初めての昇殿
貞観4(862)年
当然、
9月9日、
大学は羅城門から続く朱雀大路を北に北上し、平安宮へ入る南端の朱雀門をくぐってすぐの所にある。朱雀門の南には藤原氏の
父に連れられ、道真は生まれて初めての昇殿に心が沸き立った。朱雀門をくぐり、朝堂院の横を通って建礼門をくぐり、さらに武徳門から内裏に入る。宮殿の前には踊り子の舞台が設置されていて、綺羅びやかな舞姫たちが蝶のように美しく舞い、まだ十三歳と若い帝の目を釘付けにしていた。時の帝は
帝の横には後宮の姫たちが、赤や紫や黄といった色とりどりの着物を纏い、豪華絢爛に宮殿に彩りを添えている。帝の後方には摂政である藤原
「どれ、この勧学院の落ちこぼれが、菅家廊下の天才を値踏みしてやろう」
男は淡い緋色の衣を粋に着こなし、小麦色に日焼けした肌にはほんのりと朱が差していた。
「これ、
男の後からは身の丈六尺はあろう大男が追いかけてくる。そして道真の隣りに是善を認め、頭を下げると同時に前にいる業平と呼んだ男の頭に手を添えて下げさせた。
「これはこれは、業平殿に
是善も慇懃に頭を下げる。その父の呼ぶ、自分の目の前に出て来た男たちの名前には道真も覚えがあった。美男子が
ちなみに位が三位以上が上級貴族、四位と五位が中級貴族、六位以下(実質貴族の位は六位までなのだが)が下級貴族で、上級貴族のほとんどは方略式という難易度の高い試験を受けなくとも官僚になれるよう法整備がされていた。
「いや、是善殿も息災でなにより。今日はご子息の腕を見させてもらいますぞ。おーい!ここなる神童が次に謳われますぞー!」
いきなり群集に向け業平が声を上げ、道真は面食らった。業平の横では夏井が、言わんこっちゃないとばかりに、酔った業平の振る舞いに頭を抱えていた。
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今話の扉絵です。よかったら見て下さい。
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