第39話 主人公視点
……もう! 何がどうなってるのよ!
折角、悪役令嬢を排除したのに、いつの間にかアルヴィスが助けてるし。
きちんと処罰するように言っても、皇太子様ははっきりしないし。
私はこの世界の主人公なんだから、何もかもが思い通りになるはずなのに。
実際に、悪役令嬢を追い詰めるところまでは上手くいったのに。
「なんで、呑気に膝枕なんか受けてるのよ……ああいう風に挑発すれば、アルヴィスのキャラ的に私に対して不敬罪だなんだと突っかかってくるはずなのに」
そうすればアルヴィスの印象は悪くなるし、カイル皇太子の評価も上がる。
それなのに、私達を無視して騎士達の方に行くなんて。
それに、いつの間かアーノルドとアニエスと班を組んでるし。
本来なら、あの二人はアルヴィスの敵になるはずなのに。
「てっきり虐める為かと思ったけど、そんな感じにも見えないし。アニエスはライドウを仲間にする重要なキャラで、アーノルドはそのオマケっていうか実家が戦力になるのよね」
その証拠に、二人してこちら側ではなくアルヴィスの元に駆け寄ってる。
アーノルドは大したことないキャラだけど、力のある家の者。
確か怪我をしていて、それを治すと感謝されるのよね。
「モブキャラだし、放っておいていいかと思って治さなかったけど……失敗したかしら」
何故だか知らないけど、アルヴィスが回復魔法を使えるなんて。
多分、アレで治して恩を売ったんだわ。
確かに水魔法適性はあるから、使えても変じゃないけど……そんな裏設定があったのかも。
「ううん、そっちよりはアニエスの方が問題だわ」
彼女を境にして、アルヴィスの立場が悪くなるんだもの。
あそこの実家は政治にも強いし、味方につけないと行けないのに。
何より、彼女はライドウ攻略の鍵になる。
ただ、別になくても次のイベントさえクリアすればライドウに関しては良いはず。
「ここである程度ライドウと仲良くなってから、後にアニエスを通して更に交流を深めていく」
そもそもアニエスが虐められるのを助けるのが私の役目なのに。
あいつが虐めてくれないんじゃ話にならないわ。
まあ、それも安心だわ。
確かライドウの妹がアルヴィスによって罰せられるから、その話をアニエスに言えば良いわ。
「それは後で考えるとして、まずは次のイベントね」
そう、ここからが今回のイベントの本番だ。
本来ならいるはずのないゴブリンジェネラルがいて、それを皇太子とライドウが協力して倒すのよね。
それをまだ光魔法に目覚めてない私が水魔法で援護しつつ、ライドウが大怪我を負う。
それを癒すことで好感度が上がり、後に私の味方になるってストーリーだ。
「……それにしても前兆がないわね」
確かゴブリン達が大量発生して、その中の一体が進化するのよね。
だから森にゴブリンが溢れたりして、そろそろそんな報告があっても良いのに。
すると、木の下にいる私に皇太子が近づいてくる。
「おーい! レイラ! そんなところで何をやってるんだい!?」
「ごめんなさーい! 今行くわ! ……まあ、良いわ。今は英気を養って、次のイベントに備えましょ」
ただし、あの悪役令嬢に関してはなんとかしないと。
生きている限り、あのイベントが発生してしまうかもしれないわ。
だからああなってしまう前にどうにかしないと。
だが、彼女は知らない。
馬車のイベントを回避し、既にライドウとアルヴィスの仲が良くなってることに。
何より、既にゴブリンジェネラルのイベントが終わってることに。
アルヴィスとユリアの殺戮デートによってほとんどのゴブリンが殲滅されたことを。
それによってゴブリンジェネラルが引き寄せられ、それを人知れずアルヴィスが退治していることを。
騎士達の信頼をいつの間にかアルヴィスが集めてることに。
……こうして、アルヴィスは知らず識らずのうちにイベントを破壊したのであった。
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