男女比1:20の世界で、適当に返事ばっかしてたら女性プロゲーマーたちの愛が重くなってて、後に引こうにも引けない

つかとばゐ

第1話 新作とやらをやってみた

―――カチャ。


俺はVR端末をセットする。そして、頭に機械を取り付けた。


『ようこそ、リュウさん。』


無機質な声とともに、そんな文字が浮かび上がってくる。このゲーム機起動時になる、毎回のことだ。


「はいはい」


俺は浮かび上がってきた文字に対して、指で連打する。―――早く、ゲームをやりたい一心で。


「うしっ、やるかぁ!」


俺はやっと【Clan】のタイトル画面へと辿り着いた。


「待ちに待ったぞ……」


―――Clan。

このゲームはシューティングゲームで、いわゆる射撃して敵を倒すという、今、人々を熱狂させている大大大ゲームのことである。


『お名前は何ですか?』


タイトル画面でタップすると、そう表示された。


「えーと、名前は……そうだな」


今のまんまで、「リュウ」 とかでいいかな?

いちいち名前考えるのめんどくさいし。


『リュウ様、ですね。それでは、オンライン接続のために、そちらのアカウントをこちらのQRコードと紐付けてください。』


「あぁっ!」


オンラインをする上で必須なことを言われて、待ち遠しい気持ちが、加速する俺だった。


―――それから、数分後。


「楽しすぎだろっ!」


俺は、熱狂していた。

なんだこれ、めちゃくちゃ面白いんだが。


リアルな一人称で、バンバンと敵を銃で倒していく。見事にVRの良さが全て積み込まれているゲームだ。


「そら、こんなに大人気になるわな」


1人、感心をする。


「───こほんっ、こ、こんにちは~っ」


ん〜?

あ、俺の味方か。


言い忘れていたが、このゲームはチームとなって戦うゲームで、基本3人である。そして、そのうちの1人が喋り始めたのだ。


「え〜と、こんにちは……?」


俺は返事をする。


「やっと喋り掛けてくれた……っ。しかも、男っ?」


ぶつぶつと何か言っている。

───あ、そうか。


随分前から男女比が1:20となった今では、男の人がゲームをしているのは珍しいのか。


「えっと、どうされたんですか?」


「いや~、この界隈も女性がよく軽蔑されるみたいで……あんまり喋っても喋り返してくれないんですよ」


ふーん?

それは酷いな。


「んー」


現実でも男性が痴漢されたりとかで問題になって、男性蔑視が問題化してたけど……それが原因で女性蔑視も加速していたからかな。


「だから嬉しいですねっ!ありがとうございます!」


別にそんなに俺はなんもしてないんだがな。

逆になんか申し訳ないな。


「あ、えーと、はい」


「ってか!フレンドなりませんかっ?」


「あー、はい」


速攻フレンド申請が送られた。

名前は……


Mai_lalala……か?


「た、タメ口で良いですよ!」


「あーうん。わかった」





───翌年。


「今日も一緒に寝よう……♡いい、よね?」


Mai_lalalaさんこと、舞さんが俺の背後に立ち、そう言う。


「……ぁぇ」


んー、なんでええええええええ?!


「ねぇ───?いい、よねぇ?」


「あー、うんうん」


───いつからこうなってしまったんだろう……?


1人、悩む俺だった。


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