第5話 帰路
釧路を出てからは、これまた誘われる様に端である襟裳岬へ向かった。今日も今日とて左手には海があるのだが、木々に遮られあまり対峙出来ていない。
朝霧に包まれながら緩い坂と緩いカーブをいくつも通り過ぎる。そうして忘れた頃に海が見えて、静かな興奮を覚えた。
景色の見せ方、出し方が本当に上手い。ベテラン漫才師の間というか、ここぞという時に一級品を出せる豊富な引出しに脱帽してばかりだった。
看板が街に入った事を伝えた時には、すっかり魅せられていた。何もない春と歌われていたが、何もない事が売りに思えた。
珍しい光景と言えば軽トラックの荷台に小さなクレーンが付いている車が海沿いに多く見られた。立て看板に昆布採取中とあったので、漁業関係者の車なのだろう。
水平線の向こうには本州があるはずだが、流石にこの距離では見えない様だ。考えてみれば、地球は丸いから、ある一定の距離以上離れると、向こうにある大陸は見えないはずだ。こうして地球が丸い証拠が自分の中にまた一つ増えた気がした。
通り過ぎるタイミングで、荷台の小さなクレーンが何かを引き上げている光景を目にする事が出来た。詳しくは知らないが昆布と言う当たり前にある食べ物も必ず生産者もしくは採取者がいる訳であって。
何と言うか、商品という言葉に引っ張られ過ぎている様な気がした。それは物であって、その物には沢山の人が関わっている。いくら教科書で説明されても、実際に目にしないと有難さは感じられないのだと思った。
襟裳岬では風を感じた。強い風、弱い風、優しい風、冷たい風。風には色々な名前があるらしく、一説には二千以上の呼び名があるらしい。でもここに立って風を感じていると、そんな気持ちが少しだけわかる気がした。
昔怪我した膝が痛むから雨が降る、とよく言っていた人を思い出した。誰だったかぼんやりしているが、それだけ些細な変化に気が付けるという事だろう。
ここでずっと風の音を聞いていたら、きっといくつも名前を付けたくなるのかもしれない。雨上がりの日はこういう風で、夏の夜に吹くのはこういう風で。そんな思いがこみ上げて来たのは、そろそろ旅も終盤だからだろうか。今日の宿泊を最後に、北海道を去らなければならないのだ。
別に悲しむ事ではない。また来ればいいのだから。各地を旅して来た角田にとって、それは今までも感じて来た事だった。ただここに来て、北の大地がどうして旅人を魅了してやまないのか、肌で感じてしまった。スケールの大きさは圧倒的で、人間が自然を切り開いたという事を肌で感じられる。真っすぐに道路を敷いて四角く街を作った先人達の合理的思考と計画性に脱帽すると同時に、一歩逸れれば野生が待っているという環境は、正しく試される大地だ。
あっという間に走り抜けたこの数日と振り返っていたら、いつの間にか雨が降っていた。今日の宿まではまだ百キロ以上を残しているから、流石に雨装備に変更しなければならない。
少しずつ強くなる雨脚に文句を覚えつつ、屋根のある場所を探した。こういう時に限ってよさげな場所が見つからないのだ。バイク用の衣服は多少の防水機能を有している事が多いが、本格的な雨にはたちまち濡れてしまう。
徐々に水分を感じている指先から、寒さを覚え始めた頃、やっと建物が現れた。小さな道の駅だがここで装備を変更しよう。幸いな事にバイク置き場に屋根があった。
「いやあ、雨ですね」
ヘルメットを脱ぐなり、先客から言われた。
「ずっと晴れてたから、運の尽きですかね」
そう言い返した時、先客の姿、いや小さなバイクに高く積まれた荷物に見覚えがあった。
「こういう事ってあるんだね」
女は言った。
「嬉しいです」
雨の中走っていた疲労や心配が、一気に吹き飛んだ気がした。
「もしかして、もうだいぶ走って来た?」
