第25話 ドワーフとの出会い
身長は160未満、体系はボディービルターのようにがっちり。
顎にはたくましい髭と、顔つきはかなり厳つい。
まさしく、オーソドックスなドワーフといったところか。
威圧的に、俺を睨みつけている。
「すみません、御主人様に一番の店をと言われたので」
「女子に案内させるとは、男の風上にも置けない奴だ。お主の制服はあの学園だろう? これだから貴族は好かんのだ。どいつもこいつも、自分が世話をされて当たり前だと思っておる」
「ご、御主人様はそんな人ではありません! 今回は、私がお役に立ちたい一心でご案内したのです!」
ユリアが俺の前に出て弁明する。
……そうだったのか……感激。
感動から、思わず涙が出そうだ。
しかし、このままでは男……いや、推しが廃る。
「ふん、今時の古い考えだな」
「何じゃと?」
「確かに命令して押し付けるなら違うだろう。しかし、今回は彼女が案内したいと言ったのだ。ならば、その心意気に甘えるのも男ではないか?」
「御主人様……」
「ほう……確かに一理あるか。これは一本取られたかもしれん」
男だからとか女だからとかくだらん。
そこはお互いに、臨機応変にすれば良いだけだ。
どちらが上とか下とか関係ない。
「ただ、お主の一見さんお断りの理論もわかる。ユリア、案内ご苦労だった。とりあえず、他の店に行くとしよう」
「い、いえ、お役に立てずに申し訳ありませんでした」
「何を卑下することがある? お主は俺の要望に応えたのだ、気にすることはない(落ち込まないで!)」
「……ふふ、相変わらずお優しいですね」
「何のことだが(やった! 褒められた!)」
そうして去ろうとすると、肩を掴まれる。
「店主よ、どうした?」
「儂の見る目が腐っていたようじゃな。すまぬ、この通りだ」
「頭を上げよ。そうするくらいなら、他の物で補え(推しのために何か売って!)」
「そのつもりじゃ。とりあえず、店の奥に案内しよう」
表ではなく、扉を開けて奥に通される。
そこは工房になっており、ずらっと武器や防具が並んでいた。
それは表にあるものとは違い、素人目にも良いものだというのがわかる。
「ほう、どう見ても良いものだ」
「こ、これは……凄いですね」
「当たり前じゃ。表にあるのは売る用で、こっちは儂の趣味みたいなものだ」
「なるほど……」
人族に最上の物を売らないということか。
だから本当の意味で、気に入った者にしか売らないと。
「しかし、気に入られた覚えはないが?」
「ふんっ、わかっとるなら良い。これは謝罪の意味と受け取れ」
「そういうことであれば遠慮なく受け取ろう」
よし! これで推しに武器や防具を買ってあげられるぞ!
すると、隣にいるユリアが笑う。
「……ふふ」
「なんだ?」
「いえ、お二人共似ているなと思いまして」
「「似てないが?」」
……被った。
相手も心外なのか、無言で俺を睨みつける。
「「……」」
「「一緒にするでない」」
また被ってしまった。
しかも、言葉遣いまでただ被りである。
「ふふ……あはは……!」
「笑った……(尊い……)」
それは微笑みではなく、純粋な笑い声。
それを見たのは、初めてのことだった。
最早、尊いを通り越して眩い。
「ふん、ただの人形ではないのか」
「ご、ごめんなさい」
「俺がそんなことに目くじらを立てる小さい男に見えるか?」
「同意じゃな。
ほう、このドワーフやりおる。
俺が手を差し出すと、黙ってドワーフが握り返す。
「ドワーフのガロンという」
「アルヴィスだ。こちらは俺のメイドであるユリアだ」
「よろしくお願いいたします」
「うむ、よろしく頼む。久々に、仕事をしても良いと思う貴族に会ったわい」
そう言い、ニカッと笑う。
よく分からないが気に入られたなら何よりだ。
さて……俺の推し活をみせてやろうではないか(キリッ)
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