狗、奔る《イヌ、ハシる》

第四章 悪の師と友（魔性の才の覚醒）

裏カジノの薄暗いフロアで、

純一郎は「支配する側」にいる男たち、

ヤクザの手下と接するようになった。

彼らは金の流れを操り、欲望の渦の中心にいた。

その中でも、ジュンはゲンという男に強く引きつけられた。

派手なスーツを着崩しながらも、その目に宿る冷徹な光。

ゲンはジュンに近づくと、値踏みするように

挑発的な言葉を投げかけた。

「兄ちゃん、ノってるね。さっきの勝ちっぷり、

　素人じゃないね」

突然の問いかけに、ジュンは無意識に本音を吐露する。

「別に。俺はそんなもんじゃない。

　ただ…勝ってると生きてるって感じるんだ」

ゲンは興味深げに笑う。

「生きているか。良い言葉だ！

　あんたの顔、初めて来た時の顔じゃない」

「『何か』満たされないモノがあったんだろ？」

図星を指され、初めて自分の心の奥底を覗かれたことに、

ジュンは激しく動揺した。

これまで「他人の秘密を覗くこと」で

優越感を得ていた彼が、

今、完全に相手に見透かされている。

ゲンは一瞬冷たい目になり、ささやいた。

「そう慌てなさんな。ここに来る奴ぁ、みな同じだ、だがな、

　あんた『金だけじゃ満足しなくなるタイプだ』わかるぜ！」

ゲンは続けた。

「俺と組む気はないか？ あんたの勢いと、

俺の情報があれば、

もっと『生きている』実感を得られるぜ」

ジュンはゲンの存在感と魅力的な誘いに抗えず、

恐怖と同時に大きな好奇心に駆られていた。

「あんたは誰だ？一体何が言いたいんだ？」

この出会いは、後に悪へ傾くジュンの人生を決定づける

「友」との始まりであった。

【ＡＩ注釈】（推測だがジュンとゲンはお互いの中に

　同じニオイを感じていたのであろう？）

意気投合した二人は、師弟のように親しくなった。

ゲンはカジノの仕組み、金の流れ、

裏社会の掟や手口まで、惜しみなく

ジュンに教え込んだ。

中でもゲンから熱心に教わったのは、

金儲けの「新ワザ」だった。

それは、女性の心を巧妙に掴み、貢がせる手口、

彼らの言葉で言うところの

「女（スケ）こまし」だった。

「女ってのはな、自分の秘密を知ってくれる男に弱いんだよ。

　弱みじゃねぇ、特別な感情だ」

ジュンには、以前から人には言えない特技があった。

それは、相手が隠している秘密や不安を鋭く嗅ぎ出す才能だ。

相手のちょっとした目の動き、声のトーンの変化、

仕草の癖、それらを瞬時に解析し、相手の心の隙間を

見つけ出すのが得意だった。

これは、養殖場で微細なウナギの変化を見抜く集中力と、

元来の観察眼が結びついたものだったかもしれない。

これが特技と新ワザの融合である

ゲンから教わった「女こまし」の技術は、

このジュンの特技を劇的に開花させた。

【ＡＩ解説】

本来「スケコマシ」とは女たらし、ジゴロと呼ばれる「人物」をさす言葉であるが

本編では「女性を騙し、貢がせる」ワザとして

「女（スケ）コマシ」と表現したモノである

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そんなワザがあるなら教えを請いたい作者です。

＊注意！　「ジゴロ」女たらしの主人公ですが、

ＡＩサポートの都合で、本編には性描写は一切登場しません！

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次章予告/　「秘密」の狩人（麗しき獲物＝ユキ）