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「くじんし駅? なんだここ?」
私はスマホを取り出し、苦神師駅について調べようとした。
しかし、スマホは圏外。
時計は0時55分となっていた――
確か0時8分に新宿駅を出たはずだから、47分か…。
いや、電車を降りてから数分経ったから恐らくは新宿駅から40分前後位か?
東京も都会なようで少し郊外に出ればこんなもんか。
私はおもむろにホームの時刻表を探す。
しかし時刻表は見つからなかった。
「これだから田舎は!!」
私は吐き出すように愚痴をこぼす。
時間的にももう終電は終わっている。
家に帰るにはタクシーしかないか…。
「今日は厄日だな…」
開発仲間の飲み代(割り勘)から始まり、立ちんぼに3万…。
その立ちんぼに酒をおごって1万…。
そしてここからタクシー代も払わなくて行けない。
下手をしたら一晩で7、8万も飛ぶ計算になる。
私は苛立ちながら改札まで歩く。
改札は無人――
「はぁ!? 電子決済ねぇの!? 俺、MERONなんだけど…。」
私は不意に周りを見渡し誰も見ていないのを確認しながら、改札を出て行った。
駅はこの時代には珍しい切れかかった蛍光灯が点滅していた。
セキュリティーざるだな…
煙管しまくりじゃんか…
新宿からわずか40分前後の駅でここまでいい加減な駅がある事に私は一抹の不安を覚えながら駅のロータリーに出る。
ロータリーは真っ暗で当然誰もいない…。
「タクシー乗り場すら見当たらねぇんだけど…」
私は何もないロータリーを一回りして探したが見当たらない。
…と言うか車すら走ってない――
静まり返った、ロータリーを出、今度はコンビニを探すことにした。
コンビニなら人がいる。
店員にタクシーを読んでもらえば良い。
しかし、ロータリーを抜けると雑木林しか見つからず、ポツンと木造の一軒家だけが見つかった。
明かりは付いている。
時間が時間だけに少し気がひけたが、このままでは埒が明かない。
私はその一軒家のドアと叩いた――
すると一人の老婆が出て来た。
「こンな夜更ケにどうシタンだい?」
老婆はニタァと不気味な笑みを浮かべ、私に対応してくれた。
前歯が数本抜けており黄ばんだ前歯が汚らしく、不快だったが、今は状況を知りたい。
「すみません… ここはどこですか?」
「苦神師ダろ。」
変な話し方だな…
「いや… 何県ですか?」
「ソんな事も分かラないのカい?」
答えると老婆は家の中に入っていく。
何なんだよ… 家に上がっても良いのか?
私がどうすれば良いのか分からず、玄関に立ちすくんでいると家の奥から――
ドンッ! グチャグチャ…
ドンッ! グチャグチャ…
――と不穏な音が聞こえて来た。
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