「はい、明日帰ります」
「早いねえ」
「君、何だかいい顔してるね。その、優しくなった?」
この数日で、どれくらい変わったのだろう。
「そう、ですか。あの頃は怖い顔してました?」
すると女は笑って、
「そんな返しが出来る様になったんだね」
不思議と嫌味には聞こえなかった。
「そうだ、この間はありがとうね。何かお礼したいんだけど」
「じゃあ、温かい飲み物でも」
「いいね。新手のナンパだね」
女は終止そんな感じだった。
だから自動販売機でいいと言ったら、不満そうだった。雨は止む気配がなく見えるが、女はもうじき止むと言ったから、その言葉を信じてしばらく話していた。
「フェリーはどうだった」
「快適でした」
「へえ、随分あっさり言うんだね」
何か知っている様な言い方に、記憶を遡ろうとしたがノイズが酷かった。
「楽しかったかい?」
「ええ、とても。でも飲み過ぎたからか、ぼんやりしてます」
「そう言えば、マッチって集めてるの?」
どういう前後でその話題になったのか覚えていない。
「タバコは吸わないけど、つい貰っちゃうんですよね。今時珍しいって思って」
「へえ、面白いね」
「そうだ。よければこれ……」
角田が取り出したのは、サロマ湖近くのガソリンスタンドで貰った、あのおじいさんから貰ったマッチだった。
その小さな箱の文字を見て、女は声を上げた。
「あのじいさん、まだ生きてるんだ」
心なしか、雨脚が弱まっている気がした。
「じゃあ、ちょっといい物見せてあげよう」
そう言って女はタバコを咥えて、貰ったマッチで火を付けた。
「あんまり他の人には言ったら駄目だよ」
そう言って煙を軽く吸い込んで、空に向かってふーっと吐いた。するとどうだ、雲達はすーっと姿を消し、青空になった。
「なーんて、たまたまだけどね」
よく見れば女のタバコは、見た事ないパッケージだった。
「そのタバコ、見た事ないですね」
「あれ、タバコ吸わないんだったよね」
「昔アルバイトしてた時に、大体覚えたんで」
「まあ、まあまあよ」
よくわからなかったけど、笑っていたのでよしとした。
「君にこれを見せちゃったから、ついでに聞いてもいい?」
「なんでしょう」
「フェリーで仲良しだった子の事、覚えてる?」
女の眼差しは真剣だった。貫かれる様に見つめられて、ぼんやりと女の子の姿が浮かんだ。
「君は罪な男だよ。あっちこっちに愛想振りまいちゃって」
言い方は笑っていたが、目は笑っていなかった。
「来る者拒まずなのはいいけれど、ちゃんと相手を見極めてよね」
何か付けたそうと言いかけた所で、人差し指を唇に当てられた。
「秘密を共有しよう」
「あの、意味がわからないです」
すると女は、人目もはばからず大笑いをした。腹を抱えて。
「君は面白いね。よし、決めた」
すたすたと角田に寄った。息がかかるくらい近くまで来て、胸ポケットのチャックを開けて手を入れた。
「もう、大切にしてあげないと駄目じゃないか。……まあ、悪い奴じゃなさそうだな」
メモ用紙が水に濡れてしまっていた。
「気を付けて行くんだよ、か。いい奴じゃないか」
タバコを持っていない右手に濡れたメモを置くと、ほんの一瞬だけ、手のひらから紫色の炎が上がってメモは消えた。
「あの、それは」
「明日になればわかるさ」
「あの、もう一つお願いがあります」
「急にどうした」
「あの子、フェリーで会った……」
彼女の人差し指が優しく、唇の動きを止めた。
「お役目がまだ終わらないから、悪いな」
キスをされた。熱い舌がねじ込まれて、何かどろりとしたものを感じた。
「……あのじじいに礼言わなきゃな。まだ生きてればいいけど」
白昼夢と言うのだろうか、ぼーっとしていたのだろうか。
「おいおい、雨やんだぞ」
