一緒にお風呂

《SE~お風呂場のドアを開ける音~》


「(遠くから)君があがったら私も入るねー。いっぱいあったまってください。

 え? 一緒に入るなんてダメダメ! それは恥ずかしすぎるよぉー!

『一生のお願い』はもう使ったから効力はありません!

 わあああ、すっぽんぽんで来ないでよ!

 ダメなものはダメなんだって~!

 …もぅ、そんな目で見ないでよぉ。

 私の身体ぽよんぽよんだから恥ずかしいんだよー…。

 ‥‥‥ほんとに? …がっかりしない? 

 そんなに言うんだったら…分かったよ、一緒に入るよ。でも、期待しないでね…?」


《SE~風呂場の反響する音~》


《SE~風呂場のドアが閉まる音~》


「…そんなにまじまじ見ないでー、恥ずかしいよ…。

 太ってない…? ほ、ほんと? や、やったあ~、最近お菓子我慢してるからかなぁー。

 でも一緒にお風呂場に入ったはいいけど、体洗わなくちゃだね。

 …洗いっこしたいの? それはさすがにダメだって!

 え、『お風呂場に入ってる時点で変わらない』って…、なるほどー確かにそうかも…

 って納得しちゃったじゃない!

 もーわかったわかったー。じゃあそこに座って背中むけてー」


《SE~シャワー音~》


「頭を…ごしごし…ごしごし…と。

 かゆいところはありませんかー? …あれ、このタイミングで言うことじゃないんだ。

 ふふっ、ちょっと言ってみたくて…。

 ごしごし…。ごしごし…」


《SE~シャワー止める~》


「じゃあ、頭にシャンプーつけていくからね…。

 わ、これ、炭酸シャンプーってやつなんだぁー、シュワシュワする。

 シュワシュワ、シュワシュワ。よし、じゃあつけるね…。

 ごしごし…。ごしごし…。

 …へへ、アフロみたいに泡立ってるー。

 きもちい? そっか、よかった。

 ごしごし…。ごしごしごし…。

 かゆいところはありませんかー? 大丈夫そう?

 ごしごし…。ごしごし…」


《SE~シャワー音~》


「…はい、シャンプー終わりー。

 リンスつけてくね…。

 ごしごし…って擬音が違うか。なんだろ、さらさらになるからサラサラ?

 ま、いっかー。

 さらさら…。さらさら。

 もー何笑ってるのぉー。こっちは真剣なんだよー。

 んしょ…。毛元から…毛先まで…」


《SE~シャワー音~》


「うん。 これでいいかなー? 最後に体を洗わなきゃね」


「…こうやってみると男の子の体ってたくましいんだねー…

 洗い残しがないように脇もとも…

 ふふっ、二の腕はぷにぷにだねー。

 お腹もぷにぷにしてる。ぷにぷに。え、くすぐったい? ごめんごめんー。

 ん? なに隠してるの? 隠してちゃ全部洗えないよー。

 そこは自分で洗うって? そっか、分かったよ」


《数秒、沈黙》


《SE~シャワー音~》


「はーい、これでおしまいー。え、私はいいよぉ。自分で洗うからさー。

 今度という今度はほんとうにめっ!だよー!

 ほら、先に湯舟につかっててー」


《SE~シャワー音~》


《SE~湊こころの鼻歌~》


「…ふう、すっきりしたー。…じゃ、私も入るね」


《SE~湯舟の湯が勢いよく流れていく音~》


「ふわぁーきもちーねー。

 こうして誰かと入るのって、やっぱり良いねぇ~。

 向かい合わせはいや? じゃ、そっちにいくねー。

 んっしょっと」


《SE~湊こころの鼻歌~》


「きゃっ! ちょっとー、触るのは反則だよぉー。

 さっきのぷにぷにの仕返し? …それを言われちゃうと…

 あ、あん! そこくすぐったいよぉ。

 あん…。

 きもちいいとくすぐったいがごっちゃになってもう訳がわからないよー。

 そんなことするなら、もうあがっちゃうからね!」

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