万葉いろはと四季を見る~1×4との甘い生活~

つくね大明神

第1話 立春

私立啓明学園高等学校

偏差値中の上ほどのこの高校に通っている梢野北斗しょうのほくとは今日も一部の友達と喋っては授業の復習予習をして時間を潰していた

「なぁ北斗、さっきの授業むずくね?」

2限、物理に対するぼやきをぶつけてくる西島陽太にしじまようたは北斗のゲーム仲間でもあった。思考も考えも何かと被ることがあるので中学校からの良き親友である。

「そうか?俺からしたらそこまでだったぞ?」

余裕ぶった俺に陽太は肘をつけながら「そんなもんかねぇ」とため息混じりに言っていた、ちなみに俺の隣の女子の席に座っているのだが、本人は気にする様子の欠片もない。

(陽キャってほんとに意味わからん)

そんなことして引かれないのか?と考えながら問題集の解答を開こうとしたところで

「うぉ!なんだあの子!うちの学年にあんな子いたか?すげぇ美少女だなぁ!話しかけてぇ〜!」

などと一人で盛り上がってる陽太だが一人ではなく他の生徒も盛り上がっているようだ、目線の先には廊下を歩く一人の少女がいた。

少し茶色がかったミディアムロングの絹髪に、どこか儚げな表情もその美貌を際立たせていた。その少女場廊下を歩いて職員棟へと向かって消えて行ったが、その話題はその日丸ごと席巻していたのであった



その日の学校を終え、足早にマンション帰宅した北斗、まだ入学したてで制服に慣れていないのと、4月の心地よさはどこかに行ってしまったようでまだ蒸し暑い中帰ってきた、汗がしみたシャツを脱ぎ、着替え終わったところで玄関のインターホンが鳴る

「なんだよ、母さん。来るならメールくれればなんか用意したのに」

来たのは母親、年の割にとても若く見え、北斗とは対照的にコミュ力の高い女性であった。

「いいのよ別に、ちょっと様子見に来ただけなのよ?」

(おかしい、母さん優しいけど仕事柄暇はあんまないはずなんだけどな)

と考えながらも家へと入れる。

一般的な男子高校生として隠すべきもの(全年齢)はすべてスマホに入っている、つまり何も拒む理由もない。隠すべきものと言っても年齢に沿ったものだが

「うんうん、大丈夫そうね。部屋もちゃんと約束通り綺麗にしてあるわね」

一人暮らしを申し出た時に出された条件は全て守っているので、母親からのお咎めもない

(本当に何しに来たんだ?)

そうして足早に母は食事をして帰っていった。謎の荷物を残して



いつもと同じようにエントランスを通って部屋の鍵を開けようとしたら、すでに解錠されていて施錠してしまった。

(…?鍵閉め忘れたか?)

再度解錠すると、廊下の奥のリビングの扉が空いていた。いつもなら虚空に引き寄せられそうになるような暗い廊下も、今は一転明るくなっていた。

そしてその奥には足音…その場に不穏な空気が立ち込んだ。がその空気は侵入者?本人によって打ち消された。

「…あ、お邪魔してます。お風呂沸かしておいてあるので、どうぞ」

(…どこの新婚さんかな?)

全ての思考を置いて一番先に出てきた感想がこれであった。事実新婚感はある、エプロンに身を包んだ可憐な少女が帰ってきたらいるのだから

そしてそれが、学園で一度見たことあったような気がした少女だったなら衝撃は2倍である

「?えっと、ん?どなた?」

「ごめんなさい…申し遅れました、啓明学園1年の万葉いろはと申します」

(………?)

理解の追いつかない俺に気づかず万葉さんは

「北斗くん…ですよね?ごめんなさい、突然のことで混乱して知るでしょうが、とりあえずお座りいただけますか?」

(馴染んでるなぁ…ここ俺の家だよな?)が第一印象であった、前に見た通り見た目は整っている。陰キャからしたら眩しくて潰れそうなレベルである。



「ーというわけで、私はこれからここにいさせていただくのですが、よろしいでしょうか?」

どうやら話しの内容は

・万葉さんの母親が長期で海外赴任することになった

・それでどこか安心できるところを探しており、大学時代の友達と同年代の子供がいるという理由でうちの母親が選ばれた

・そしてそれをうちの母親が何も説明せずにうちに送ってきた

「ごめん…ちょっと待って、混乱してるから」

理解ができない、なぜあの母親は女子を思春期男子の家に放り込むのだろうか、なぜ自分が預からないのか。悪い人ではないため何らかの理由があるのだろうが、それでも理解ができるものではなく………

「突然のことで、本当に申し訳なく思っています!だめなら今日はホテルなどを探すので無理せず!申し訳ありません…!」

一人で考えに浸っていたら引っ張り出されてしまった。でも、なんだろう…こんな女の子を一人にさせるのは人としてどうなのかという話で、葛藤の末

「待って、えっと…万葉さん?だよね。うちに泊まるのは全然いいんだけど、いろいろ聞かせてくれないかな?」

こうして俺の不思議な生活が始まった

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