惑星カズーから地球へ旅してみたら…恋

奈平京和

第1話 惑星カズーから新天地を求め宇宙へ移民

 此処は、天の川銀河から遠く離れた今から70万年前の惑星カズー。偉大な指導者の元、争いを起こす者も無く人々は幸せに暮らしていた。が、それ故、幸せすぎる代償として人口の増えすぎが問題になっていた。そのため惑星カズーの唯一の立法、行政、司法を司るカズー星統治協議会は希望者を他の星に移住させる新天地移住政策を実施していた。2000人が半永久的に生活出来る超高速宇宙船を毎年100隻以上建造し続け、惑星カズーの将来を考えて希望者となった者達が惑星カズーから旅立って行った。脅威的な科学技術を持つカズー星で研究開発された特殊強壮剤を飲むことで、元々長寿な体質を持つカズー星人は何千年も生きながらえる体を得ていた。加えて生命維持装置付き冬眠カプセルを使用することで、新天地となる星を見つけるためのとてつもない星間距離を克服出来るとカズー星統治協議会は判断していた。超高速宇宙船が備える機能は全てマスターカズーと名付けられたコンピュータがオートコントロールするようになっており、独裁者が現れて独断で行き先を変更することが出来ないよう、宇宙船が完成した時点でカズー星統治協議会が初期設定し、以後変更出来ないようになっていた。当然マスターカズーは操船のコントロールも受け持っており、発射ボタンを押すだけで後は自動制御で方向を維持し、スターアナライザーが新天地の星を発見し乗員が降りると判断した時、声で指示するだけで最適な場所を自動的に選び着陸するようになっていた。隕石を避けたり何らかの攻撃等、想定外の事態が起きた場合でも最適な方法を選択し船体を防御するようプログラムされてもいた。ちなみにスターアナライザーはカズー星人が住める環境の星を見つけると、自動的に乗船者を冬眠状態から目覚めさせる機能を有していた。向かいたい方向がほぼ一致する人達が定員の2000人に達するまで乗船待機となるシステムで、今日、定員に達した1隻の超高速宇宙船が新天地を求め旅立った。宇宙に達し飛行が安定した船内では、投票で選ばれたリーダーが全員に冬眠カプセルに入るよう促していた。

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