140字小説まとめ23
葵
綺麗な君と
眠るように、息を引き取った恋人は、誰よりも綺麗だった。陶器のように青白い肌をなぞり、収まりよく腕を組んでいる。先刻まで、苦しんでいた姿が、嘘のようだ。本当にすごい……魔法だ、この薬は。手のひらに収まる小瓶は、あと一滴残っている。ためらわず、舌で舐めとった。途轍もなく、甘い……
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