7つの人殺し

夏宵 澪  @凛

序章

――まず、ひとつだけ言っておきたい。


これは、本来なら誰も触れてはいけない物語だ。


公安にいた僕は、いくつもの“人殺し”を見てきた。


どれも簡単な理由で片づけられるものじゃない。


人が人でなくなる瞬間――

その境界線を、嫌でも知ることになった。


そして今、僕はその境界線のこちら側にいるのか、

それとももう越えてしまったのか、

自分でも分からなくなっている。


なぜなら――僕もまた、人殺しだからだ。


ただし、僕の罪はまだ「完成」していない。


だからこうして書いている。


その瞬間が訪れる前に、

どうしても残しておきたいのだ。


僕が見てきた 六個の人殺し たち。


そのすべてがつながり、絡まり合い、そして――

七つ目の犯罪者 が生まれようとしている。


それは、誰なのか。


外の世界で蠢いている人間か。


それとも、今この文章を書いている“僕”自身か。


ページをめくれば、あなたにも分かるだろう。


ただ一つ、覚悟だけはしてほしい。


この続きを読むという行為は、

あなたをもう「読む前の場所」へは戻さない。

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