第25話 五十年前ノ真相
「…もう時効かね。〇〇さんの考え、大体合ってますね。事件、よー調べはったね。言うとおり、この頃の事件には芦原家が関わってたんです。犯人は芦原家の分家の人間やった。せやけどね。最後の事件で襲われたんは、芦原家本家の人間でした。」
事実は、私が考えたよりももっと壮絶なものでした。
「〇〇さんの考えのとおり、芦野村がなくなった後も、芦原家とその一族はこの地域で暮らし続けてました。ほんで、高度経済成長期に不動産価値が高騰して、芦原家は再興しました。ただ…、本家は神社の宮司を長いことやってて、土地管理の一部は分家に任してたんよ。せやから、この時代、経済的には分家の力がどんどんと大きくなってたんです。そんな折、神社の近くで神隠しの事件が起きた。」
「警察は当然捜査するわな。そしたら、捜査線上に1人の男が浮上した。…それが、その分家んとこの長男や。本家のもんからしたら、けったいな話や。せやから、本家は分家と一緒に事件の隠蔽を画策して、警察とか報道に圧力をかけた。それでなんとかうやむやにしたけど、そっから何件も事件は続いた。その度に分家と本家は事件の火消しをしとったみたいやわ。」
「何件もって、最後の事件を入れて全部で4件ではないんですか?」
「記録に残ってるんは、な。この時期はしょっちゅう行方不明事件が起きとった。単なる家出とかに取られたやつも入れたら…まぁこれは推測やけどね。」
「せやけど、あの年の被害者は別やった。襲われたんは、本家の長女やったんや。これを知って芦原家本家は大激怒した。すぐにでも分家を警察の前に突き出したかったやろな。せやけど、一族から犯罪者が出たということは本家としても絶対避けたい。せやから、本家は別の手段を考えた…なんやと思います?」
「神隠しの仕業を強調することと、発見者を芦原家の人にして、逆に名誉を高めようとした…ですか。」
「大体そのとおりです。せやけど、芦原家はもっとしつこくて、執念深いんです。」
「芦原家の本家は、村の年寄りたちを扇動して、神隠しやーって大騒ぎさせたみたいです。『娘を助けるためやから』とか言って、自分の神社に親戚中からお供物をさせたんです。それで5日後に、神社のお社の裏で倒れてたところを、芦原家の分家の人間…連れ去りを起こした本人に発見させる狂言を起こしたんです。」
「誘拐犯本人に、ですか…」
「せや。それで芦原家の株をあげたんです。行方不明者を見つけたヒーロー一族や、ってな。
「でもなんで、わざわざ本人に見つけさせたんですか?今のお話じゃ、本家の方が見つけたらよかったじゃないですか。」
「神社は本家の土地やから、本家のもんが見つけたら怪しまれるってのもあったとは思う。でも…それだけやないんです。本家は、神隠しにあった娘を、発見した長男と結婚させたんです。」
朝光さんの語気は強くなっていました。
「芦原家は長女を嫁がせた。それで、分家を中から乗っ取ろうとした。分家が管理する不動産がほしかったらしいんです。」
「事件から数年後、分家の旦那さんとその両親は相次いで病気で亡くならはった。そのとき診断したんも、芦原の息のかかった病院です。ほんまに病気やったんか、実際の死因は、もう誰にも分かりません。」
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