やさしい檻の詩集

冴月練

第一章:泡と反響

フィルターバブルの泡の中 ― 君に届け

気づいたら、心地よい声ばかりに包まれていた。

心ざわつかせる声は、どこに消えたのだろう?



誰かの造った泡が、私を優しく包んでいる。

解析したら、欲が検出されるけど。



見ると決めたら、叫ぶ人が網膜に写る。

痛いと知ってて、意識を向ける。



聞こえないのに、切実な声が聞こえる。

君に届けと――




【解説】

現代のレコメンド、広告は、その人が興味のあることだけを表示する。

世の中に問題意識を持った人が情報を発信しても、その情報が届かない。

この構造を「フィルターバブル」という。


問題は存在している。

放っておけば、いずれ自分たちの生活に問題を生じさせる。

解決すれば、未来がいくらか良くなる。


だから、声を発する人がいる。

知って欲しいと願って。

君に届けと思って。

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