退勤

 《おすすめドリンク:ゆかり(指名見込み度:高)→ “スパークリングワイン(中価格帯)”が最適》


(な、なんだこれ!?ゆかり?この子の名前か?!)


驚きつつも、薫は自然に口にした。


「スパークリングワインなんてどうでしょう。甘めで、すっきりするので最初の一杯ではいいと思います」


ゆかりの目がキラリと輝いた。


「いいね!それにする♡」


薫は慌てて注文ボタンを押しながら心の中で叫んだ。


(ウィンドウ……転生の特典か?)


スパークリングワインが運ばれ、軽く乾杯した。

ゆかりはよく笑い、薫の話に興味深そうに耳を傾けた。


「カオルくん、今日デビューなのに落ち着いてない?」


「はは……実は緊張してるんですよ」


「でも、なんか……ほっとする声してる」


そう言って、ゆかりは薫の腕にそっと触れた。


(ちょ……ま……こんなの大学時代ぶり……いやそれ以上……!)


薫の頭の中でパニックが起きていたが、ウィンドウは次々とヒントを出してくる。


《話題:旅行/料理/恋愛系の軽い話題→好感度上昇》

《距離感:10cm→ベスト》


その指示に従うと、あれよあれよと会話は盛り上がった。


気づけばゆかりは、笑いながら薫の肩にもたれていた。


「カオルくん、今日来てよかった……」


そして帰り際、ホストクラブの命とも言える言葉を言ってくれた。


「次も……呼んでいい?」


薫は一瞬呆然とした後、深く頷いた。


「もちろん。僕も、またお話ししたいです」


ゆかりは照れくさそうに笑って帰っていった。



閉店後。

店長が薫を呼んだ。


「おい、新人。あの嬢、今日お前の売りの7割だぞ」


「え、そんなに……?」


「しかも、また来るって言ってた。

 ——新人にしては上出来だ。売れるぞ、お前」


先輩ホストたちもひゅーっと口笛を吹いた。


「やるじゃん、カオル!」「大型新人登場だなぁ」


薫は心の中でガッツポーズをした。


(ウィンドウ…お前のおかげだ……!)


でも同時に、妙な不安もあった。


——この能力は、何のために与えられた?

——そもそも、俺はなぜ転生したんだ?


考えても答えは出ない。


しかし、今はただ——


「よし。ホストとして……売れてやる!」



売れるための決意を固めた俺はとりあえず帰宅した。新しい俺、近藤馨はホストクラブで用意された寮で暮らしているらしい。


「この体の記憶…思い出せるな。親に虐待されて育って家出して一人でアルバイトしながら暮らしていたみたいだな、」


この体の持ち主は父親に虐待されて育って母親はいない。


家はナンパした女性の家を転々として雨風を凌いでたみたいだな。


「…改めて見ると、顔めっちゃイケメンじゃん。

おかげで野垂れ死ぬこともなかったのか。」


「とりあえず"コレ"確認するか」


今はまずウィンドウの確認が重要だ。

——

名前:近藤馨

年齢:18

役職:ホスト lv.1

残ポイント:21

力:10


素早さ:10


頭脳:10


魅力:15


忍耐:20


スキル:会話術lv5 ナンパ術lv3 魔性lv0


称号: 中運  輪廻転生(5) 労力耐性 アルコール中耐性


———

なるほどこれはゲームみたいにステータスが上げられるのか?


暴力耐性って称号があったり、忍耐が他より高いのは虐待されてたからか?ムカつくが今は何もできないな。


 あと、この輪廻転生のあとの5って何だ?残数?レベル?くそっ、何もわかんねぇ!


「落ち着け…とりあえずステータスをあげてみようか…なるほど、スキルは上げられない。

変えられるのはステータスのみか…一応、鏡の前で魅力を5上げてみるか。」


鏡の前に立って確認してみる。


「なんか心なしか、輪郭がシュッとしてる!元々イケメンだったけど、すごいな!」


コレで、どんどん魅力を上げたらNo.1も夢じゃ無いんじゃ無いか?!

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