肩を揺すられて意識が自分の台座に戻って来た感覚を覚えた。
「マッチ、ありがとうな」
さっきまでの会話から今に至るまでに、何か時間が抜け落ちている気がしていた。でもそんな事彼女は知らない素振りで、
「このタバコ吸ったら出るわ。君も気を付けてな」
「あの、おれって……」
「色々、よろしくな」
耳元で囁かれて、さっきの会話が夢じゃないとわかった。
「大丈夫、また会えるから。10年後にまた会おう」
また会える、その言葉がどれだけ頼りなくて、でも前向きで温かくて。ああ、こういう事があるから旅は一期一会なのか。
そうして青空に向かって、走り出した。水滴は風に飛ばされ、湿っぽい気持ちも晴れやかになって行った。
ビジネスホテルの朝食が今朝は特に美味しく感じる。人々の声が陽気な音楽にさえ思えて、窓から差し込む朝日はキラキラと輝いて見える。認めたくないが今日は帰る日、フェリーに乗る日だ。
人間というのは身勝手な生き物だと思う。同じものを見てもある時は快楽に感じ、ある時には苦痛に感じる。普段朝食なんて何にも感じず食べている事がほとんどなのに、終わりが見えると何か惜しむ気持ちが出てくるのだろうか。
目的地が見えなくてただただ苦しい事がある。そう言う時はあの山を越えたらとかあの川が見えたら、なんて気持ちを誤魔化しながら進むのだ。でも今度目的地が見えると、途端に切ない気持ちになるのだ。ああ、これで終わってしまう、と。
今日の目的地はフェリーターミナル、数日前に上陸を果たした場所と同じだ。時間には余裕を持たせているから真っ直ぐ行けばお昼には着いてしまう。乗船手続きは昼の三時半が締め切りだから、大分時間が余ってしまう。
ホテルで過ごす朝は、退屈だった。昨日まではいそいそと出かけていた反動なのか、時間がゆっくり流れている気がした。もう今日は諦めて、怠惰に時間を消費しよう。珍しく観光地のパンフレットなんかを眺めていたら、備え付けの電話が鳴った。チェックアウトの時間まで十分あるはずだが。
「あのお客様のお知り合いだという方がお待ちでして」
「えーっと、どなたですか」
受話器からガサゴソと音がした。通話口を手でふさいだのだろう。
「カレーは美味しかったか、と仰っておられますが」
「とりあえず行きます。待つように言ってください」
そう言って受話器を置いた。誰だ、そいつは。カレーは美味しかった、か。
思い浮かんだのは昨日の雨上がり、あの女が消してしまったメモの事だ。まさかとは思った。でもそれを、それらを信じる事が出来なくて、頬を軽く叩いたら痛かった。
エレベーターはやけに早かった。まるで考え事をさせない様にしているかと感じて、疲れているのかもと自身を疑った。でも彼女はそこにいた。現実として存在していた。
わからなかった。何と言えばいいのか。久しぶりでもないし会いたかったと言えるほど深い関係ではない。そこに思考は置き去りにされて、本能で体は動いた。
「ごめんね、朝早くから」
「本物ですか」
「馬鹿な事言ってると、怒るよ」
その目尻に、少しだけ滴が集まっていた事は、誰にも言わない。
予定は変更になった。まずホテルをチェックアウトして近くの喫茶店に入った。そこで状況を整理しなければ頭がパンクしそうだった。
女は照明のせいか、あの時より幾分若い印象を受けた。肌艶が良く白いシャツから出た腕は、あの時より逞しく見える。
「なんかもう、不思議やら嬉しいやら」
笑っていた。
「よかったじゃないですか」
「ああ、これから君の事守っていくから、よろしくね」
角田の頭に疑問符が浮かんだ。
「あ、すいませーん」
店員を呼んでパンケーキと紅茶を注文する女。
「君は?」
「角田、角田衛」
「注文何にするかって聞いてるの」
