。
俺も初めて人のためになれた。
ただ、一つ言うなら、来世では強くなりたい。困っている人がいたら助けたい。
(まぁ、どうせ元から死んだも当然だったか。ただ、次こそは必ず人の役に立つ。)
それが浅川斗真、最期の言葉だった。
俺はしばらくすると辺りが真っ黒になり、目の前になぞの画面が現れた。
そこに書いていたのは
「人生をコンティニュー?『YES』『NO』」
と言うものだった。もちろん俺はYES一択だっ
た。もう一度やり直したい。
ただ、この質問はどう考えても胡散臭い。だからNOも押してみたくなった。
それに、あいつが天国にいるなら会いたい。だから俺はNOを押した。
すると…
画面が真っ黒から真っ白に変わり、新たな文字が書いていた。
そして俺はこの画面を見て、驚きが隠せなかった。
「NOを押したあなたは異世界に転生します。」
と、現実ではありえないことが起きたのだった。下の方には
「まぁ、どっちみち異世界に転生だったけど」
じゃあなんでさっき質問したんだよ!次第に真っ白だった画面は緑色の草原へ俺を落下させた。
****
俺は落下した反動で気絶した。
しばらくすると、俺は目を覚ました。
目を擦りながら周りを見渡す。
すると…巨大な森が囲んでいて、見渡す限りの草原が広がっている。
上を見ると、ドラゴンが飛んでいる。
「えっ!ドラゴン!?」
目の前の景色に俺は愕然とした。ドラゴンが俺の方に近づいてきた。
「やべぇ、どうしよう…このままだったらドラゴンに食われる!!」と思った次の瞬間、俺はあるものを見つけた。
「ステータス?」
そこに書かれていたのは、ラノベとかでよくある自分の力がどれくらいか分かる**『ステータス』**というものだ。
「ステータス、オープン!」
俺はステータスを表示した。しかし、結果は残酷だ。
年齢26
レベル1
スキル無し
攻撃1
防御率1
魔法1
固有アビリティ 物投げ
「なんだよこれ。弱すぎるだろ。あと固有アビリティの『物投げ』ってなんだよ。」
てか、このままだったらドラゴンが俺の方に来て襲われる。どうしよう。
そしてドラゴンが巨大な炎を吐く。
「危ねぇー!」
俺は危機一髪避けれた。このままだったら俺、確実に死ぬな。
そう思った時、俺は近くに手のひらサイズの石を見つけた。
「そうか、これを投げれば!」
俺は石を持った。俺のスキル**『物投げ』が発動するはずだ**と思い、俺はドラゴンの方に投げた。
石はまるで弾丸のように加速し、ドラゴンの頭に正確にヒットして、一撃でドラゴンを倒した。
「浅川斗真さんはレベル999のブレットドラゴンを倒しました。」
ありがとう「物投げ」!
ふぅーなんとかなった。と思った時俺はあることに気づいた。
あれ?俺レベル999のドラゴン倒してるんだけど……
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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