四章 お茶会 4

 とりあえず私は頷きながら、指示に従って着席した。ついでに然り気無く視線を向けつつ、ナンリー様の様子を伺う。

 彼女は変わった様子はなく、

 「シヤリー様、座り心地はどうですか?…苦しくないかしら?…もう少し椅子を後ろにさげますか?」

 「いえ、大丈夫ですわ。…ありがとうございます。」

 「そう、良かった♥…今日は、沢山の話しましょう。」

 と、屈託ない笑顔を向けながら、シヤリーに話しかけている。凄く気にかけているようだ。

 彼女達は、互いに良好な関係を築いているのだと一目でわかる。

 (あぁ、なんて良い子なの。…あの兄とは真逆ね。)

 私は目の前の様子に感動してしまい、心から安堵している。ついでにヴィシューの所業を思いだして、余計に憎さが倍増してしまう。

 ふと背後から誰の気配がした。ナンリー様の方へと静かに近づいてくるようだ。

 「姫殿下。…お茶会の支度が整いましてございます。…」

 それは、一人の若いメイドである。金髪の短い髪が特徴的な人物だ。此方に辿り着くと、ナンリー様の側で、恭しく御辞儀をしながら話しかけてきた。

 「えぇ、わかりました。…ありがとうございます。」

 と、ナンリー様も返事をすると、すぐさまシヤリーの左隣の席に腰掛けたら、周りに向かって呼び掛けだした。

 「皆様、今回のお茶会を始めますわ。…御存分に、楽しんでください。」

 それを合図に少女達は、各々の思い思いに、過ごしだす。

 お茶の香りや、味を堪能する者がいる。

 茶菓子を頬張り、満面の笑みを浮かべる者がいる。

 さらには、真っ先に席を立つと、此方に向かって押し寄せてくる者達もいた。

 私は覚悟を決めて、待ち構えだした。あの時と同じ様になると、思っていた。

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