朝から甘いやり取りを見せられて、店員は少し苦そうな顔をしていた。
内容は結構深刻だった。自分がどうして今ここにいるのかわからない事、一度死んでいるはずの事。でもそれらを面白い事の様に話すから、角田の頭は益々混乱していた。
それでも事情を説明してくれている間、その声が弾んでいて元気である事に、男は気づいていた。
「綺麗な女の人に言われたんだよ、しばらく君を悪い奴らから守って欲しいって」
「悪い奴らって、そんな」
「飲み屋で声かけられた女の人と、どうしたっけ?」
問われている、自身の軽率な行動と開けっ放しの門扉について。
「あれ、人間じゃなかったんだよ」
確かに不思議な空間ではあった。
「でも、悪い人たちじゃないって言うか」
キャラメルラテを一口飲んだら、思った以上に甘かった。
「私がいる以上、やばい奴らは寄せ付けないぜ」
女からの視線が怖い。見つめられていると言うより、監視されているみたいで。
「これ美味しいよ、食べるか?」
フォークに刺さったパンケーキの一切れを差し出され、本能が勝手に食べさせた。
「ちょろいな、君」
ご満悦の女に対して、口いっぱいにパンケーキを頬張った角田は、リスの様に頬が膨れていた。
さっきは全くそれどころではなかったが、女のバイクはなかなか渋い物だった。趣味の方向性は角田のバイクと似ていたのだが、ヘッドライトの辺りについた角ばったカウルが印象的だった。そして全体のカラーリングは緑を主体としていて、自然の物とは違うビビットな感じを受けた。
「こいつにまた乗れる日が来るとはな」
シートを軽く撫でる女。角田のバイクと並ぶと、所々に過ぎた年月を感じる。それは古臭いのではなく、歴戦の猛者の様なオーラで見る物を引きつける。
「んー、どうしよっか」
青空に向かって両腕を伸ばすと、鍛えられたお腹が垣間見えた。
「どこ見てんのさ」
ちょっと恥ずかしそうにしているのが、屈強そうな見た目に反して可愛らしい。
「まずは色々揃えた方がいいんじゃないですか」
角田が言うと、
「いいけど、お金持ってないよ」
「その綺麗な女の人は、持たせてくれなかったんですか」
「甘いな、甘すぎだよ。あれもこれも与えてくれる程神様は甘くないさ」
「とりあえずこれ使いますか?」
念のため持っていたウインドブレーカーを渡した。
「まあないよりはいいかも」
小さく折り畳まれたそれを取り出して、羽織る。
「あれ、これ小さいかも」
胸の辺りでジッパーは止まってしまった。
そうして荷物満載の男と白いシャツが眩しい女とのツーリングが始まった。目的は一つ、買い物だ。
青い空から降り注ぐ日光、湿気の少ない夏も今日が最後だ。噛み締める様にゆっくり走りたいと思っていたのだが、それは出来ない相談だった。
前を走る緑のバイクがとても楽しそうなのだ。コーナーを駆け抜けるその後ろ姿は正しく水を得た魚。排気管から奏でられるその声はベテラン講談師の名調子よろしく心地がいい。ヘルメットから出たポニーテールが適度に揺れて、それに近づこうとペースを上げると、たちまち離されてしまう。きっと後ろにも目があって、白いヘルメットの中では笑っているのだろう。
しかしこちらは荷物満載の身、あまり飛ばして事故を起こす訳にはいかない。それでもこちらを挑発してくる彼女の仕草に、どこか子供の様な愛らしさを覚えていた。
街まではどれくらいかかっただろうか、あっという間にも濃密な時間にも感じられた。目当ての店があった様で、女に続いて駐車場に入った。
そこはショッピングモールだった。立体駐車場に上がると、海が見えて、フェリーも見えた。いつの間にか、今日の目的地に着いてしまったのだ。
「久しぶりだったから、つい燃えちゃったよ」
ヘルメットを取りながら、女は言った。そうして後ろに結わいていた髪を解くと、風がこちらへ吹いた。
