第3話 重いものは軽やかに

□重いものは軽やかに



千利休の教え「重いものは軽やかに扱う」は、主に茶道の作法における心構えを説いたものです。 けれど、それだけではなく、人生哲学にも通じます。


これは「重きを軽く、軽きをば重く扱ふ」という歌(利休百首の一節)や「取る手は軽く、置く手重かれ」という教えに基づいています。


具体的な意味は以下の通りです。



重いものは軽やかに扱う:


分厚い陶器にたっぷりの水の入った 水指みずさしなど実際に重さがある道具を運ぶ際、いかにも重そうに持つと無粋であり、客に重苦しい気持ちを与えてしまいます。

そのため、実際には重くとも、表面上は軽やかに、スムーズに持ち上げることが求められます。


軽いものは重々しく扱う:


お抹茶の入った茶器のなつめや茶碗、竹で作った小さな茶杓ちゃしゃくなど物理的に軽い道具を扱う際は、軽々しくひょいと持つのではなく、その道具の持つ意味や価値を深く理解し、心を込めて重々しく(丁寧かつ大切に)扱うことが求められます。


この教えは、単なる物理的な重さの扱い方ではなく、

『すべての物事に対して、その本質的な価値や意味を理解し、心を込めて丁寧に向き合う』という、

利休の茶の湯の精神性や美意識を表しています。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る