「何買うんですか」
「そりゃあ色々よ。大丈夫だって、後でちゃんと返すからさ」
「というか、いつまで一緒に来るんですか?」
女は笑った。
「そりゃあ君の家までよ。君を守るって、さっき言ったでしょう」
男は疑問一杯の顔で、首を傾げていた。
「食事は美味しいの作れるよ。あと働きにも出るし」
「うち、狭いですよ」
「いいのいいの。必要なら広い部屋に引っ越そうよ」
「一緒に暮らすって事ですか?」
「そう言わないと伝わらないなら、そうだねえ」
「そうだ。フェリーの予約、もう一度見てみたら?」
なんとか抑えていた疑問がまた吹き出してきた。言われるがままスマホから予約メールを見てみたら、乗船人数が二人に変わっていて、ツインの部屋になっていた。
「わざわざ二人部屋にしてもらったのよ」
女は終止ご機嫌で、にこにこしている。
「私の名前で登録されているでしょう」
困った様に可愛く見せる仕草に、ぐっと感じる物がある自分がどこか許せなかった。でも決まった事なら仕方ない。
「苗字は忘れちゃったから、角田ゆかりで」
「姉弟って設定にしておこうか」
「夫婦、な」
なんか、どう言っても勝てない気がする。
「まあまあ、お腹も減って来た事だし、行こうよ」
「大丈夫だって、お姉さんに任せな」
「お姉さんって、本当はもっと上なんでしょう」
「身体は君、いや衛と同い年にしてもらったから」
仲睦まじく話す後ろ姿は、誰が見てもお似合いのカップルだった。ただひとつ、背の高い方がゆかりだった。
それから二人で昼食を取った。チェーン店のイタリアンの店だったが、テラス席から見える景色はなかなかよかった。食事を取りながら改めてゆかりの話を聞いた。朝に喫茶店で話をされたばかりだったのに、話題が尽きなかった。それにすごく嚙み合いが良いと感じていて、相槌のタイミング一つも互いに気持ちがいいと感じていた。
そうしてあれこれと話していたら、小樽の景色といてば運河だろうという話になった。ゆかりはかつてそこへ行った事があるらしいが、昼下がりには観光客で溢れかえっているらしい。
流石に時間が足りないと判断して、ひとまず買い物をする事にした。時間の事を考えると各々で店を回った方が効率がいいのだろうが、ゆかりは頑なに離れようとしなかった。
角田の職場へのお土産を選び、自分たちへの土産も選び、多少の衣類を買って、コスメも買った。今日はすっぴんだと言っていた彼女だったが、逞しくて屈強な見た目とは裏腹に、意外とそういう所に気を使っている所が愛らしくて、益々興味が湧いていた。
「じゃあ、後はあれだね」
そう言って、ジェスチャーをしたゆかり。
「あれね、なんか嫌な予感がする」
それは数日前、飲み過ぎた挙句の出来事だった、気がする。
「でも飲まないなら、あとやる事なんかないよ」
角田は何か言いたげだったが、ぐっと言葉を飲み込んだ。
「あれか、フェリーでよろしくやってたんだって?」
駄目だった。
「聞いたよ。その子に随分お熱だったとか。羨ましいな」
急に女性の面を見せられると、心が痛くなる自分がいた。
「まあ大丈夫。悪い奴じゃないだろうから」
「その悪い奴ってのは誰なの?」
「そうだね、例えば幽霊とか悪魔とか、そういう奴?」
ゆかりは笑っていた。
「関係を持つのは勝手だけどさ、あの人も心配していたよ」
あの人、つまりゆかりをこの世に再度呼んだあの人だ。
「衛は本当に愛されているんだねえ」
どこか他人事の様に言うゆかり、内心はちょっと妬いていたりすするのだろうか。
「でも君じゃなければ、私もここにいなかっただろうし。感謝感謝だね」
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